武田雅哉『万里の長城は月から見えるの?』(講談社、2011年10月) 「万里の長城は、月から(あるいは宇宙から)見える唯一の建築物である。」日本でもよく知られた言い回しですが、2003年に中国で最初に宇宙飛行を成し遂げた楊利偉が「宇宙から長城は見えましたか?」とインタビューされて「見えませんでした」と答えたばかりに、中国では「えっ、オレたち今まで騙されてたの!?」「いや、高度によっては見えるはず……」「そういや国語の教科書にもこの話が載ってるんだが、それは一体どうなる?」と、この「長城伝説」をめぐって大騒動がおこり…… ということで、「長城伝説」をめぐる言説を取り上げたのが本書。著者の武田氏は過去にも『楊貴妃になりたかった男たち』なんて本を書いてましたけど、今回も実に面白いテーマに目を付けたなあという思います。それにしても「長城伝説」が言われ出したのはアポロ11号が月面着陸に成功して以後の