日本銀行は最近、過去のデフレ対策を総括する「金融政策の多角的レビュー」という専門家の意見も踏まえた文書を公表した。デフレに本格的に陥った1990年代後半から現在までの日銀の金融政策についての成果と課題を検証したものだ。 この文書では、インフレ目標を踏まえた量的緩和など非正統的な金融政策の成果とその問題点がかなり詳細に記述されている。非正統的金融政策は効果があったが、他方で副作用もあったとする内容だ。ただこの種の文書は「官僚文学」として成立しているので、日銀自体の責任や、また日銀が顔色を常に見ている財務省の責任は曖昧だろうな、と公表される前から思っていたが、案の定その通りだった。 まずわざわざ90年代後半からのデフレの検証を始めたので、それ以前のバブル形成やその崩壊、その後の経済低迷といった事実関係がまったく無視されている。これらの出来事を引き起こした主犯は、日銀の政策ミスだ。90年代後半か