琵琶湖の東岸を北上し、滋賀県長浜市高月町東阿閉(ひがしあつじ)の集落に近づくと、高い尖塔(せんとう)が特徴の洋風建築が目に入る。産業機械大手・ヤンマーホールディングス(大阪市)の創業者で、この地に生を受けた山岡孫吉氏(1888~1962)が建てた通称「ヤンマー会館」。東阿閉公民館として長年利用されてきたが、耐震不足のため近く解体されることになった。「残念だけど仕方ない」「長い間ありがとう」。地域のシンボルは惜しまれつつ、66年の歴史に幕を下ろす。 昔ながらの家屋や田畑が広がる風景とは対照的に、会館はドイツの建物を模したとされるデザイン。3階鉄筋コンクリ造りで、特に目を引くのが空に向かって伸びる尖塔(せんとう)だ。ゴシック様式を基調とし、先端…