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はじめに RNAは分解しやすいもの。みなさまそんなイメージをお持ちの方がほとんどではないでしょうか。一般的な対策として、RNAの分解を抑えるためには氷上で操作することが推奨されています。しかし実際のところ、どのくらいの熱で分解してしまうのか、気になりませんか?そして実験結果にどのくらい影響してしまうのでしょうか? 弊社で開催しているRNA抽出/cDNA合成ハンズオントレーニングご参加者のそんな率直な疑問から、RNAを常温で放置して、あるいはあえて加熱してどれくらい分解するのかやってみました! 材料と方法 材料: ・RNAサンプル(HeLa細胞からInvitrogen™ PureLink™ RNA mini kitで精製したtotal RNA 5ng/μL) ・Applied Biosystems™ TaqMan™ Fast Virus 1-Step Master Mix ・Applied
リアルタイムPCRには特有の用語が頻出しますが、果たしてその内容を正しく理解できているでしょうか?今回は、難解でわかりにくいリアルタイムPCR解析に関する主な用語の定義をご紹介します。 ベースライン リアルタイムPCRにおけるベースラインとは、蛍光シグナルにほとんど変動がない、PCRの初期サイクル(通常3~15 サイクル)におけるシグナルレベルのことを指します。このベースラインの低シグナルは、反応のバックグラウンドあるいは「ノイズ」と同一であるとみなすことができます(図1)。リアルタイムPCRにおけるベースラインは、増幅曲線の手動解析または自動解析により、各反応毎に実験データを基に設定されます。下記に示すサイクル値(Ct)を正確に決定するためには、ベースラインを注意深く設定することが必要です。ベースラインの決定には、初期サイクルに観察されるバックグラウンドを排除するために十分なサイクル数を
これまでの記事で、酵素と収量や特異性、フィデリティとの関係、PCRの温度条件などについてご紹介してきました。今回は、「プライマーの設計」について述べたいと思います。 実はPCRが成功するかどうかは、プライマー配列設計の時点で、ある程度決まっています。逆に言えば、熟慮されて設計されたプライマーセットが設計できれば、PCRは最適化が比較的難しくないとも言えます。 プライマー塩基配列の役割 20-25塩基程度で短い配列ですが、プライマー配列に無駄な部分はありません。プライマーの役割を大きく分けると2つの領域で異なる役割を担います。まずは3’末端側の約8塩基ですが、ここは酵素が結合して伸長反応をプロモートする領域と定義でき、最も特異性が要求されるところでもあります。プライマー設計では、3’末端側の約8塩基領域の塩基配列に特に注意を払う必要があります。 次に残りの5’末端側領域ですが、この領域はプラ
DNA抽出の際に、分解やニックが生じないように注意します。必要に応じ、ゲル電気泳動でテンプレートDNAの質を評価します。ヌクレアーゼによる分解を防止するため、DNAは分子生物学グレード水またはTE buffer (pH 8.0)中に保存します。 テンプレートDNAを精製キットを使用して抽出する場合、メーカーの推奨プロトコールに厳密に従って操作してください。DNA品質の低下を防ぐために、ユーザーマニュアルやトラブルシューティングガイドをしっかりと確認してください。DNA精製の際に使用された化学物質や酵素(フェノール、EDTA、proteinase Kなど)が残存するとPCRを阻害するため、確実に除去する必要があります。DNAの再精製か、もしくは70%エタノールによるDNA沈殿と洗浄処理によって、DNAポリメラーゼ反応を阻害する可能性のある残留塩類またはイオン(例:K+、Na+など)を除去して
はじめに 細胞培養では微生物などが培地に混入すること(コンタミネーション、以下コンタミ)は極めて重大な影響を及ぼします。コンタミが起こった細胞は培養を継続することは難しく、さらに他で培養している細胞への感染が広がる可能性もあります。コンタミを防ぐためには注意深い操作が重要ですが、もしコンタミしても微生物が増殖しないように、培地に抗生物質を添加することが広く行われています。 そこで今回は、細胞培養の培地にコンタミ源となりそうないろいろなもの、例えば唾液やほこりなどを入れ、抗生物質の効果を試してみました。 材料と方法 材料 培地:DMEM+10%FBS 抗生物質:Antibiotic-Antimycotic (100X) 構成成分と濃度: ペニシリン G(ナトリウム塩) 10,000 unit/mL 硫酸ストレプトマイシン 10mg/mL アムホテリシンB 25μg/mL 方法 培地500μL
タンパク質の抽出をする前に…細胞を破砕する2つの方法 一般的にタンパク質の精製は、試料からの総タンパク質の抽出(溶解)、目的タンパク質の分離・濃縮(アフィニティ精製)、干渉物質や夾雑物の除去(試料の調製やクリーンアップ)の順で行われます。細胞を破壊・溶解してタンパク質を抽出する操作は最終的に得られるタンパク質の収量や品質に影響するため、タンパク質精製における最初の重要なステップになります。細胞の破壊には、物理的手法や界面活性剤をベースとしたさまざまな手法が利用されています。 物理的手法には、ブレンダーやミキサーあるいはホモジナイザーを用いた機械的破砕法のほか超音波を用いた細胞破砕法や乳鉢・乳棒による破砕法などが利用されています。しかし、物理的手法による細胞破壊では、細胞破壊の際にサンプル中で局所的なタンパク質の熱変性が生じることがありタンパク質の変性や凝集を誘発してしまうという潜在的な問題
ホットスタートPCRは、通常、PCR増幅で特異性を高めるのに用います。ホットスタートPCR法は、抗体、アフィボディ、アプタマーといった酵素修飾因子、または室温でDNAポリメラーゼ活性を阻害する化学修飾を用います。これらの修飾は、相同性の低いテンプレート配列と結合したプライマー(ミスプライミング)、および互いに結合したプライマー(プライマーダイマー)に起因した非特異的な増幅を防止します。ホットスタート法ではDNAポリメラーゼの活性は室温で阻害されるため、特異性および増幅を大きく損なうことなく、高スループット実験の場合など、常温での多くの反応液調製を簡便にします(詳細はDNAポリメラーゼ特性を参照してください)。
概要 市販のヨーグルトに含まれる乳酸菌の生菌と死菌の割合を、Invitrogen™ Attune™ NxT Acoustic Cytometerを使って定量しました。その結果、今回使用したヨーグルト中には、乳酸菌の生菌が72%、死菌が22%の割合で含まれていました。Attune NxTシステムの検出部では、超音波を用いたアコースティックフォーカシング技術により、縦長の乳酸菌を全て一定の向きに一列で整列させて測定します。そのため菌体の向きによる蛍光強度のバラつきがなく、乳酸菌の生死を正確に測定できました。 用意するもの ヨーグルト(加糖・無糖問わず) Attune NxT Acoustic Cytometer LIVE/DEAD BacLight Bacterial Viability and Counting Kit, for flow cytometry 0.85%食塩水(0.2 μmフ
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蛍光は光エネルギーによるものです蛍光分子は定義上、ある色(波長)の光を吸収し別の色の光を放出します。この色の差をストークスシフトと呼びます。蛍光顕微鏡で使用されるカメラは、人の目には見えない波長のシグナルも検出できます。 波長、エネルギーと蛍光および蛍光色との関係、スペクトルなど、蛍光を定義する物理的性質についてご覧ください。 光の可視スペクトル光子(光を発生するエネルギーのパケット)は粒子および波としてふるまいますが、顕微鏡の光について話をする場合、通常は波長という表現をします。可視光、つまり肉眼で見える光は通常400~700 nmの範囲にあり、虹の全色を含み、400 nm付近の青色に始まり、700 nm付近の赤色で終わります。 図 1. 電磁スペクトル。可視波長およびその対応する色をハイライト表示しています。 蛍光観察の光は、人の目に見える範囲を超えています。一般的な 蛍光顕微鏡 にお
はじめに RNAはDNAと比較してとても分解されやすい物質です。RNAを取り扱う実験では、DNAを取り扱う実験よりも慎重な操作と分解を防ぐ試薬が必要です。RNAが分解される主な原因はRNaseのコンタミであり、RNA用の器具、材料には素手で触らないように手袋を常に着用して実験しなければならないことは、RNAを取り扱ったことのない方でも聞いたことはあるかと思います。 しかし、実際にRNAサンプルが分解したことを確認した方は少ないのではないでしょうか?そこで、今回は、グローブを着用した状態と素手の状態でRNAの抽出およびリアルタイムPCR実験を行い、本当にRNAサンプルが分解されるかどうかを検証してみました。 RNA抽出とリアルタイムPCR グローブを着用した状態、または素手の状態で、Hela細胞からPureLink RNA Mini Kitを使用してRNAを抽出した Qubit RNA HS
96穴プレートを使ってPCRをかけたりするとき、ちょっとスピンダウンしたい時ってありますよね?でもプレート用遠心機が自分のラボには無い!困った!! 今回は、そんな時に便利なマル秘アイテムをご紹介します! マル秘アイテムとは…… シャキシャキで美味しいサラダを作るための野菜の水切り用アイテム、サラダスピナーを使うと、なんと簡単にプレートのスピンダウンができます! 今回は、近くにある300円均一のショップでサラダスピナーを購入しました。Amazonなどで検索するとたくさんの種類のサラダスピナーがあります。購入する際は、プレートが入る大きさかどうかを確認しましょう。 プレートの遠心方法 溶液をプレートに分注したら、液が跳ねてしました。これではPCRをかけることができません……。 ※赤色のPCR溶液は、見やすくするために着色したイメージです。
第1回受賞作品<お題> 『どんどん進化する蛍光顕微鏡。今度発売される新型蛍光顕微鏡のスゴい機能とは?』 ★最優秀賞★ 無料だが大事なところにバナー広告が出てくる★優秀賞★ 見えないものを見ようとして蛍光顕微鏡を覗き込んだ♪~と、替え歌が流れたら、それはフィルターのセッティングが間違っているお知らせ。目を細めて覗くと超解像顕微鏡になる(ただしカメラポートでの当該機能の利用は不可)夏休みどこにも遊びに行かずラボにこもって検鏡してても、ソフトなUVでお肌に優しく日焼けが楽しめる日サロ機能搭載。細胞をプリクラ補正して撮ってくれる 第3回受賞作品<お題> 『新しく納品された自動セルカウンターに謎のボタンを発見!押すとどうなる?』 ★最優秀賞★ 実験者のやる気スイッチが入る★優秀賞★ ひみつの かいだんが あらわれた!「あとは俺が数えとくからさ、ちょっと休んで来れば?」と気遣ってくれるたまにサバを読む
Molecular Probes 蛍光教室へようこそ。本教室は、 The Molecular Probes Handbook を執筆し、Invitorogen™ Molecular Probes™ 製品をはじめとする 私たちが提供する蛍光試薬と機器を開発しているメンバーによって編集されました。蛍光試薬や機器の開発を進める中で経験したすべての基礎知識やテクニックを含めることが私たちの目標でした。その後、お客さまからの問い合わせを直接受ける技術サポートチームと各セクションを見直して、日頃お客さまからいただく一般的なご質問に対する回答も多く含めました。特にこれらのテクニックを使い始めたばかりのお客さまにとって、有用な情報になるでしょう。 私たちの願いは、この Molecular Probes 蛍光教室が、お客様が細胞やプロトコールなどの選択し実験計画を実行していく中で、上手く進めない時に、何が間
Orbitrap質量分析計の高分解能精密質量(HRAM)のメリットをご活用ください。Orbitrapシステムは液体クロマトグラフィー機器と接続して、未知および既知化合物の分離性能を向上させ、ハイスループットワークフローを実現します。 サーモフィッシャーサイエンティフィックは、OrbitrapベースのMSシステムの充実した製品群をご用意しています。イオントラップおよび四重極質量フィルターと組み合わされたシステムも提供しており、あらゆる分析ニーズにお応えします。 担当者へのお問い合わせ
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Learning at the Bench 続きを読む 自由研究「DNAの抽出」~プロが教える「なぜ」と「なに」 ※自由研究テーマを探しているお父さんお母... 続きを読む 連載NanoDrop道場 第9回 精度よく吸光度を測定する3つのTips 続きを読む 【やってみた】大量の細胞を抗体と反応させてみた(フローサイトメトリー) 抗体を使用してタンパク質を検出する場合、... 続きを読む シーケンス解析のトラブルシュート:シグナルの開始が遅れる シーケンス解析の結果、いつもより読めた長... 続きを読む 【やってみた】ウェスタンブロッティングの化学発光が機能しているか確かめたくて、光らせてみた ウェスタンブロッティングは、特定のタンパ... 続きを読む マイクロピペット用チップの選び方:種類、材質、特長 マイクロピペットのチップは、実験において... 続きを読む リン酸化プロテオミクスのL
Lipofectamine® 3000 試薬を使用することで、我々の導入困難な細胞株で10倍以上のトランスフェクション効率を得られたことにとても喜んでいますし、驚いています。それだけでなく細胞死も低減しました。素晴らしい結果です! — リスボン大学 Rui Eduardo Castro, PhD 多くの様々な導入困難な細胞に対して優れた性能を発揮 Lipofectamine® 3000 Reagentは、弊社が持つ最新の脂質ナノ粒子テクノロジーを利用しており、優れたトランスフェクション性能と再現性の高い結果を実現します。様々な導入困難な細胞および一般的な細胞において、非常に優れた導入効率をもたらし(図1)、細胞生存率も向上させます。 図1. Lipofectamine® 3000は、Lipofectamine® 2000および他社製品 FHよりも優れた性能を持ちます。各試薬を用い、HEK
「川柳 in the ラボ」研究者川柳コンテスト2013年「川柳 in the ラボ」は、ライフサイエンス研究者の苦楽を共有する場を提供したいとの思いで企画しました。予想を超える500作品以上の応募の中から選らばれた人気賞は、研究の進行状況をさりげなく訊ねるボスの一言を詠んだ句です。選定は、オンラインでイベントを視聴中の全国のライフサイエンス研究者です。日々いくつものラボで、ボスから若手研究者に、こんな問いかけがあるのかもしれません。 受賞作品の発表と、人気賞投票の様子もご覧いただけます!2013年10月22日(火)に開催されましたNEXT FORUM 2013 にて川柳コンテストの授賞作品(8作品)を発表した様子をここで紹介しております。榊佳之先生や岡本欣也さんのユーモラスなコメントやかけあいは必見!次回もたくさんのご応募をお待ちしております!
DNAの二重らせん構造発見から60年、PCR発明から30年、ヒトゲノム解読完了から10年。 過去、現在、未来。ライフテクノロジーズはDNA研究を行う皆様をサポートし続けます。»DNA Anniversaryとは? ライフテクノロジーズ NEXT FORUM 2013ライフサイエンスに関わるすべての研究者に新しい出会いの場を提供するNEXT FORUM。今年のテーマは「想像の歴史から、創造の未来へ。」 日本を代表してヒトゲノムプロジェクトを率いた榊佳之氏をナビゲーターに、再生医療、進化工学、脳科学の各分野を切り拓く科学者 ― 岡野栄之氏、四方哲也氏、大隅典子氏 ― が登壇。会場の参加者とオンライン視聴者と共に、次世代のライフサイエンスについて語り合いました。
Gibco®50 周年記念エッセイコンテスト「細胞培養とわたし」結果発表!この度は、エッセイコンテストに多くのご応募をありがとうございました。当初想定していたエッセイの枠を越え、恋愛やオリジナルイラストなど、幅広い展開と迫力ある内容に関係者一同圧倒されました。 大賞と優秀賞は、審査委員長の中村幸夫氏(理化学研究所バイオリソースセンター)と社員で選考させていただきました。中村氏もすべての一次審査通過作品を読み込まれ、審査過程で、ご自分の経験と照らし合わせて共感される場面が何度もありました。ご応募いただいたすべての方に感謝いたします。 大賞のお二人の作品は、「細胞培養」という一つの実験から、ふと蘇る時間を越えた切ない思い出や、研究者の性(さが)ともいえる抑えきれない好奇心がテーマです。無菌操作への集中力と遠心時間の手持ぶさたの時間が交互に交差する細胞培養。この時間は、研究者がいろいろな想いに耽
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電子顕微鏡Electron Microscopy Learning Center電子顕微鏡の初心者から熟練ユーザーにいたるすべての人に役立つリソースや参考資料を紹介します。 お問い合わせ 電子顕微鏡ではさまざまなサンプルのイメージングと分析が可能であり、膨大な分野および業界で利用されています。電子顕微鏡の利用によって科学者や研究者は、身の回りのマイクロスケールやナノスケールの微細な世界を見ることが可能となり、ヒト細胞の内部はもとより、合金を構成する個々の原子の配列すらも確認できるようになりました。物質の構成要素を直接精査することは、自らに対する理解だけでなく、私たちの世界や、宇宙に対する理解をも深めます。 このページで提供されている電子顕微鏡に関するさまざまな情報リソースや教育リソースは、学生や教育者に限らず、この魅力的なテクノロジーについて関心を持つあらゆる人の役に立つはずです。 電子顕
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