今年のノーベル物理学賞は、広がりを見せる人工知能(AI)の機械学習を確立した米国とカナダの研究者2人に贈られることが決まりました。機械学習の中核を担う技術は、人間の脳神経のつながりをまねた「ニューラルネットワーク」です。実は、この技術の歴史をさかのぼると、「源流」の一つは日本にありました。受賞者に先駆け、重要な成果を上げた日本人研究者たちは、AIの発展に大きく貢献しています。 (榊原智康) ノーベル物理学賞を受けるのは、米プリンストン大のジョン・ホップフィールド教授(91)と、カナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン教授(76)です。 ホップフィールド氏は1982年、脳の構造をヒントに機械学習の原型となる数理モデル「ホップフィールド・ネットワーク」を開発。断片的な記憶から全体を再現する「連想記憶」をコンピューターで実現することを可能にしました。 ヒントン氏は85年、ホップフィールド・ネット