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ドラクエ3
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7月1日からスーパーやコンビニのレジ袋が有料化されたが、これは世界の流れに逆行している。プラスチックのレジ袋を禁止していたアメリカのカリフォルニア州は、4月からレジ袋を解禁した。「マイバッグ」を使い回すと、ウイルスに感染するおそれがあるからだ。レジ袋を禁止していた世界各国でも、解禁の動きが広がっている。 そんな時期に、わざわざレジ袋を有料化する目的は何だろうか。経済産業省のウェブサイトによると「廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化を防ぐためにプラスチックの過剰な使用を抑制」することが目的だと書いてある。 まずレジ袋をなくすと、どれぐらい資源が節約できるだろうか。日本で消費される原油のうち、プラスチックの生産に使われるのは2.7%で、レジ袋に使われるのはその2.2%、つまり原油の0.05%である。これをゼロにしても、資源の節約にはならない。 レジ袋の材料になるポリエチレンは
~厳しすぎる土壌環境基準、環境対策にお金と時間をかけすぎてはいけない~ 豊洲市場に水道はあるの? 小池百合子東京都知事の登場で、豊洲市場予定地の安全問題について、私の周囲にいる高齢者の女性たちの関心も高まり、昨年の秋口は集まるとその話題という状況だった。誰もが「もう、安心してマグロの刺身もダメね」というような心配を口にしていた。筆者は、あるとき、聞いてみた。どうして、と。「あんな水で洗った刺身なんか食べられない」。地下水は、市場では使わないと説明すると、「では、水はどうするの?」となり、掃除も含めて水道水を使うと答えると、「水道があるのか」とつぶやくような声になった。そこにいた他の人も、大半は、市場では井戸水で魚や、まな板を洗うと考えて、ニュースを聴いていたようだった。 もちろん、これは完全な間違いである。 東京都は「豊洲市場において地下水の飲用その他の利用は予定していないため、問題は生じ
1954年のビキニ環礁での米国の水爆実験 【GEPR編集部】 日本の内外から、日本の保有するプルトニウムへの懸念が出ています。ところが専門家によると、これで核兵器はつくれないとのこと。その趣旨の論考です。 しかし現実の国際政治では、余剰プルトニウムは「原則として持つべきではない」という名目の下に核管理が行われています。 【以下本文】 「原子炉級プルトニウムで核爆弾が作れるか?」という議論は過去40年間にわたって何度も繰り返して行われてきた。その結論を一言でまとめれば、核爆弾が広い意味での「核爆発装置」を意味するのであればイエスであり、ミサイルに搭載する核弾頭を意味するのであればノーである。 日本が現在国内外に保有しているプルトニウムの総量は約48トンであるが、そのほとんどは「原子炉級プルトニウム」である。10月23日の朝日新聞社の社説では、その48トンを「原爆6000発分」と表現しているが
(図1)ロスアトムがCGで作成した放射性物質トリチウム除去装置 (1日480立方メートルの水の処理が可能、サイズ :50 – 51 – 46 m) (GEPR編集部より) ロシアの国営原子力会社ロスアトムが6月、トリチウムの自らの分離を、グループ企業が実現したと発表した。東京電力の福島第一原発では、炉の冷却などに使った水が放射性物質に汚染されていた。その水では特別な装置で大半の放射性物質の除去には成功したが、水と性質が似ているトリチウムの除去ができなかった。 この技術は、どの国もこれまで大規模には成功していない。トリチウムは、放射性物質であるものの有害性は少ないとされ、どの国でも、また日本の他の原発でも一定量の外部環境への排出は認められている。 しかし政府は風評と批判を恐れるためか、福島原発の処理では、理由を明確にしないまま、このトリチウムを含んだ処理水を、東電にため込ませ続けている。3月
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から5年が経過した。震災と事故の復旧は着々と進み、日本の底力、そして日本の人々の健全さ、優秀さを示した。同時にたくさんの問題も見えた。その一つがデマの拡散だ。 「福島が放射能で汚染され人は住めない」という誤った情報は、不必要な混乱を生み、人々を苦しめ、復興を遅らせた。今はそうしたデマも少なくなり、当時の発信者は無責任にも口をつぐんでいるために、問題は解消に向かっているように見える。しかし悪影響は残る。健康被害は起きないにもかかわらず、1mSv除染など過剰な放射線防護対策が行われ、復興や帰還を遅らせている。さらにはストレスによる住民の健康被害も生んだ。 写真は福島県富岡町で筆者が撮影した荒廃した避難区域と、除染で出た廃棄物の山の光景だ。こうなる必要はなかった。この不必要な現状は、デマによる過剰な心配が理由の一つだ。 デマ拡散者の行状を観察すると、彼らは反
3月27日、フィンランドの大手流通グループケスコ(Kesko)は、フィンランドで6基目に数えられる新設のハンヒキヴィ(Hanhikivi)第一原発プロジェクトのコンソーシアムから脱退することを発表。同プロジェクトを率いる原子力企業フェンノヴォイマの株2%を保持するケスコは、ロイターに対して、「投資リスクが高まったものと見て脱退を決意した」と伝えた。 欧州諸国では、ドイツ、イタリアなど脱原発を決めた数国をのぞき、原発が建設されている。また発送電分離を採用する国が多い。原発は初期投資が膨大になる。そこで最近、コンソーシアム、つまり事業法人をつくり、そこの参加者が負担を引き受ける変わりに、安めの電力を享受するという仕組みで作ろうとする動きがある。このハンヒキヴィ原発もその形式での建設が検討されていた。 ケスコは、フィンランドの二大流通グループのうちの一つ。全市町村に一つはあるスーパーマーケット・
先日、ある学会誌に「福島の子供たちの間で、甲状腺がんが他の地域の20-50倍上がっている」という論文が受理されたようです。(注1)最近になり、この論文が今でも世間で物議をかもしているという事を聞き、とても驚きました。なぜならこの論文は、多少なりとも甲状腺やスクリーニングの知識のある研究者の間ではほとんど問題にされないものだったからです。 しかし、このような研究者の態度がジャーナリストの反応とあまりにかい離しているために、むしろ 「福島の研究者が不当に真実を隠している」という誤解も生んでいるようです。 なぜこのようなかい離が生まれたのでしょうか? ひとつの理由は、統計や疫学、甲状腺がんやスクリーニングに関する知識の違いの差があります。もうひとつは、研究の妥当性と政府に対する批判の妥当性が混在してしまっていることがあるように思います。 ここではまず論文の限界について述べた後、この論文が報道され
(上より続く) 20-50倍は驚く数字か この論文の中では、さらに 「でも、スクリーニング効果で何十倍も発症率を上げるとは考え難い」 という議論もなされています。しかし、例えは過去の韓国の論文によれば、一般人の甲状腺がんのスクリーニングが導入されたことで、甲状腺がんの罹患率が15倍に上がった、というデータがあります。これは10万人当たり約4人であったものが、約60人まで増加しています(図)。(注6) この論文によれば、スクリーニングの受診率が10%上がると、甲状腺がんの発症率が10万人当たり約40人増加したとしています。もし100%に上がったら、単純計算で10万人あたり400人増加、つまり元々の4人から比べ100倍になるという事です。 福島県の子供たちのスクリーニング受診率は100%ではありませんが15%よりはるかに高いので、スクリーニング効果は15倍から100倍の間くらいになることが予測
JR東海の葛西敬之会長が日本原子力学会シニアネットワーク連絡会のシンポジウム「原子力は信頼を回復できるか?」で8月3日に行った講演の要旨は次の通り。 公益事業の類似性 私は一介の鉄道会社の人間で、専門家の前でエネルギーの話をするのは戸惑う。 しかし企業としてエネルギーと鉄道は似た面がある。公益事業でサービスを止めてはならないこと、そして行政と政治に影響を受けるなどの点だ。 東京電力と電力業界は今、福島原発事故とその後の混乱で経営の危機に直面している。また原子力の将来に不透明感がある。私は国鉄の経営の崩壊に直面したが、分割民営化という内部からの改革によってJRへと再生する仕事に関わった。一常識人としての意見だが、参考になればと思う。 非常時の仕事での方向の見つけ方 私は1963年に国鉄に就職した。これまでの仕事は、どれも非日常的なものだった。前例がない、地図のない道を歩いてきたように思う。
福島の原発事故から4年半がたちました。帰還困難区域の解除に伴い、多くの住民の方が今、ご自宅に戻るか戻らないか、という決断を迫られています。 「本当に戻って大丈夫なのか」 「戻ったら何に気を付ければよいのか」 という不安の声もよく聞かれます。 福島県に努める医師としてこの帰還問題を眺めた時、まず、帰還する・しないという選択は、何の為に、誰の為にあるのか、という事を考えていただきたいと思います。帰還は国益の為でも地域振興のためでもありません。決断を下された1人1人の方が、その決断によって健康にならなければ意味がないのではないでしょうか。 帰還を決められた方、迷われている方が、今後放射能を正しく恐れ、正しく避け、そしてより健康になっていただくために、健康を守る医師という立場から考えていただきたいことが5つあります。 1.100ミリシーベルトは、がんに「ならない」値ではない。 「100ミリシーベル
再エネ振興は菅直人首相(当時、左)と民主党政権、反原発を唱えた文化人の支持が重なり、補助が膨らんだ。その価値はあったのか。(11年夏の映像。テレビ東京ニュースより) 「太陽光発電」は環境にやさしくなかった 山梨県北杜市の環境破壊の状況は異常で、もう取り返しがつかなくなっている。 現場を見て、次の問題が浮かび上がる。 第一の論点として、「環境にやさしい」という良いイメージで語られる太陽光が、一部地域では景観と住環境を破壊しているという問題がある。そして規制が条例レベルでも、国レベルでも適切ではない。 第二の論点として、再エネと太陽光の拡大が社会混乱を一部で生んでいる問題がある。地域社会で一部の人を不幸にし、社会的にある有形、無形の資産価値を損ねている。そして地域住民の対立まで生んでいる。 もちろん再エネの振興はさまざまなメリットがある。しかし一度切り倒したら再生まで時間のかかる森林をつぶして
危険な手抜き工事だらけ 山梨県北杜市は同県北部に位置し、八ヶ岳山系の南麓に広がる高原地帯で森が広がっている。ペンション(欧風民宿)や別荘が建ち並び、観光地の「清里」もある。「国蝶」と日本昆虫学会が決め、準絶滅危惧種に指定されている保護が必要な「オオムラサキ」の繁殖地でもある。 筆者は、現地の団体「太陽光発電を考える市民ネットワーク」の案内で6月下旬に訪問した。状況はひどいもので、日照のいいところは太陽光パネルだらけになっていた。そして森林が切り開かれていた。
(写真)事故直後に避難所になった、郡山市の「ふくしまビッグパレット」。混乱状況において、おかしな情報を流したデマ拡散者は日本を破壊する意図があったとしか思えない。 混乱を楽しむ異常な人々 東日本大震災と福島原発事故から4年が経過した。その対応では日本社会の強み、素晴らしさを示す一方で、社会に内在する問題も明らかにした。一つはデマ、流言飛語による社会混乱だ。 「福島の原発事故で出た放射性物質による健康被害の可能性は極小であり、日本でこれを理由にがんなどの病気が増える可能性はほぼない」。直後から日本政府と内外の有識者は、一致してこの趣旨の認識を示した。 ところが特に原発事故と健康の関係で、デマ情報が拡散した。放射能という見えない脅威がやってきて、しかも私たちの大半には知識がなかった。当初の動揺は当然だっただろう。しかし、それが続いてしまった。 拡散した人は、社会を混乱させようと悪意を持たずに行
原発事故の起こった福島で、機会あればさまざまな形で原子力と放射線についいて説明しています。原子力にかかわってきたものの責務であると考えるためです。除染をめぐる質問で、長期目標に設定された年間追加被ばくの1mSv(ミリシーベルト)が正しいのかということです。私の行う説明を皆さんに紹介し、少しでも福島の不安を和らげたいと考えます。 年1mSvという基準は過剰に安全に配慮したものです。 (1)1mSv/年のリスクはどの程度か 放射線の被ばく影響は、広島と長崎原爆被災者に対する放射線影響協会の疫学調査で調べられています。右図に示すように、200mSv以上で、過剰相対危険度(リスク)が、被ばく量とともに上昇すること、ほぼ線形になっていることが分かります。民間団体で世界各国の政府に放射線の防護基準を提言するICRP(国際放射線防護委員会)は、この結果に基づいて、100mSv被ばく当たり(生涯)がん死亡
はじめに NHKが2014年12月21日に放映したNHKスペシャル「メルトダウンFile.5知られざる大量放出」を見て驚いた人が多かったのではないだろうか。これまで知られていなかった放射能の大量放出がこの番組のNHKの取材で明らかになったという内容だ。 一般市民は事故から4年も経つのに今ごろまでこんなことも解らなかったのかと驚き、福島の被害住民はこれまで考えていた以上の健康影響があったのかも知れないと不安感を抱くような内容だ。一方で、多くの専門家は事実認識があまりにも大きくずれていることに驚いた。 NHKがどのような意図をもってこのような番組を作ったのかは知るよしもない。しかし、これを真に受けた視聴者は原子力発電所に必要以上の不安感を抱く結果になったことは間違いない。 安全だ、安全だと言い続けた事故前の安全神話は反省しなければならない。正しい情報に基づいて危険性に向き合った議論することは必
不安と諦念の飽和 原発事故から3年半以上がたった今、福島には現在、不思議な「定常状態」が生じています。 「もう全く気にしない、っていう方と、今さら『怖い』『わからない』と言い出せない、という方に2分されている印象ですね」。福島市の除染情報プラザで住民への情報発信に尽力されるスタッフからお聞きした話です。 私の住む相双地区(福島県浜通り南部の相馬市、双葉郡)に住むことを選ばれた方の中でも、必ずしも安心が得られているわけではありません。今でも魚は産地に限らず1匹も食べない、洗濯物は外に干さない、という方もいらっしゃいます。 「いろいろ説明を聞いてきたけど、都合の悪いデータは全部隠して説明されている気がする」。放射能の恐怖について何も言わない方々でも、よく聞いてみれば、このような発言が聞かれることも多いのです。 一方で、福島の現実をついて、福島の復興を支えようと、努力を重ねる医学者、科学者たちの
(国際環境経済研究所版) 刻下の日本におけるエネルギー問題(電力供給問題)が中小企業に及ぼす負の影響について、安定供給・価格上昇・再生可能エネルギー導入・原発再稼働などの側面から掘り下げてみたい。 まず安定供給については、何れかの地域で停電が発生しているわけではないが、今の供給状況は安定的とは言いきれないということを認識すべきである。なぜならば、本来その役目を終えていたはずの老朽火力(稼働から40年以上)が原発代替として供給の一翼を担っており、その計画外停止件数は年を追うごとに増加しているからである。 また、老朽火力でない火力発電所についても、定期メンテナンスの繰り延べや高い稼働率の維持により計画外停止に追い込まれる場合もあり、供給力の約9割を占めるまでになってしまった火力発電の供給体制が盤石な状態であるとは言い難い。 次に価格上昇については、東日本大震災後の火力発電量の増加に伴う燃料調達
1986年に世界を震撼させたチェルノブイリ原発事故。筆者は14年11月に作家の東浩紀氏が経営する出版社のゲンロンが主催したツアーを利用して事故現場を訪問し、関係者と話す機会を得た。福島原発事故を経験した日本にとって学ぶべき点がたくさんあった。そこで得た教訓を紹介したい。 結論を示すと、筆者は以下のことを考えた。 1・膨大な除染の負担、恐怖感による社会混乱、デマによる風評被害、避難者のストレスなどチェルノブイリの経験が、日本の福島事故で似た形で繰り返されている。特に「失敗した」と評価できる悪い面においてだ。日本はウクライナの経験を学ぶべきだった。そして今からでも参考にすべきだ。 2・現実を見聞すると、ある対象について脳裏でつくられた「イメージ」は変わる。チェルノブイリは実情以上に悪いイメージがつくられ、それがウクライナと全世界に定着してしまった。福島事故をめぐって、私たち日本人は観光という形
低線量放射線の被ばくによる発がんを心配する人は多い。しかし、専門家は「発がんリスクは一般に広がった想像よりも、発がんリスクははるかに低い」と一致して指摘する。福島原発事故の後で、放射線との向き合い方について、専門家として知見を提供する中川恵一・東大准教授に聞いた。(全3回) (1・発がんは増えますか?) (2・福島で甲状腺がんは増えたか?) 問い4 避難している人たちの健康ではどんな点を心配していますか? 答え4 生活習慣の悪化が影響した病気の増加を懸念しています。 ――中川先生はチームを組んで福島の支援活動を続けてきました。どういう理由からだったのですか。 中川 私は、東大病院の緩和ケア部門の責任者です。この部署では放射線技師、看護師、医師、心理学カウンセラーなどさまざまな専門家ががんの治療に関わります。そのために原発事故で、いろいろな知恵を活用しやすいと思いました。「チーム中川」という
低線量放射線の被ばくによる発がんを心配する人は多い。しかし、専門家は「発がんリスクは一般に広がった想像よりも、発がんリスクははるかに低い」と一致して指摘する。福島原発事故の後で、放射線との向き合い方について、専門家として知見を提供する中川恵一・東大准教授に聞いた。(全3回) (1・発がんは増えますか?) 問い2 福島で甲状腺がんが増えたという報告があります。原発事故の影響でしょうか? 答え2 甲状腺がんには検査を増やせば「発見」も増える特徴があります。 ――福島県では原発事故当時18歳以下だった27万人の甲状腺診断が行われています。今年2月には「75人に甲状腺がんとその疑いを発見」との発表が福島県からありました。子どもの甲状腺がんの発生率は、100万人に1〜2人という報道もあります。どのように考えるべきでしょうか。 中川 これは、原発事故の影響によるものではありません。 韓国では今、甲状腺
現場主義者の「浜通り留学」 リウマチの疫学を学ぼう、と公衆衛生大学院への留学を目指していた私の元に、インペリアルカレッジ・ロンドンから合格通知が届いたのは2011年2月28日。その時は、まさかそのわずか11日後に起こる事件のために自分の進路が大きく変わるとは、想像もしていませんでした。 留学後に災害公衆衛生を学び始めた私は英国のPublic Health Englandや世界保健機関(WHO)など、大きな組織でもインターンをさせていただきました。しかし臨床屋の悲しい性でしょうか。私はどうしても「現場」が気になる体質のようです。結局留学生活の後に腰を落ち着けたのは、ここ、福島県相馬市でした。 しかし、浜通りに対する偏見がどれだけ残っているのか、ということに、私はうかつにも気づいていませんでした。 海外にも残る偏見 「『フクシマに行くの』って友達に行ったら、『そんな危険なところに行くな』『行く
大阪の2つのビルの奇妙な対比 大阪のビジネス街である中之島で、隣接する2棟のビルの対比が話題という。関西電力本社ビルと朝日新聞グループの運営する中之島フェスティバルタワーだ。関電ビルでは電力危機が続くためにその使用を減らし、夏は冷暖、冬は暖房が効かない。中に入ると不快さを感じるという。そして間引いて照明されているので昼は薄暗く、夜もまばらな灯りの中で社員が残業している。出入りする社員の表情も暗いそうだ。 一方で、中之島タワーは夜通し光り輝き、中では冷暖房がしっかり効いて快適な電力多消費ビルだ。12年に完成して、商業施設を併設し、朝日新聞大阪本社も置かれている。 今年の夏の関西の電力不足は危険な状況にある。関電の原発が今夏に全停止しているためだ。関西の電力ピークは一番の猛暑日となる8月第2−3週ごろ。この時期に行われる朝日新聞が主催者に名を連ねる全国高校野球大会も影響する。今はそれほどでない
(RT:ロシア・トゥデイ、ロシアの政府出資によるニュースサイトより)(記事) (GEPR編集部より)ロシアが6月、新しい高速増殖炉を完成させ、運転を開始した。増殖炉研究で先行した日本とフランスは進歩が逆転された。日本のもんじゅは16年も止まったままで、フランスでも研究が凍結されている。ちなみに米英は、核兵器の材料になるプルトニウムを増やすため、このタイプの原子炉研究を停止している。福島原発事故で、この事故を起こした軽水炉の安全性に懸念が広がる。この解決策として第四世代原子炉への期待が再浮上。それでロシアが世界で先んじていることは確かだ。ただしこのリポートでは、原子力の危険性に対する警戒は皆無だ。その無邪気さに、日本との国情の違いがうかがえる。 [2014年6月27日] ロシアのウラル地方にある最新型の高速増殖炉で運転が始まった。完結した核燃料サイクルの始まりと、核廃棄物なしの発電のはじまり
福井地裁は、5月21日、福井や大阪など22都道府県の189人が関電を相手に運転再開の差し止めを求めた訴訟で、差し止めを命じる判決を言い渡した。報道されているように、「地震の揺れの想定が楽観的で、安全技術や設備は脆弱で、大飯原発の半径250キロメートル以内に住む人の人格権を侵害する具体的な危険がある」というのが判決の骨子である。 この判決は、科学技術の適切な利用を否定する。技術の進歩を否定し、絶対的なゼロリスクを求める不適切な判決だ。以下、具体的に指摘する。 (1) 原子炉は地震で壊れたことはない 判決では、過去10年間に4つの発電所で5つの想定を超える地震があったと指摘しているが、いずれの地震においても原子力発電所の一次系(原子炉の防護を行う保護系統)に地震による致命的な損傷は発生していない。 これは、発電所の配管や機器の設計が、実力的に十分な余裕を持っているためである。原子炉1次系に用い
ICRP勧告111「原子力事故または放射線緊急事態後における長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用」(社団法人日本アイソトープ協会による日本語訳、原典:英文)という文章がある。これは日本政府の放射線防護対策の作成で参考にされた重要な文章だ。そのポイントをまとめた。 ICRPとは何か、そして日本への影響とは この文章は国際科学防護委員会(ICRP)が2008年に公表した。ICRPとは1950年に設立された民間団体。同団体はUNSCER(国連原子放射線の影響に関する科学委員会)に集まった放射線をめぐる情報を基に専門家が対策を勧告している。ICRPの意見を参考にして、国際機関のIAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機構)が、放射能をめぐるさまざまな国際基準を作成し、加盟各国に勧告する。 福島原発事故の後で、日本政府はICRPの提供する指針、特に勧告111を政策決定の参考に
12月3日放送の言論アリーナ「米国ジャーナリストの見る福島、原発事故対策」に、出演した米国のジャーナリスト、ポール・ブルースタイン氏が、番組中で使った資料を紹介する。(全3回) ポイントは「1・米国のメディアは日本の原発事故のリスクを、誇張して伝えてしまった」「2・米国政府は事故直後、東京に危険はないと科学的に検証した」「3・ところがNRC(米原子力規制委員会)のグレゴリー・ヤツコ委員長(当時)が主導して、日本滞在中の米国人に避難勧告をするなど、過剰な防護策を取った。これは危険を誇張したもので、日本人に不安を与えてしまった」というものだ。 ブルースタイン氏は、NHKなどの外国向け報道は冷静だったと分析した。しかし同放送で対談したアゴラ研究所の池田伸男所長は、「他のメディアは新聞から、テレビまで危険を強調した。他国のメディアを批判できないほどひどいものだった」と指摘した。 ブルースタイン氏は
思想と文化からの新しい視点 捕鯨やイルカ漁をめぐる騒動が続いている。和歌山県太地町のイルカ漁を批判的に描写した「ザ・コーヴ」(The Cove)が第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したのは、記憶に新しい。 2014年1月にキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使(@CarolineKennedy)が「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています」とツイッターに投稿したことで、再び関心が高まった。また捕鯨に関しても、2月2日のシー・シェパードによるもののように、日本の調査捕鯨のたびに妨害が繰り返されている。 これらに対する日本側の反論としては、池田信夫氏の「ケネディ駐日大使の自民族中心主義」が典型的なものであり、本稿の結論もまた池田氏の主張とほぼ同様である。本稿では、これらの問題を思想・文化問題として考えてみたい(な
福島第一原発事故から3年近くたち、科学的事実はおおむね明らかになった。UNSCEARに代表されるように、「差し迫った健康リスクはない」というのがほぼ一致した結論だが、いまだに「原発ゼロ」が政治的な争点になる。この最大の原因は原子力を悪役に仕立てようとする政治団体やメディアにあるが、それを受け入れる恐怖感が人々にあることも事実だ。 その原因は、原発事故のようにきわめてまれで被害の大きいテールリスクが、普通のリスクと違って予測しにくく、それを扱う方法論が確立していないためだと思われる。ここではテールリスクについて経済学でわかっていることを簡単に整理し、それをエネルギー政策に応用してみる。 安全神話というモラルハザード テールリスクという言葉は、正規分布を考えた場合、その分布曲線の両端(テール)の事象(通常は3σ以上)という意味だが、最近は正規分布を前提としないで非常にまれな(しかし重要な)出来
【映画「パンドラの約束」は来春、日本で公開される。配給・問い合わせはフィルムヴォイス社。このほど、ストーン監督が来日し、東京で試写会があった。以前掲載の筆者記事を改訂する。近日中にストーン監督のインタビューをGEPRに掲載する。】 原子力を題材にしたドキュメンタリー映画「パンドラの約束(Pandora’s Promise)」を紹介したい。かつて原子力に対して批判的な立場を取った米英の環境派知識人たちが、賛成に転じた軌跡を追っている。 この映画は今の日本に役立つ議論の材料を提供するであろう。日本では福島原発事故の後で、原子力の信頼が失墜して、批判を含めさまざまな議論が噴出した。また原子力政策の混乱が続いている。この映画の主張は原子力推進だが、提示された論点は、原子力についてどの立場の人にも意味のあるものだ。 1・はじめに パンドラの約束は、ロバート・ストーン監督によって製作され、今年1月に米
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