10人ほどの作業員が見守る中、地下に埋まった直径約60センチの水道管が、ゆっくりとショベルカーにつり上げられて姿を現した。茶色に深く錆つき、泥にまみれた管は、まるで不発弾のようにもみえる。 記録的な猛暑に入る直前、大阪市港区の道路で行われた水道管の交換作業風景。「実際に掘ってみないと管の状態は分からんもんやけど、地盤がよかったのか、50年前の水道管にしてはきれいな方や」。現場を監督した市水道局の係長は、額に汗をにじませながら、昭和36年に敷設された古い管を見つめた。 大阪市の水道事業は明治28年に始まり、今年11月で満115歳を迎える。管路網の総延長は5187キロ。広大な中国の東西距離にほぼ匹敵する長さだ。 地方公営企業法施行規則では、水道管の法定耐用年数は40年とされる。この“寿命”を超える管は、大阪市では総延長の3割近くにあたる約1500キロ、全国では地球1周(約4万キロ)を超える約4