『フランクフルト学派と批判理論 ——〈疎外〉と〈物象化〉の現代的地平』 スティーヴン・エリック・ブロナー 著/小田透 訳 訳者解説 わたしたちが持っているものは必ずしもわたしたちの欲しいものではない。わたしたちの欲しがるものだけがわたしたちの持てるものだとはかぎらない。そのことを、ユートピアはわたしたちに気づかせてくれる。(本書一〇八頁、訳文を一部変更) 本書はOxford University PressのVery Short Introductionsシリーズのなかの一冊、Stephen Eric Bronner, Critical Theory: A Very Short Introduction. 2nd Edition (2017)の全訳である。第一版は二〇一一年に出版されている。「はしがき」にあるとおり、第二版では三章の「批判理論とモダニズム」が新たに書き下ろされ、全編にわたっ