○上野友愛、岡本麻美『かわいい絵巻』 東京美術 2015.5 サントリー美術館に『宮川香山』展を見に行って(レポートはまだ書いていない)、ミュージアムショップで本書を見つけて買ってしまった。サントリー美術館の上野さんと、山口県立美術館の岡本さんという、二人の女性学芸員によって生まれた、カラー写真満載、ソフトカバーでお値段も手頃(1,800円)な絵巻鑑賞の入門書。しかも、キーワードは「かわいい」なのである。そもそも絵巻は「かわいい」のか?という疑問に対しては、巻頭で二人の対話がいちおうの回答を返してくれている。色もかたちも、リアリズムをがっちり追求するのではなく、写実に慣れた現代人からするとアンバランスに見える表現も、かわいいことがしばしばある。いわゆる「ゆるカワ」。このへんが核心だと私は思う。 しかし、そんな考察は後回しにして、とにかくページをめくって作品を見ていくと、私の好きな「かわいい