新聞や放送局といった組織に属する記者と、フリーランスのジャーナリストの立場は全く違っている。 思いもかけない不幸に見舞われた人たちが、取材に来たと言われてはじめて会う人を信用する担保は、出された名刺の○○新聞、××テレビという肩書しかない。どんなに著名で優秀な書き手でも、どこの誰だかわからない輩を信じて話をする人など、まず居ない。大事件や大災害について語りたいことがあればあるだけ、信用するに足る人を選びたい。それは当然のことだ。 それなのに、その有利な立場に甘えてろくに人の話を聞かず、いわゆる「飛ばし記事」が出ることも少なくないのはもったいない話だと残念に思っている。 だから、大手メディアに所属する記者でありながら、一人の優秀なルポライターとしての資質も兼ね備えている三浦英之のような書き手を読者は求めている。 2022年の夏、三浦は勤務先の盛岡市内でモンゴル人青年から「東日本大震災で亡くな