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雪斎殿がエントリーを更新し、菅直人首相にに対して「彼は政治家として誰に憧れ、誰に倣おうとしたのか。」と問いかける興味深い論を記されている。「中興の祖」を高く評価するというこの論は、氏の過去のエントリにもそのような考え方が滲み出ており、頷けるものがある。現役の政治家ならともかく、自分が考えても仕方が無いのだけれども、誰かの文章に刺激を受けて何かを記すというのが本来のBlogのあり方でもあろう。せっかくの機会であるから自分ならこう考えるというのを記してみたい。この文章を読んでいる読者諸氏も、多くの政治家を思い浮かべ、誰を評価するか、誰に共感するかというのを考えてみてはどうだろうか。 まず、基本的な考え方であるが、私はこの問いに対して、戦国時代やら、もちろんそれ以前の昔の日本の人物の名を上げる人をあまり高く評価しない。政治は人の考え方の営みであり、現代と社会状況も人の考え方もまるで違う、より正確
何とか生活は出来ている。定期的な更新に復帰できれば、とは思っているのだが。 書きたいことは色々あるのだが、昨今の民主党政権と国内情勢に関して、少しばかり所見を述べてみたい。今の日本が問題山積であることは間違いなくはあるが。もっともEUも散々な情勢ではある。ユーロ安でのドイツの風景とか、あれは何だろう。そりゃ庶民には輸出企業の恩恵の実感は薄いだろうが。 民主党政権: 鳩山内閣はもちろん。管内閣になっても評判は散々なようだ。しかし私としては、世間の反応がむしろ妙に思える。事前の期待があまりに高すぎたようにしか見えないのだ。悪くすると日米安保が飛ぶ確率も2割くらいあるかなと思っていたのでこの程度の被害なら自民政権と大差ないので止む無しかと思っている。いや、皮肉ではなくて。結局、これは思想より実益を重視するという日本の伝統的な政治の風景を民主党もまた反映した結果なのだろうと思う。 さて、現実の政権
久々の投稿である。昨年目を悪くして以来散々である。手術後の経過自体はまずまず順調という話であるが、それでも元通りとはなかなかいかない。視野の周辺は少々歪んでいるところがあり、結果的に山のように残った飛蚊症も手が出ない形だ。全国的に有名な眼科をいくつか訪問したが、当面定期観察で様子見にするしかなさそうである。仕事や生活は何とか続けられるがとにかく疲れる。行動力が半減したというところか。まぁ、幸いにも黄斑部にまで被害が及ばなかっただけ良しとするしかないが。 さて、今回は地震で大きな被害を受けたハイチの孤児問題を取り上げてみたい。国内報道が相対的に少ないと感じているからだ。後述するがこの問題は今月のフォーサイトでも取り上げられており大変参考になった。 米国では後述する事件のせいもあり継続的な報道があるが、背景のまとめとしてはBBCのこの記事あたりがいいかもしれない。(参照1)日本のWikiped
昨年から眼病に悩まされ、最終的には網膜剥離で入院手術ということになってしまった。思っていたよりもかなり大変だった。評判の良い眼科ということもあり術後の経過は良いが、まだ何かと不便なのは否めない。とはいうものの、失明もせず生活も仕事も何とか継続できそうなので良しとするしかないだろう。追加で別の治療は考えないといけないかもしれないが。まぁ、そんなこんなで何とか生きている。 すっかり世情にも疎くなったのでなかなか復活とはいかないが、せっかくなので様々なテーマに関するちょっとした所感でもメモして、久々の挨拶としておきたい。 衆院選: いよいよ明日が投票ということになった。今回は自民党が政権継続というわけにはいきそうもない。民主党も頼りない印象があるせいか世の中のフラストレーションは大きいようにも思える。しかし私としては、元々の期待が大きくないせいもあるが、今まで定期的な政権交代がなかった民主国家と
別に1年のまとめというわけではないが、年末なのでちょっとした所感を記しておきたい。金融危機以来の状況の変化は大きいのでなかなか追いかけられない。エントリを増やしたいという気はあるのだが、どうにも途中で止まってしまうという状況だ。 麻生政権: これは私の個人的な予想が大きく外れた結果になった。首相就任直後のマスコミの報道には違和感を持ち、そもそも解散など微塵も考えていないのだろうと考えていた。なってしまえばこっちのものとばかりに、「解散するために就任したわけではない。内閣総理大臣の責務を果たすために就任したのである」とでも発言して平然と任期切れまで居座るかと考えていた。しかしその後の各種報道、本人の発言を見ると必ずしもそうではなかったようだ。もちろん公に出来ない事情があるのかもしれないが不可解に思える。なぜなら、逆説的だが今の首相の政治的な拘束条件はあまりないからだ。次の選挙は普通にやれば自
米大統領選は間もなくである。長い選挙戦も終わり、次期大統領が決まる。そうなる前に一言くらいは書いておきたいと思う。 現在の所オバマ氏が優勢と報道されている。もちろん選挙の常として終わるまでは分からないが、州ごとの情勢で見るとマケイン氏はかなり苦しいようだ。金融危機以降はマケイン氏にミスがあったかもしれない。米大統領選は加点での評価と減点部分を厳しくチェックされるという二つの側面がある。そして今回の両候補、いずれも歴代の大統領候補の中ではかなり魅力的な方ではないだろうか。加点法ではいずれも魅力があるように思える。しかしながら、減点につながる部分を厳しく管理し、最小限に押さえ込んだいうことで、オバマ氏に軍配が上がるという結果に結びつくのではないだろうか。そして、恐らくは選挙後も見据えてのことであろうが、後で自分自身の言動で選択肢が狭まることも注意深く回避しているようにも見える。 オバマ氏の公式
グルジアでの紛争が再燃し、大きな国際問題となっている。最新の報道ではロシアが武力行使を停止したとされており、小康状態にはなったというところだろうか。この問題はあまりに複雑な要因が絡んでいるが、国内報道への違和感もあるので多少言及しておこうかと思う。 全般としてはBBCのこの記事が簡潔に南オセチアにおける経緯をまとめており有用だが(参照1)アブハジアも含めもう少し経緯を記述したものとして、(論調には異論があるかもしれないが)ル・モンドの以前の記事も背景として参考になろうかと思う。(参照2)またこれも少し以前であるが、このopenDemocracyの記事も推薦できる。(参照3)いずれにせよ、現地の状況と国際社会ではどのような枠組みで対応してきたかということが重要であろう。 南オセチア・アブハジア両地域では比較的整然と選挙が行われ、実質的には国家としての体裁を整えている。そして上記の記事にあるよ
さして多くのブログを閲覧しているわけではないので、少し前、同じくらいの時期に雪斎さんとforrestalさんのブログが閉鎖と聞いた時には寂寥の念を禁じ得なかった。こちらも実質は似たようなものであり、どうしようか考えた。しかし細々とではあるが、残しておこうかなと思っている。ここしばらくは身辺が落ち着かなかったという事情もあるし、ニュースを見るのもうんざりという国内外の状況もそれに拍車をかけた。とはいうものの、そういう時期にこそ活動せねばならないのかもしれないが。とりあえず、リハビリというわけではないがまずは国内問題で少し雑記を。 福田政権: 正直、とにかく腹が立つ。あまりこのブログでは感情を前面に出したくないのだが我慢がならない。 全くもってこの政権は評判が悪いが、これは自民党に深刻なダメージを与えている。駄目だとは思っていたがここまで駄目だとは思わなかったあたり、安倍政権と似ている。ただ安
コソボ独立宣言を受け、各国が様々な立場を表明している。セルビアはもちろんのこと、ロシアも反対のようだ。また米国はかねてから独立を支持してきたという経緯もあるが、同国の政治的伝統を考えると支持するのは理解できるが、EU諸国がかなり早期に一致して結束した感があるのは興味を惹かれる。私の思い込みに過ぎないかもしれないが、EU諸国としてはもう少し時間をかけて着地点を探る外交が普通で、今回は多少高め玉のような気がしなくもないからだ。以前にも関連エントリを書いたが、節目ということで多少思ったことを書いてみたい。 米国の大手メディアとしては、ヘラルドトリビューンの報道がやや目立ったので代表として取り上げておきたい。同紙にはややその傾向があるようにも思うが、欧州的な政治感覚がこの記事にも見られる。(参照1/2/3/4/5)2番目の記事の一部を引用する。 The second is to ask when
この所の更新の少なさを考えると、年のまとめという意味も薄い。雑記の延長とでも思って欲しい。来年は大変な年になりそうでもあるし、多少はエントリを増やしたいところである。 ・ブット元首相暗殺 年末に衝撃的なニュースが飛び込んできた。元々パキスタンの不安定な政治情勢においては安定に寄与できる人物が少なく、パキスタンのほぼ全ての人にとってマイナスの面しかないだろう。普通に考えればムシャラフ政権にとっても悪い要素でしかない。アルカイダ関与が確定したかどうかはまだ不明のようだが、いずれにせよ同様に混沌から利益を得る組織の支援で発生したと見るべきであろう。 米国の反応は予想通りである。ただ、性急に民主化を求めているという面ばかりではないだろう。パキスタンの国民の現状から生まれるリーダーとして、ムシャラフ政権はそれなりに理性的な存在とは言えないだろうか。つまり、イスラム国家としてのパキスタンへの不満を「非
少し以前からの話であるが、国内での報道も少ないのでメモを残しておきたい。ニジェールと関係諸国の状況である。 この国は元々フランスの旧植民地で縁も深い。そして経済的には世界の最貧国に近い水準であるのだが、近年の資源高騰の影響を受けて、世界有数の採掘量であるウラン鉱山開発が活況を呈している。また石油も産出するので世界の多くの資本の注目を集めている。 しかしこの種の開発が国内で対立を激化させることがあるのもまた良くある話である。ニジェールの場合は、ベルベル人の系統であるトゥアレグ(参考:Wikipedia)が関与する紛争がしばしば伝えられる。ニジェールにおける人口比としてはおよそ8-10%であるが、古来より勇猛さで知られているようだ。事態は深刻で、最近もウラン鉱山がゴーストタウンになるような事件も報道されている。(参照1) このような背景があるため、外国企業がニジェールにおいて資源開発に参入する
ちょっと今回はひどかった。少し前に仕事は落ち着いたがすっかりバテていた。書きたい事は色々あるが語りつくされている事が多いとも思った。それでも、ここしばらくのトピックに軽く所感を記すくらいの事はしようと思う。 ・安倍首相辞任 今年の前半は普通に出来の悪い首相という印象であったが、最後に至る経緯はあまりにも不可解な点が多いように感じた。以前にも似たような事を書いたが、内閣を支える立場の人間が、各人の地位において力を尽くす事に対するインセンティブは極めて薄かったと思う。もちろん高い地位にあるのだから私利を過度に要求せず公共のために働けという批判は為されて然るべきである。しかしそれにしても状況が悪すぎた。米国との関係は確かに良くなかったが、それでも国内の支持があればもう少し続いたであろう。 ・北朝鮮外交 現在の米国の方針は、このまま継続して成果を出すのが難しいものかもしれない。しかしこのブログでも
ここ最近極めて多忙で、何とか家には帰れる、という程度の日もしばしばである。9月中頃までは何もできないに近い状況だ。それを過ぎれば、相変わらずマイペースではあるが細く長く維持するつもりである。相変わらずアクセスいただいている皆様には申し訳ない限りです。 ところで、本ブログからもリンクしている「さくらの永田町通信」が閉鎖の憂き目にあったという話を聞いた。本ブログの別のリンク先複数に記述されているので知っている方も多いと思う。私は上記の通り多忙で、最後のエントリなどは目にすることができずとても残念である。安倍首相批判のエントリは読ませていただいた。確かに反響も大きかったようであるが。 それにしても度量の狭い事であると思う。彼女が党関係者にあたることはブログ内容からして分かるとしても、どのような立場の人であるかは、例えば私などは全く把握していない。党に属する立場ではあるが、一般の自民党員の中では比
参院選であるが、周知のように自民党は厳しい情勢である。ただこれは日本の政治状況を考えると無理からぬ面もあろうかと思う。第二衆院にすぎないなどと言われることもあり、参院の意義がしばしば問われている昨今、これを機に自分の考えをメモしておきたい。(最初はM.N.生さんへのコメントとして書いていたのですが、長くなったのでエントリにしておきます) まず参議院に関する私の考え。しばしば一院制への移行などが話題に上がる。私はこれは適切でないと思うし、強く反対する。周知のように日本は議院内閣制で、行政府に対する直接選挙がない。まずこの事を認識しておかないといけない。県知事はあるが、これも周知のように地方政府の権限、県民の自治意識も、他の工業国と比較すれば良く分かるが、それほど高いものではない。日本のような人口の多い、複雑で多様な社会と産業構造を持つ国には、政治への多様な反映の場が必要である。この二院の選挙
雪斎殿もこちらのエントリで取り上げておられるが、今月の「中央公論」に掲載されたシーガル氏の「拉致敗戦」という記事は興味深いものである。これを機会に北朝鮮関連と安倍政権に関するエントリを書いておく。私の基本的な考え方は過去のエントリ(参照1/参照2/参照3)などを主としてしばしば書いてあり、それを変更する必要性は感じない。ただし、表層に現れた米国の行動は異なるので人により誤解をするかもしれず、色々補足する必要もあるかもしれない。 このシーガル氏の記事には、要点以外に様々なキーとなる要素が埋め込まれている。要約は雪斎殿のエントリを参照していただければ良いが、その他注意すべき内容は以下のような所であろう。 ・2005年9月の共同声明は米国が孤立した形でまとまった。当時の日本も賛成している。 ・これに反発する米国内の政治勢力はブッシュ大統領が抑えた。 ・小泉前首相は常に制裁に抵抗した。刀は持っても
forrestal様、エントリでのリンク有難うございます。長くなったのでこちらもTBでコメント代わりのエントリとします。自分の過去のエントリへの補足も兼ねていますが。 久間氏への発言にはまたかとげっそりしています。ちなみに軽く2chの関連スレを見物していましたが、そこですら前後の発言を踏まえて「学者や評論家ならそういう考え方も確かにあろうが防衛大臣の言としては不用意ではないか」と冷静な意見が多かったのに笑いました。もう言葉がないです。なお日米でこの問題への見解が違うのは当然でしょう。とっくにお読みとは思いますがこれをリンクしておきます。 歴史認識に関しては、日本人は外国のマジョリティの状況を過剰に気にする傾向があるかと思います。民主主義である限り同じ国内でも多様な見解があり、外国を非難する前に国内ではどうなのかという話になります。例えば従軍慰安婦の決議は問題になりましたが、それでも日本の大
最近は雑誌で比較的良いと思った記事に巡り合うことが多かった。紹介しようとして手がついてなかったが、次号が発売される前に書き記しておく。 ・論座 この雑誌は最近面白い。朝日新聞社発行ということで全般としては左派的な論調が目立つのは変わらない。ただ強固な編集方針があるというわけでもなさそうで、個別にはかなり毛色の違うものが掲載されている。場合によっては全く相反する論が掲載されているくらいだ。もっともForeign Affairsの掲載自体がそもそもそうであったのだが。この7月号から2本を簡単に紹介。 「シリーズ 中国アップデート 3 郎咸平」 香港中文大教授である郎氏にインタビューするという形で中国経済に関して述べている。中国が吸収したのはその多くが儲からない製造業で、安価な労働力と高い技術を結び付けようとする外資は、その多くがうまくいっていないとしている。問題は企業の考え方そのものであり、日
以前のエントリでも取り上げたEUの憲法条約であるが、修正を加える形で各国の合意が得られる見通しとなったようだ。(参照1)修正された内容は多岐にわたるようだが、これもかねて報じられていたように、全体を簡素化して主権に関連する部分を抑えたものになるようだ。概要はこのあたりのニュースがよくまとまっている。(参照2/参照3)" 元々内容的に憲法とは言い難く、"constitution"の語句を削除したのは適切なのだろう。またEUの大統領職は置かれるが外相ポストは無い。象徴的な部分は残すが実質の部分は(少なくとも現時点では)機能させずに、あくまで各国の主権を尊重するというところか。しかしその他理念的な部分の多くに手が加えられており、各国の微妙な世論に配慮した結果が伺える。そしてEUの多数決原理はより人口を反映した形に変化していくようであるが、やはりここは揉めるポイントになった。 これも報じられていた
Seasaa系のブログではフリーのテンプレートがかなり出回っているようだ。デザインは前からどうにかしようと思って手がついてなかったが、色々探してこれは比較的気に入ったのでしばらく続けようと思う。面倒がらずに自分で準備すればいいのだろうが。 さて、政治と金の話は定期的に話題になるのだが、今回もHacheさんのエントリに反応する形で書いてみようと思う。 松岡氏の事件は唐突で驚いた。美化してはならない話で、さすがに政界には色々な意味で自制が効いているようにも見えた。氏がどういう人であったかは私は詳しくないので、ただ残念であり、厳粛な態度で臨まねばならない悲劇であるというだけにとどめる。しかしこのタイミングで、一部であるが、有能だが黒い政治家を良しとするような論調がある事には違和感を覚えた。念のために確認しておくが、松岡氏個人がどうであったかはまた別の話である。 一般論として、政治家は清廉であるこ
ロシアの対欧米外交が強硬なものになっている昨今だが、その影響は様々な所に出ている。ミサイル防衛の件もそうであるが、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟の噂が流れているようだ。もちろん両国とも公式なコメントは出していない。しかし水面下で様々な模索がされていることは間違いないだろう。 言うまでもなく両国の事情は少々違う。歴史的にも中立政策を維持してきたスウェーデンとソ連・ロシアに気を遣わねばならなかったフィンランドでは選択肢も異なる。これまでの経緯としては、珍しく面白い内容が日本語のみで記されているWikipediaのものが参考になる。(参照1)ちょっと演出的過ぎるが北欧各国の立場を分かりやすく示している。どの国もそれぞれの事情で必死だったというわけだ。特にデンマークは実に興味深い外交大国なのだがここでは省略する。ちなみに米国は冷戦期に中立国にはかなり一線を引いて外交関係を結んでいたようだ
Hache氏のブログでかんべえさんに御不幸があった事を知った。私は御二方いずれにも直接の面識があるわけではないのですが、オンラインでは随分お世話になっているという感覚があります。タイミングも遅くなり、私がここでというのもいささか的外れかもしれませんが、心から弔意を示させていただきます。 いずれ誰にも回ってくる事ではあるが、やはり肉親は健在であるに越したことはない。私も随分前に亡くなった父親の事を思い出した。ブログなのでたまには個人的な日記もよいであろう。 父が亡くなったのは1985年だった。私も成人前であるし、若い頃にありがちな事として自分の志がうまく現実に反映されるわけでもなく、どうにもままならない日々であった。家庭の状況も病弱な父親を抱えて大変な日々だった。たまたまというか、かんべえ氏の著作にそのものずばり「1985年」がある。良書であるが、私はそのような個人的な事情から複雑な思いで読
サミット開催が報じられているが、現在の欧州はEU憲法に関する討論が主要な政治課題となっている。新たに就任したサルコジ仏大統領は精力的であり、縮小された規模でのEU憲法を模索しているようだ。日本でも報道はされている。(参照1) このEU憲法であるが、憲法と名付けられてはいるものの多分に象徴的な表現である。これに関してはBBCの記事が簡潔に現状を表現している。英国の冷淡さを反映してはいるが、かといって別に嘘を書いているわけでもないあたりに苦笑する。(参照2)その他各項目に簡単に言及しているこちらも分かりやすい。(参照3)一部引用する。 The procedures by which laws are passed have not fundamentally changed. Laws will still be proposed by the executive body, the Comm
トルコの政治は混迷を深めているようだ。この記事を執筆している段階では、従来議会が指名していた大統領を国民の直接投票とする法案をトルコ議会が可決したと報じられている。(参照1)しかしながら大統領は拒否権を持っており、まだ紆余曲折がありそうな状況だ。 与党の公正発展党(以下AKPと記述)は国民の広範な支持を得ており、国民の直接選挙とすることでその立場を強化したい意図があるのは間違いない。にもかかわらず、一方でトルコ国民は軍部の政治介入を容認ないしは支持してきた歴史がある。これはタイなどでの国民意識と比較すると面白いかもしれない。タイの場合は王室もあり、国民が政治的に一体感を感じる対象はかならずしも議会が主導的に持っているわけではない。ではトルコの場合はどうだろうか? 専門家というわけではないので考え違いがあると指摘していただけると有難いのだが、トルコ国民の軍部に対する支持は、進歩性や公正性の象
本ブログに関して、個人的な友人に対してはあまり知らせていないのだが、昨日の会話で2名程度の読者は増えることになるかもしれない。まぁ、本人に知らせるちょっとした業務連絡である。なお今回のエントリはそれを受けたものでもない。別に更新が急いで必要なわけでもないし、たまには前向きな話題も書きたいと思っただけである。このリベリアにまつわる話は以前の経緯が陰惨なものであっただけになおさらである。 安全保障理事会は、4月27日にリベリアのダイヤモンド輸出を解禁する決定をした事が報じられている(参照1)いわゆる「ブラッド・ダイヤモンド」問題は映画の影響もあって国際的にも批判されていた。通常の一次産品(例えば原油が典型)と比較して、商品に至るまでの生産設備の問題が少ないことは、むしろ外国勢力による利権の問題を少なくさせた。正確に言うと政治的障害となる構造ではなかったというところか。いずれにせよこの問題での禁
既に様々なページで話題になっているが、Google Earthはダルフール紛争に関する新レイヤーを追加したと報じられている(参照1)この試みは大変に有意義なものだ。情報とそれによる人の意識の変化のみがこの種の問題を解決するからだ。本ブログでも何回か取り上げているこの問題だが、簡単ながら状況の推移を記しておきたい。 前回のエントリでICCの対応を取り上げた。その後戦争犯罪であることは間違いないということになり、代表的人物として容疑者も名指しして引き渡しを求めることになった。しかしスーダン政府はこれを拒絶している。(参照2)これは政治的に大きな情勢の変化と言えるだろう。信頼性の高い人物の情報がソースとなり、公式な国際機関からの正式な要請を拒絶したという事実が残るからだ。 にもかかわらず、昨年国連の組織改編の一環として成立した国連人権理事会の対応はお寒い限りである。理事国の顔ぶれはこのようなもの
米国と韓国がFTAを締結することで合意したと報道されている。今まで交渉の難航がしばしば伝えられており、悲観視されていたものが一転合意となったことから話題となっている。コメや自動車が大きな争点として取り上げられていたが、FTAの内容は全体としてどのようなものであるのだろうか。 朝鮮日報の記事が比較的うまくまとめており、概観するには参考になるだろう。(参照1/参照2)かなり広範な要素を含むFTAであることが分かる。韓国には確かに農業問題などの政治的に困難な部分があるだろう。しかし全体としては有利なものであることは間違いない。それでは米国の立場はどのようなものであるのか。 USTRは経済規模の大きなFTAの妥結であることを強調している。(参照3)しかしこのFTAの興味深い点は経済効果だけでなく考え方にあるように思う。PDFでやや詳細に各項目に関して言及しているが、農業分野、製造業分野もさりながら
紛争が断続的に続いている北アイルランドであるが、北アイルランドの議会を構成する代表的な政党、民主統一党(DUP)のペイズリー党首とシン・フェイン党のアダムズ党首が会談し、自治政府を再開する事で合意したと報じられている。(参照1)今回の和平は長続きするのだろうか。 この北アイルランド問題、アイルランドとの間で昔から続いてきた伝統的な紛争の延長に位置し、宗教対立が背景にあると理解する人もいるが、必ずしもそのように解釈すべきではない。現在の国境の状態を直接規定した英愛条約にしても1921年と充分に近代のものであり、シン・フェイン党に近しいIRAは1969年の分裂により日本でIRA暫定派と表記される(以降英語圏に多いPIRAと表記)武装組織が成立している。これは様々な思惑が錯綜する政治路線の現代的な対立問題と解するべきであろう。ちなみにPIRAのテロに自爆テロは確認されていない。あくまで政治活動の
雪斎殿のブログは概してコメント欄も含めて冷静な意見が多いのだが、今回の従軍慰安婦、米下院の決議に関わるエントリは少し変な方向に議論が流れているという印象がある。コメント代りに前回の私のエントリの補足も兼ねて多少意見を付け加えてみたい。 まず、米国の意図はあまり邪推しないほうがいいと思う。あの国はどこそこの国の政権を転覆すべしという意見を堂々と連邦議会の議員がインターネット上で公言する国柄である。副次効果に関しては大声で言わないというのはあるかもしれないが、原則部分はいつも明確に示されている。今回は純粋な人道問題扱いという事だ。別段米国議会として珍しい事ではない。 問題はコミュニケーションで、これは現在の日本の保守政治家全般が今回の問題をうまく切り回せていない印象がある。例えば、先の雪斎殿のエントリなどもそうであるが、当時の貧困地域の貧しさを理解してもらおうという意見が多い。これも普通にやる
昨今、従軍慰安婦問題が米国下院で取り上げられ、再度注目を浴びる形になっている。歴史認識の問題はいつも難しいが、自分が良く見る数少ないブログで取り上げられていたこともあり、このエントリでコメントの代わりとしておくつもりである。 forrestal殿のエントリで歴史認識のレベルを分かりやすく例示しており、この種の問題を取り上げるときに整理された思考の手助けとなろう。ただ、リンクしておいてこういうのも何だが、筆者の見解は少し異なる。ここで言うファースト・レベルの検証段階とセカンドレベルの認識・解釈レベルはこの問題の出発点と終着点であると思うのだ。中心に検証の結果得られる客観的事実があり、アカデミズムの原則で事実が追及されるのを基本とする。しかし認識・解釈レベルは、各国・地域・文化集団・個人によって実に様々である。同じ国の中でも異論があり、少なくとも民主主義国では、多数派はこうであるという言い方し
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