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国民民主党は先般の衆院選挙で、103万円の壁への対策として、基礎控除等を現状の103万円(基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計)から178万円に拡大する減税案を掲げた。与党が政権維持のために国民民主党に協力を仰ぐ際には、その交換条件として、ガソリン税のトリガー条件凍結解除に加えて、この減税策を受け入れる可能性があるだろう(コラム「与党との連携が視野に入る国民民主党の経済政策を再度確認:与党は基礎控除引き上げ、トリガー条項凍結解除を受け入れるか?」、2024年10月29日)。 国民民主党の玉木代表がXに投稿した試算によると、所得税と住民税を合わせて、年収200万円の人は8.6万円、年収600万円の人は15.2万円の減税になるという。また玉木氏は29日のテレビ番組で、「年末の税制改正の課題になってくる。11月の半ばまでに方向性を見いだしたい」と述べ、与党側に働きかける意欲を見せた。 朝
中国AI産業の最新動向及び 日本企業への示唆 第378回NRIメディアフォーラム 2024年8月22日 株式会社野村総合研究所 未来創発センター 戦略企画室 李 智慧 エキスパート 1 Copyright (C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 序章 米中「ハイテク戦争」の最前線 第1部 イノベーションの主戦場 第1章 現地で見たファーウェイ(華為技術)復活 第2章 世界展開を急ぐバイトダンス(字節跳動) 第3章 急成長するチャイナ生成AI 第2部 ハイテク分野の「鉄のカーテン」とチャイナ・イノベーション 第4章 技術包囲網の突破に挑む中国 第5章 米中が激突する大技術競争時代 第6章 分断されるテクノロジー勢力圏 第3部 デジタル・チャイナの現在地 第7章 デジタル技術を使った社会管理の光と影 第8章 デジタル化が
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 予想通りとなった7月全国CPI:基調的な物価上昇率、サービス価格上昇率の下振れで、日銀は早期追加利上げに慎重か 基調的な物価上昇率は再び低下傾向に 総務省は8月23日、7月分全国消費者物価を発表した。コアCPI(除く生鮮食品)の前年同月比は、電気・ガス料金引き上げの影響から3か月連続で上昇したが、上昇率は概ね事前予想通りだった。 7月のコアCPIは前年同月比+2.7%と前月の同+2.6%を上回った。上昇は3か月連続となる。7月は電気・ガス料金の補助金削減が、物価を押し上げた。電気・ガス料金はCPIの前年比を6月と比べて0.35%ポイント押し上げた。 それでもコアCPIの前年比上昇率が6月と比べて0.1%ポイントしか高まらなかったのは、生鮮食品を除く食料品、宿泊料、通信費(携帯電話)が、CPIの前年比上昇率をそれぞれ0.1%ポイント程
金融政策正常化と地方創生を掲げる石破氏 岸田文雄首相は14日、9月の自民党総裁選に出馬しない意向を突如表明した。これを受けて、総裁選では日本の新しいリーダーが選ばれる。現時点で立候補を明確に表明した人物はまだいないが、想定される主な候補者は、石破茂元防衛相、河野太郎デジタル相、茂木敏充幹事長、上川陽子外相、小泉進次郎元環境相、小林鷹之前経済安全保障担当相、高市早苗経済安全保障担当相、の7人である。 このうち、現在の政府の政策姿勢が最も大きく変わる可能性があるのは、高市氏が選ばれた場合だろう。 日本経済新聞とテレビ東京が7月26〜28日に実施した世論調査では、党総裁にふさわしい人とする回答で最も高いのは石破氏の24%だった。高市氏は8%、茂木氏と小林氏は1%にとどまった。 石破氏は、経済政策を巡って円安を「円弱」だと指摘して、その是正を訴える。金利を上げる必要性があるとも主張している。少子化
1 No.01 April 2024 ネ ジメ ント ビ ュー 生成 AI のビジネス活用実現に向けた羅針盤 株式会社 野村総合研究所 AI コンサルティング部 シニアコンサルタント 坂 拓弥 株式会社 野村総合研究所 AI コンサルティング部 コンサルタント 露木 浩章 1 ビジネスにおける生成 AI 利活用の現状 2022 年 11 月の ChatGPT リリースを契機とし て、昨今のビジネス環境では、多くの企業が生成 AI のビジネス領域における利活用の検討に注力してい る。生成 AI の利活用検討が注力される理由は、大 規模言語モデル(Large Language Model:以降、 LLM)を主とした生成 AI により、顧客接点やサー ビス、既存業務などの多様な局面に対して、大きな 付加価値を生み出すことが見込まれるためである。 各企業の取り組みとしては、ChatGPT のような
ニューカレドニア暴動の背景にはニッケル生産での中国の影響力拡大も 日本では「天国に一番近い島」として知られる南太平洋のリゾート地、フランス領ニューカレドニアでは、5月中旬以降暴動が広がった。暴動の直接的なきっかけとなったのは、先住民以外の住民への参政権拡大につながる法改正に、先住民のカナック人が強く反発したことだ。ただしその底流では、ニューカレドニアでのニッケル生産が深く関わっている。 ニューカレドニアでレアメタル(希少金属)のニッケル鉱山が発見されると、フランスを中心に海外からの移住が増加し、先住民カナック人のアイデンティティが揺らいでいった。これが今回の暴動の底流にあるだろう。 他方、近年はニッケル生産でインドネシアの安価なニッケルに押され、これが経済環境の悪化につながっていた。これもまた暴動の原因の一つと考えられる。 ニッケルは、ステンレス鋼や日本の1円玉など硬貨の原料などにも使用さ
自然利子率と「ゼロ金利制約(ZLB:Zero Lower Band)」 日本銀行本店で5月27日、国際コンファレンスが開催された。そこでの植田総裁の挨拶、内田副総裁の基調講演では、ともに「自然利子率(Natural Interest Rate)」が大きく取り上げられた。日本銀行が自然利子率をどの水準と考えているのかは、政策金利引き上げの最終到着点、ターミナルレートの見通しと深く関わり、長期金利の水準に大きな影響を与えることから、金融市場の関心事となっている。 自然利子率とは、経済あるいは需給ギャップに対して中立的な実質金利(名目金利-予想物価上昇率)である。一人当たり実質GDP成長率や潜在成長率と深く関わる、との見方がされることが多い。 そして、金融政策の効果は、自然利子率と実質政策金利(名目政策金利-予想物価上昇率)との差によって生じる、と一般に考えられる。経済活動が低迷している際には、
「量的引き締め(QT)」観測が浮上 金融市場では、日本銀行が国債買い入れを削減し、国債保有残高の削減を本格的に進める「量的引き締め(QT)」が近いうちに実施されるのではないか、との観測が浮上している。そのきっかけとなったのは、日本銀行が13日実施した定例の国債買い入れオペで、長期債の購入を減らしたことだ。 残存期間「5年超10年以下」の長期国債の購入予定額を4,250億円とし、前回から500億円減らしたことだ。1回あたりの買い入れ額の減額は、昨年12月以来のことである。 3月19日にイールドカーブ・コントロール(YCC)を解除した後は「これまでとおおむね同程度」、つまり月間6兆円程度の買い入れを続ける方針を日本銀行は決めた。そして4月以降は、「5年超10年以下」の買い入れ額を4,000億〜5,500億円とレンジで示してきたが、実際には買い入れ額の据え置きを続けていた。 「5年超10年以下」
2024年3月19日に日本銀行はマイナス金利政策を解除しました。日本銀行の政策転換は日米間の金利差を縮小させ、円安修正のきっかけになると当初は予想されていました。しかし実際には、その後も円安傾向は続き、4月29日には一時1ドル160円にまで円安が進みました。その後、政府は2回のドル売り円買いの為替介入に踏み切ったと推察されます。当面のドル円レートは、米国で発表される経済指標に左右されやすい状況ですが、今後は円安阻止に向けた政府と日本銀行の連携姿勢が試されそうです。 1ドル152円の防衛ラインが破られる ドル円レートは、今年年初の1ドル140円程度から、ほぼ一貫して円安の流れを辿ってきました。日本政府は、円安の進行が物価高を助長し、国民生活や企業活動を圧迫することを懸念しています。 そこで政府は当初、1ドル152円を防衛ラインと考え、それを超えて円安が進むことを強く警戒してきたと考えられます
中国のEVのダンピング輸出を警戒する欧米諸国 中国では自動車の生産過剰状態が続く一方、中国政府が巨額の補助金を通じて安い価格で自動車を海外にダンピング輸出をしている、との批判を欧米諸国は急速に強めている。 上海のコンサルティング会社オートモビリティと中国乗用車協会(CPCA)によると、中国には現在、年間4,000万台を生産する能力があるが、国内での販売台数はその半分の2,200万台前後にとどまっているという。そして、中国の自動車輸出はわずか3年の間に5倍近くに増え、2023年には約500万台に達している。 中国から米国に輸入される自動車には、既に高い関税が課されている。トランプ前大統領は、中国の自動車に25%の輸入関税を課した。さらにバイデン大統領はこの政策を維持したうえで、EV購入時の最大7,500ドルの税控除を中国車が受けられないようにする、などの追加策を講じている(コラム「米政府がE
認証不正問題、能登地震の影響で1-3月期GDPは再びマイナス成長に 内閣府は5月16日に、2024年1-3月期の国内GDP統計・一次速報を公表する。時事通信によると、民間予測機関10社の実質GDPの予測平均値は前期比-0.4%、前期比年率-1.7%である。前期の2023年10-12月期の前期比+0.1%、前期比年率+0.4%から、2四半期ぶりにマイナス成長となる見込みだ。 同期のGDPには、ダイハツ工業などの認証不正問題の影響が色濃く表れると予想される。自動車の需要が変わらない場合、自動車生産停止の影響は、GDP統計の需要項目では、在庫投資の減少として表面化しやすい。しかし、手持ちの在庫が十分ではない場合には、自動車の出荷が滞り、個人消費や輸出も一定程度押し下げられるだろう。 また、1月1日に発生した能登半島地震も、個人消費、設備投資を中心に、1-3月期のGDPを押し下げたと考えられる。
イエレン財務長官が日本の為替介入をけん制か 米国のイエレン財務長官は25日、ロイター通信とのインタビューで「市場が決定する為替レートを持つ大国」について、「介入がまれであることを願う。そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べた。これは、円安を受けた日本当局がとり得る対応について問われた際の回答で、日本政府の為替介入をけん制する発言とも受け止められる。26日の日本銀行の金融政策決定会合後の為替動向次第では、政府は為替介入の実施を検討していると推測されるが、まさにその出鼻をくじくかのようなタイミングでの発言となった。 鈴木財務相は、先週ワシントンで開かれた日米韓財務相会議、G7会合、G20会合で「円安への懸念を共有することができたのは一つの成果」と評価し、さらに、「日本側から為替相場の行き過ぎた動きに適切な対応を取る考えも表明した
Retrieval-Augmented Generation (RAG) は、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術のこと。 「検索拡張生成」、「取得拡張生成」などと訳されます。外部情報の検索を組み合わせることで、大規模言語モデル(LLM)の出力結果を簡単に最新の情報に更新できるようになる効果や、出力結果の根拠が明確になり、事実に基づかない情報を生成する現象(ハルシネーション)を抑制する効果などが期待されています。 (読み:ラグ) RAGの構成 RAGには大きく2段階のプロセスが存在します。 プロセス①:検索フェーズ ユーザから入力された質問に関連する情報を、データベースや文書から検索します。 プロセス②:生成フェーズ ①で得られた検索結果とユーザからの質問を組み合わせたプロンプトを大規模言語モデルに入力し、テキスト生成
実質賃金上昇率が安定的にプラス基調となるのは2024年10-12月期 厚生労働省は8日に2月分毎月勤労統計を公表した。2月の現金給与総額は前年同月比+1.8%増加し、実質賃金は同-1.3%と23か月連続での低下となった。 春闘での賃上げ率は事前予想を大幅に上回ったが、その影響が毎月勤労統計の賃金に表れてくるのは、年央頃になるだろう。さらに、それが物価に与える影響が確認できるのは、夏以降となるだろう。 春闘の結果を受けて、ボーナスや残業代などを含まない、基調的な賃金部分である所定内賃金の前年比上昇率のトレンドは、現在の+1%台半ば程度から、今年後半には+3%程度にまで高まることが予想される。毎月勤労統計で実質賃金の計算に使われる消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)は、前年同月比でコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価)よりも0.5%ポイント程度高い。 これらの点から、コアCPIの前年比上昇
春闘での賃金上振れが物価に与える影響に注目 4月5日付の朝日新聞は、「利上げ判断 夏から秋にも」との見出しで、植田日銀総裁の単独インタビューを掲載した。これが、同日の金融市場に大きく影響し、円高、株安が進んだ。 ここで「夏から秋」としているのは、今年の春闘での賃金の上振れが物価に与える影響を確認できる時期の目途を指している。ただし、インタビューの詳細を読むと、総裁は夏から秋の時期の追加利上げに直接言及している訳ではなく、発言と見出しとの間に乖離も感じられる。 植田総裁は、2%の物価目標達成の確度が高まることを示す経済データが得られれば、その確度の変化に応じて金利を調整していく、との考えを示している。この点から、春闘での賃金の上振れが物価に与える影響が想定以上であれば、日本銀行が比較的早期に追加利上げに動く可能性は確かにあるだろう。 他方で留意したいのは、植田総裁が「(物価上昇率が)2%を超
2000年 野村総合研究所入社。企業向けデジタルコンサルティングおよび、言語処理・人工知能・暗号の研究とソリューション開発に従事。2018年・19年連続で、人工知能学会SWO研究会主催のナレッジグラフ推論チャレンジコンテストで最優秀賞受賞。2021年から23年 CRYPTREC(Cryptography Research and Evaluation Committees)高機能暗号委員。 数理言語学とはどんな学問か 外園: 戸次先生が専門とされる数理言語学では、大規模言語モデル(以下、LLM)とは対極的に、言語処理を論理式や証明によって行っており、非常に面白いと感じています。先生は、数理言語学の第一人者でありますが、そもそもどのような学問なのでしょうか。 戸次: どこから語るべきか難しいのですが、計算機科学、哲学、言語学など複数の分野が合流してできた学問と言えます。その大きな流れの一つが
基調的な物価上昇率は緩やかな低下傾向が続く 総務省は3月22日に2月分消費者物価指数(CPI)を公表した。コアCPI(除く生鮮食品)は、前年同月比+2.8%と前月の同+2.0%から大きく上昇した。しかしこれは、前年2月に導入された政府の物価高対策の影響が剥落したことによるものであり、概ね事前予想に沿った結果であった。季節調整済前月比は0.0%と、2か月連続で低下している。 2月のCPIの前年比上昇率を1月分と比較すると、前年の物価高対策の影響で、エネルギーが0.93%ポイントの押し上げとなった。また、インバウンド需要宿泊料が+0.06%の押し上げとなった。他方で、生鮮食品を除く食料は-0.13%と押し下げに寄与した。 生鮮食品を除く食料は、昨年夏には前年同月比で+9.2%と2桁近くにまで達していたが、その後は2月の同+5.3%まで急速に低下している。海外から輸入する食料品原材料価格の上昇が
春闘での高い賃上げが日銀のマイナス金利政策解除を後押し 主要企業の間で高い賃上げでの妥結が相次いでいることを踏まえると、今年の春闘の賃上げを特に重視してきた日本銀行が、次回3月18、19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除に踏み切る可能性は、7割あるいはそれ以上にまで高まってきたのではないか。 筆者は、2013年4月に「量的・質的金融緩和」が導入された後、金融政策を決める政策委員会の審議委員として異例の金融緩和に一貫して慎重な姿勢で臨み、その修正を主張してきた。2016年1月のマイナス金利政策の導入決定の際にも、それは国債買い入れ策と矛盾し国債市場を混乱させる可能性があること、銀行の収益を悪化させ金融システムを不安定にさせるリスクがあることから、マイナス金利政策の導入に反対した。 こうした経緯を踏まえると、10年以上の年月を経てようやくマイナス金利政策が解除されることは、非常に感慨
株価大幅下落と強まる3月マイナス金利政策解除の観測 3月11日の東京市場では、日経平均株価が一時1,000円以上下落し、2月22日に34年ぶりに上回ったバブル期の最高値を一気に下回った。 足元まで急速に上昇してきた株価を調整させるきっかけとなったのは、先週末以来の円高進行だ。さらにその背景にあるのは、日本銀行のマイナス金利政策解除の観測と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が同時に強まったことである。 3月18・19日に開かれる金融政策決定会合で、日本銀行がマイナス金利政策を解除するとの観測が強まっているが、実際、その可能性は比較的高いと言えるだろう。 日本銀行が4月の決定会合まで政策変更を待つ理由としては、展望レポートの発表があると考えられる。展望レポートで新たに2026年度まで2%程度の物価上昇率が続くとの見通しを示すことで、2%の物価目標の達成という判断を強くアピールすることが
36 知的資産創造/2024年1月号 特集 生成AI時代の新たな社会 Ⅰ AI Ⅱ AI Ⅲ AI Ⅳ 2030 C O N T E N T S 要 約 知識の進化論: 生成AIと2030年の生産性 1 野村総合研究所(NRI)は、スイス連邦工科大学ダリオ・フロレアーノ教授らのメソド ロジーを応用し、日本の474職のデータを分析した。職業に関するデータは、厚生労働 省職業情報提供サイト「ジョブタグ」のデータを利用した。分析の結果、生成AIは従 来AIが苦手としてきた知識労働に強い影響を与える可能性が高いことが確認された。 2 生成AIは、プログラミングのようなスキルは人に迫る能力を有するものがあるが、知識 に関しては、学習不足や不完全さが指摘されており、スキルと知識との間にギャップが 生じている。今後、生成AIは、頻繁に更新を行う知識の領域と、スキルの領域とをシ ステム的に分割し、互いに影
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight 物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も コアCPI上昇率は3か月連続で低下し1年10か月ぶりの水準に 総務省が2月27日に発表した1月分全国消費者物価統計で、コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価)上昇率は、前年同月比+2.0%となった。事前予想の平均値の同+1.9%程度をやや上回ったものの、3か月連続で低下し、2022年3月以来、1年10か月ぶりの水準となった。より基調的な物価
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 実質賃金の上昇にはインフレ率のさらなる低下が必要(12月毎月勤労統計):政府は賃上げ要請よりも持続的に実質賃金を高める成長戦略の推進を 実質賃金上昇は2025年半ば以降に 厚生労働省が2月6日に発表した12月分毎月勤労統計で、現金給与総額は前年同月比+1.0%となった。持ち家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数の前年同月比+3.0%を引いた実質賃金上昇率は前年同月比-1.9%と引き続き大幅な減少であり、個人消費を圧迫し続けている。 また、2023年の現金給与総額は前年比+1.2%、持ち家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数の前年比は+3.8%となり、実質賃金上昇率は-2.5%と前年の-1.0%に続いて大幅減少となった。 政府や経団連などは、今年の春闘で30年ぶりとなった昨年を上回る賃上げ率の実現を目指しているが、仮に昨年の水準を多少上回
東京コアCPIは1年8カ月ぶりに2%割れ 総務省が26日に発表した1月分東京都区部CPI上昇率は、予想外に下振れた。生鮮食品を除くコアCPIは、季節調整済前月比-0.1%と低下し、前年同月比上昇率は+1.6%と前月の+2.1%から大きく低下した。日本銀行が物価目標とする2%を下回るのは、実に1年8か月ぶりのことであり、歴史的な物価高騰は節目を迎えてきた。 1月全国CPIで、コアCPIの季節調整済前月比が東京都区部と同様にー0.1%となれば、前年同月比は+1.8%とやはり2%を割り込むことになる(図表)。 1月分東京都区部CPIでは、様々な要因が前年比上昇率の低下に寄与した。12月分と比べて1月分の前年比上昇率に与えた影響は、エネルギーがー0.10%でそのうち都市ガス代がー0.08%、電気代がー0.02%となった。さらに宿泊料がー0.24%、生鮮食品を除く食料がー0.07%、通話料(固定電話
コアCPIの2%割れが視野に 総務省が1月9日に公表した12月分東京都区部消費者物価(中旬速報値)で、コアCPI(除く生鮮食品)は前年同月比+2.1%と前月の同+2.3%を下回った。2023年年初の1月コアCPIは前年同月比+4.3%であったが、そこからほぼ1年間で上昇率は半減し、2%割れが視野に入ってきた。物価上昇率は、予想を上回るペースで着実に低下してきている。 前月と比べてコアCPIの前年比上昇率を最も大きく押し下げたのはエネルギー価格であり、前年比上昇率を0.15%ポイント低下させた。また、生鮮食品を除く食料も、前年比上昇率を0.09%ポイント低下させた。生鮮食品を除く食料の前月比は0.0%と上昇に歯止めがかかっている。2023年4月には前月比+1.4%と大幅に上昇していたが、食料品メーカーの原材料価格転嫁の動きは一巡してきている。 サービス価格上昇率にも頭打ちの兆し 日本銀行は、
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本臣吾、以下「NRI」)は、2023年5月~6月にかけて、日本・米国・ドイツ・中国(台湾、香港を含まない)の自動車運転免許保有者に対して、電気自動車(以下「EV」)の購入意向とその理由、非購入意向とその理由など、「EVシフト」に関するアンケート調査を実施しました。 このテーマでの調査は2017年に初めて実施し、2021年に第2回、そして今回は第3回にあたります1。2017年から2023年にかけて、「EVを購入したい」と思う消費者の割合は、中国・ドイツでそれぞれ13%ポイント・8%ポイント増加し、米国では26%から53%に倍増しました。一方、日本では6年間で4%ポイント増加と、ほとんど変化が見られず、地域間で消費者意向のギャップが拡大していることが明らかになりました。今回の調査から得られた主要な結果は、以下の通りです。
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 減税・給付の総額は5.1兆円、GDP押し上げ効果は+0.19%:費用対効果は高くない(経済対策推計アップデート) 減税・給付の総額は5.1兆円 政府が現在検討している所得減税・給付金の対象は、大きく4つに分類できる。第1は4万円の定額所得減税と扶養家族一人当たり4万円の給付、第2は、住民税非課税世帯への7万円の給付(既に実施した3万円と合計すれば10万円)、第3は住民課税・所得税非課税世帯への7万円の給付(既に実施した3万円と合計すれば10万円)、第4は、所得税も住民税も収めているが、納税額が4万円未満で4万円の定額減税の恩恵を十分に享受できない個人に合計4万円の減税と給付金、となる。 第1については、対象となる納税者と扶養家族の合計は9,000万人程度とされる。彼らに4万円の給付が実施されると、その総額は3兆6,000億円となる。
スクラムを支える考え方 スクラムを支える考え方は、経験主義と、リーン思考に基づいています。経験主義とは、知識は経験から生まれるものであり、観察に基づき意思決定するという考え方です。リーン思考とは、無駄を省いて本質に集中するという考え方です。 この2つの考え方を踏まえて、透明性、検査、適応という「スクラムの3本柱」と、確約、勇気、尊敬、公開、集中という「スクラムの5つの価値基準」が定義されています。 スクラムの3本柱 「透明性」「検査」「適応」という3本柱を実現できるようにスクラムは設計されています。 透明性の柱では、プロセスや作業を作業をする人と受け取る人の双方に見えるようにすることが言及されています。透明性の低い作成物はプロダクトの価値を低下させ、リスクを高める意思決定につながる可能性あります。透明性があることで検査が意味を帯びてきます。 検査の柱では、望ましくない変化や問題に気づくため
インタビュー記事の解釈は誤っていたか 9月22日の金融政策決定会合で、日本銀行は大方の予想通りに政策維持を決めた。ただし、金融市場の関心は、会合での決定よりも会合後の総裁記者会見での発言に向けられていた。 2週間前の読売新聞のインタビューで、植田総裁が「年内にも政策修正の判断ができるようになる可能性はゼロではない」と発言したことを受けて、日本銀行の政策姿勢が変化し、マイナス金利解除の実施時期が早くなる、との見方が金融市場で強まったためだ。 インタビュー記事での発言の真意に関する総裁への質問は、さっそく記者会見の冒頭で幹事社によって出された。それに対する植田総裁の説明は、「政策姿勢に変化はない」ことを示すものであった。金融市場の受け止めについては「コメントを控える」としたが、「物価目標の達成がなお見通せない現状では、金融緩和を粘り強く続けていく」、「先行きの経済、物価の不確実性は高く、政策は
植田総裁のインタビューで円高、長期利回り上昇 11日の東京市場で、ドル円レートは円高方向に振れた。先週末の海外市場で1ドル147円80銭台まで進んだ円安は、1円程度円高に押し戻された。また、国債市場では10年国債利回りが、0.7%台まで上昇した。7月末に日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)の運営柔軟化に踏み切って以来、利回りが0.7%台に乗せたのは初めてだ。この水準は9年8か月ぶりの水準である。 為替市場での円高、国債市場での利回り上昇のきっかけとなったのは、9日の読売新聞に掲載された植田日銀総裁のインタビュー記事である。そこでの発言が、年内等早期の利上げの可能性を示唆したとして、金融市場は反応したのである。 年内利上げの可能性を示唆か 植田総裁は、現状は「来年の賃金上昇につながるかどうか見極める段階だ」としたうえで、「(来春の賃上げが)十分だと思える情報やデータが年末までにそ
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