友禅染 友禅染とは江戸時代に発達した,日本を代表する文様染です。江戸中期に宮崎友禅(みやざきゆうぜん)によって完成されたためこう呼ばれますが,その手法自体は江戸初期から存在していました。色の混合を防ぐために糊を用いるのが特徴で,そのため多彩で華麗な絵文様を描き出すことができます。 友禅染誕生以前 寛永から正保(1624~1647)頃に刊行された『毛吹草』(けふきぐさ)に見られる京都の染物は,鹿の子(かのこ)のような絞り染めを除くと,そのほとんどが模様のない一色の染物でした。ところがその後,茶屋染などの模様染が流行し,次第に華美なものが好まれるようになります。 それに対して江戸幕府は,天和年間(1681~84)に禁令を出し,金紗(きんしゃ)や刺繍,総絞りなど贅沢な衣裳は,着ることはおろか作ることさえ禁止してしまいます。 そのため,刺繍や絞りなどを使わずに,色彩の鮮やかさで華麗さを演出する,新