「や、やったー」朝のラッシュで賑わう改札で、サラリーマン風の男が興奮を抑えられず叫んだ。みんなの注目が電車の発車時刻を示す電光掲示板の下のスロットに集まった。緑のLEDでかたちどられれた数字がクルクルと回り始める。駅全体が息を呑んだ。数字が静かに止まる。電光掲示板には10,000,000という数字表示された。と、同時に「うぉー」という低い歓声が張り詰める空気の中で響きわたった。「1000万円が当たったのだ」男は満面の笑みを浮かべ管理事務所に向かった。 最近、確実に電車利用者が増えているという。というのも乗降客はこの高額当選システムが目当てだからだ。スイカとパスモなどにこのシステムが導入されてから既に1年がたつ。カードで改札を通過する瞬間、抽選システムが作動し、当たりくじを引くと改札でブザーとともに大当たりの文字が表示される。すると、目の前の電光掲示板で再抽選され、当たりの金額が、なんでも鑑