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大谷翔平
blog-ja.activegamingmedia.com
皆さま、初めまして。今回こちらのメディア・センターでコラムを連載させていただくことになった、日本人ゲーム翻訳者の羽無エラーと申します。拙コ ラムでは、毎回、ビデオゲームに関連するテーマを何か一つ取り上げ、そのテーマについて、ゲーム翻訳者の一人として、またはゲーム業界人の端くれとして、 もしくは税金を納めている東京都民の一人として(?)、簡単にお話をさせていただく予定でおります。平たく言えば、ゲーム画面に向かって心に移りゆくこと を自由に書き綴るコラム、ということです。 というわけで早速、第一回のテーマである”unlock(アンロック)”についての話をしようと思います。”unlock”とは海外のゲーム内で目 にすることが多い英語であり、隠しキャラクターや隠しアイテムといった、ゲーム内で最初は使えなかったものを、特定の条件を満たすことにより「使える状態 にする」という意味で用いられる動詞です。
前回に引き続き、今年のGDCを振り返ってみよう。 『The Walking Dead』(2012)や『極限脱出ADV 善人シボウデス』(2012)といった作品がGDCアワードで注目されたように、昨今ではアドベンチャー・ゲームというジャンルが再評価されている。そして、アドベンチャーの再評価と連動して、ビデオゲームにおける「ナラティブ」や「ストーリー」という問題が再検討されている。 「ルドロジー vs. ナラトロジー」といえば、これまでゲーム・スタディーズの中で幾度と無く議論されてきた問題だ。現在ではそのようなゲームにおける本質を問う議論は、どちらかと言えば鳴りを潜め、むしろ「ビデオゲームは何を語れるか」という関心に重きが置かれている感が強い。 実際、GDCでも「Game Narrative Summit」が開かれ、このテーマに強い関心を持つ人々が集まった。古くて新しいこのテーマだが、今回は「
2013年5月31日金曜日 Is Kickstarter just a hype? (PART3) 前回のコラムから大分、期間が開いたが、今回でクラウドファンディングの話に一旦ケリをつけたい。先週から筆者は京都の立命館大学で行われた国際日本ゲーム研究カンファレンスに出席していたが、そこでも北米のゲーム研究者たちとKickstarterの話題になった。 ゲームを研究するような人々が集まっていたわけなので、当然、ほとんどの人々がKickstarterでなんらかのプロジェクトに出資していた。「俺はあのプロジェクトのbacker(出資者)なんだ」と自慢話が始まり、最後には“We are all backers!”と謎の連帯感が生まれた。こういったオフラインのコミュニケーションもクラウドファンディングの楽しさの一部だろう。 さて今回は、実際にKickstarterなどのクラウドファンディングにおいて
2013年5月15日水曜日 Is Kickstarter just a hype? (PART2) 前回の予定通り、今回(とさらに次回)はデジタルなコンテンツにおけるクラウドファンディングの有効性について考察したい。物理的な製品に関するクラウドファンディングの有効性に私は限界を感じている。では映画や音楽、そしてビデオゲームといったデジタルなコンテンツに関してはどうだろうか?WIRED誌風に言うならば「アトムのクラウドファンディング」に対して「ビットのクラウドファンディング」はイケているのか? デジタルであることのメリット 私の結論から言わせていただくと、ビットのクラウドファンディングはすごくイケている。ごくシンプルな問題として、物理的な製品と異なり、デジタルコンテンツはサプライを心配する必要がない。原材料はクリエイターの生活費だ。デジタルコンテンツは還元すればクリエイティブなデジタルデータ
2013年4月30日火曜日 電王戦に見る文化としてのゲームのあり方 先週の4月20日、「ついに人類がコンピュータに敗北したのか!」というセンセーショナルな話題が注目を集めた。映画の『ターミネーター』などの話ではない。知っている人も多いだろうが、将棋のプロ棋士とコンピュータが対決する「第2回電王戦」の話だ。 2011年1月14日に行われた第1回において、既に米長邦雄永世棋聖が「ボンクラーズ」というソフトに敗北を喫している。だが、今回は現役のプロ棋士と将棋ソフトによる団体戦が行われ、コンピュータ側が3勝1敗1引き分けという勝利を勝ち取り、いよいよ将棋の世界においてコンピュータの強さが明らかになってきたのである。 チェスではさらに古く、1997年にIBMのスーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」が、現役のグランドマスターのガルリ・カスパロフに勝利している。ゲーム理論において「二人零和有限確定完全
2013年3月18日月曜日 革新性と多様性:BitSummitを振り返りつつ思うインディーゲームのあり方 レコード会社時代のソニーの「新人発掘路線」を振り返った前回では、SCEのコンテンツ戦略について書くと述べたが、急遽、テーマを変更させていただきたいと思う。「鉄は熱いうちに打て」という脳内のゴーストのささやきに耳を傾け、今回は先日、3月9日に行われたBitSummitを振り返りつつ、今後のインディーゲームのあり方について個人的な意見を述べたいと思う。 改めて説明は不要かもしれないが、BitSummitは日本のインディペンデントな開発者を世界に紹介するために開かれたイベントだ。主催者のジェームズ・ミルキー氏はQ-Games所属のプロデューサーかつジャーナリスト。イベントの内容については、既に各メディアから報道されているため、ここでは繰り返さない。だが、ミルキー氏がインタビューで応えているよ
2013年3月1日金曜日 部屋と引越しとビデオゲーム PlayStation4の発表や著名ゲームクリエイターの飯野賢治氏の訃報が報道される中、私はこの一週間、引越し作業で忙殺されていた(SCEのコンテンツビジネスの戦略及び飯野氏については時期を改めて書きたいと思う)。そのため、ゲーム業界の動向については、一足遅れてニュースを確認している。しかしながら、「引越し」というある種の「イニシエーション」は人間とビデオゲームの関わり方を考えるには良いきっかけになったように思える。 引越しにおけるパッケージとダウンロード 他の国の人々はどうか知らないのだが、日本における引越し作業は苛烈を極める。なによりも日本の住環境はグローバルに見ると、極端なまでに狭い。そのくせに日本人は物を収集することに愛着を感じる人が多い。 私も御多分にもれず、大量のCDと本、そして音楽雑誌を所有しており(一部は研究のための資料
2013年2月7日木曜日 90年代のJ文化 90年代からゼロ年代にかけて日本のサブカルチャーは、日増しにドメスティックな傾向をもつようになった。洋楽を聴く若者は減り、映画や文学などの海外文化に興味を持つ人間は非常にマイノリティになっていったのである。そして、海外文化の後退と共に登場してきた言葉は「J-POP」や「J文学」といった一連の「J」である。 それらの用語の一部は忘れられ、一部はありふれたものになった。対照的にマンガやアニメ、そしてゲームといった日本が独自に発展させた既存のコンテンツ産業には「J」の字が付されることがなかった。要するにマンガやアニメは「日本のモノ」であることは当たり前であるため、わざわざ「Jマンガ」や「Jアニメ」と呼ぶ必要はなかったのである。 しかし、例外はある。「JRPG」だ。 一連の「J」と同様、JRPGも場合によっては蔑称であり、場合によってはニュートラルなジャ
2013年1月16日水曜日 ゼロ年代とスチームパンク 今更なのだが、最近になってガイ・リッチー監督の映画『シャーロック・ホームズ』を見た。本作はあのコナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズ」の現代的な解釈として話題を集め、推理というよりアクション性が高いエンターテインメント作品だ。中でもロバート・ダウニーJrが演じる現代的なシャーロック・ホームズは引きこもりの発明家でありながら、ロンドンで賭けボクシングをやるような風変りなゴロツキ風。ディア・ハンターの帽子をかぶった英国紳士とはまた違った趣があり、これはこれでなかなか楽しかった。 だが本作の一番の魅力は、その衣装やガジェットなどの美術や19世紀後半に独特なロンドンの風景だ。アカデミー賞の美術賞を受賞するほど、衣装やガジェットは凝っており、特にホームズが発明するガラクタのようなガジェット、さらに結末に大きく関わる大量破壊兵器などのデザイン
2013年1月7日月曜日 ゲーム開発の民主化とその先にあるもの 謹賀新年。 昨年2012年はゲーム産業にとって激動の1年だっただろう。日本国内ではソーシャルゲーム業界が 台頭する一方、コンプガチャが社会問題化。また多くのコンシューマゲーム会社がスマートフォン・プラットフォームに乗り出した。 海外ではドキュメンタリー映画『Indie Game: The Movie』が公開されるなど、インディーゲームが大きな注目を浴びた。中でもMinecraftは累計1750万ダウンロードという偉業を達成し、こち らもドキュメンタリー映画『Minecraft: The Story of Mojang』が制作された。もはや海外のインディーゲームシーンはクリエイティビティの点でも、産業の規模としても、無視できないものになっている。 昨 年末、筆者も足を運んだ「黒川塾」第四回目では、エンターテイメント大賞を決定
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