この記事は,複式簿記と会計システムの構造を代数的に解明する研究書『Algebraic Models for Accounting Systems』の書評です。 複式簿記の美しさや規則性の背後には,代数的な構造が見いだせます。本書はそんな複式簿記にもとづく会計システムの諸性質を証明によって明らかにするチャレンジングなテキストです。 この記事ではテキストの概要を述べたあと,章ごとに内容をまとめます。 どんな本か(本書の目的) 『Algebraic Models for Accounting Systems』は,複式簿記に基づく会計システムを数学的に定義し,その性質を証明によって明らかにする研究書です。 本書の目的は会計システムの代数構造を研究し,その意義を明らかにすることです。序文には以下のように記述されています。 The object of the present work is to ma