乗客を奪い合う熾烈(しれつ)な競争を繰り広げてきた交通事業者2社が、乗客減少を背景に協業を進めている。九州一円に鉄道網を持つJR九州と、全国有数のバス会社である西日本鉄道。互いをライバル視し、並行する路線で値下げ合戦を展開した過去もあったが、連携により乗り継ぎなどの利便性が向上し、利用者の評価も上々だ。乗客減により交通各社は単独での路線維持が難しくなり、赤字路線の廃線や減便を余儀なくされている。〝商売敵〟だった2社の取り組みは、九州域外の事業者からも注目を集める。 福岡・大分両県の県境に近いJR添田駅(福岡県添田町)は、駅ホームの片側がバス高速輸送システム(BRT)が停車できる道路となっている。JR九州の列車と隣り合うのはBRTと、西鉄のバスだ。接続もスムーズで、乗り換えに時間がかからない。 周辺は高齢化が進み、地域存続の観点から公共交通の維持が大きな課題だが、同駅から大分方面への鉄道が平