米国からの客、ヒルデガードに、東京を見てもらおうとバスツアーに参加した。東京には丸2日しか滞在できない。能率よく、ざっと東京を見るために、英語ガイドによるバスツアーを選んだ。それが最悪だった。何ともひどいガイドだったのだ。どれほどだったか、エピソードからはじめよう。一日コースの後半、水上ボートで浅草に行くことになっていた。そのころ、40人を超える外国人観光客は、このガイドに、あきれ果てていた。日の出桟橋でボートを待つ間、オーストラリアから来て、グループでこのツアーに参加した人々が、私や連れのヒルダにこう話しかけてきた。「あのガイドの話を聞くのは、もううんざり。みんなで彼をボートから海に投げ込みましょうよ、と話しているの。ほら、彼、ガイドの目印として鯉のぼりの小旗をもっているでしょう。投げ込まれた彼が海にゆっくり沈んでいき、あの旗先のお魚が海の中でくるくると泳ぐくところを見たいわ」。みんなが