サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
やる気の出し方
spa-game.com
作った経緯とかデザイン思想 amazonリンク ボードゲームの基本は競りである。ゲーム内資源に対して「値を付ける」、言い換えれば価値を判断して支払ってもいい犠牲を計算する行為は全ての根源である。陣取りは駒で土地を買う。ワーカープレースメントはワーカーでアクションを買う。RPGは金で装備品を買う。ほかにも株を買ったり属州を買ったりゲーマーはいつも買い物に大忙しだ。 こうした「競り」のルールを構造に分解し、いくつかの二項対立に落とし込む。ちょうど音声学で母音を前後・開閉・円唇非円唇に分類する様な具合だ。すなわち 金を支払うか、機会費用を支払うか 財物を買うか、アクションを買うか 値段を釣り上げるか、段々値段が下がるか 順番に値を付けるか、同時に値を付けるか 単独の物品が対象か、いくつかの組み合わせが対象か 単一の競りが行われるか、同時に複数の競りが進行するか 支払い能力が固定されているか、後か
Q.趣味を仕事にしたら人生楽しいか? A.ふつう 元々ゲームが好きで、趣味でボードゲームを作り始めて、売ってみたら存外好評でそれがそのまま仕事になって…という噛み砕いた身の上話をする機会が増えた。会社を作って士業の人とか取引相手と話さねばならなくなったからだ。大抵は「すごい」とか「羨ましい」とか「いい人生ですね」という感想を寄越すのだが、それは果たして実態を捉えているか? 現実はもう少し灰色である。まず生活の良し悪しと生業にしている活動を楽しんでいるかどうかは殆ど関係がない。仕事中に好きなものに触れていられるメリットは、好きなものに触れている間も仕事について考えねばならんデメリットで概ね相殺される。第一仕事としてやる以上、成果や生産性が全てであり何もかもその為に最適化せねばならん。遊びを作る仕事とて遊びでやってはおれん。 生活水準に直結するのはむしろ仕事が「どれぐらい苦痛でないか」である。
男同士で子供が作れたらどうなるかという思考実験 知り合いにサンドウィッチマンの両方に半分ずつ似ている男がいる。冗談で「2人の子供なのではないか」などと言っているが、もし本当に男同士で子供が作れたら何が起きるのだろうか? 暇に任せて計算してみた。 まず父親2人の生殖細胞を掛け合わせて受精卵を作ることが可能だと仮定しよう。本来ミトコンドリア遺伝子は母方からしか受け継がれないがそれもどうにか解決したとしよう。その他の生物的社会的諸問題も全て片付けて普通に男同士で子供を作る時代になったらどうなるか? 興味深いことに男性人口が段々減っていくのだ。 生殖細胞が作られる際は減数分裂によってX染色体とY染色体のどちらかが引き渡される。異性交配であれば母親はXX、父親はXYなので受精卵の組み合わせはXX(娘)かXY(息子)のどちらかである。 ところが父親が2人いる場合、どちらもXYを持っているためXX・XY
単騎で強いタイプの指揮官は部下に無闇な期待をするという話 「未熟の不知」という有名な論文がある。被験者を集めてテストを受けさせると、成績の悪い被験者はだいたい自己評価が過大であり、下から2割ぐらいの連中でも自分は平均より上だと思っている。一方成績の良い被験者は自己評価は正確だが、他の被験者の成績を高く見積もりすぎる傾向があり、自分の相対順位を実際より低く予想する。これは今日ダニング・クルーガー効果と呼ばれあちこちで引用される。 日常の言葉で言い換えるとこうだ。できない者は鈍すぎて自分ができない事にすら気づかない。できる者は自分にできる事は誰にでもできると勝手に思い込んでいる。 こうした現象は人員を登用して仕事に割り当てる際にしばしば問題になる。本人が思っているよりも仕事ができないことはよくある。特にその登用を決める上役が個人戦闘力の高いタイプだと、そいつ自身ダニング・クルーガー効果に罹患し
嘘つきゲームを作る時の問題 この頃ポーカーに凝っていてテキサスホールデムを随分遊んでいる。電車の中で暇があると古典と呼ばれる理論書を読んだり確率表を眺めたりして時間を潰す。アメリカの国民的ゲームと呼ばれるだけあって相当な量の研究がなされている。 しばらく遊んでいる内に気が付いたのだが、ポーカーはどうやら役を作るゲームではなくて誰が強い役を持っているかを当てるゲームらしい。自分が一番強いハンドを持っていると思ったら賭け金を膨らます。弱いと思ったら大人しくしている。ブラフをかけたり煙幕を張ったりも偶にはするが、そうした搦め手の頻度は最初思っていたよりずっと少ない。 卓の上でやり取りしているのは本当はカードでもチップでもなく情報である。見えているカードや他の人間の行動によって推察を行い、それに基づいて行動し、その行動がまた他の人間にとっての手がかりになる。 そこで興味深いのが”Harringto
早く言えば近況 この頃SNSやブログへの投稿がめっきり減ってブラックボックスと化しているのである程度の情報開示を行う。直近1年強の行動を要約すると 会社を作った 店を開いた ゲームを作っている の3行である。 (´・ヮ・)<お前の人生4ヶ月に1行しか無いのな (・ε・ ) 1.会社を作った ゲーム工房スパ帝国はもと個人事業であったが、税務上・経営上の都合から法人に改組した。新たな組織名は株式会社キュリオシティである。スパ帝国という看板はボードゲーム開発のブランド名という形で残存している。 個人事業が実態そのままで法人成りした零細企業であり、外部から投資を募った訳でもなく、基本的にやっている事は前と変わらん。ただ士業の先生との付き合いが発生したり社長という肩書きで何となく箔が付いたりしただけである。 2.店を開いた 札幌のボードゲームカフェ「かくれがゲームカフェこにょっと。」を会社の一部門と
なぜ友達で集まって行う開発は炎上するか 「遅れているプロジェクトへの人員追加は開発を更に遅らせる」という経験則がある。これは主に頭数が増えることによる連絡業務とかそれまでの仕様の確認が発生するからである。AとBの2人だけで仕事をしている場合、連絡経路はA-Bの1本だけで済むが、ABCの3人に増えるとA-B, A-C, B-Cの3本の経路が必要になる。4人なら6本、5人なら10本、6人なら15本。人が増えれば増えるほど仕様のすり合わせとか情報共有がネックになりその分の業務が増える。 アウトプットは頭数に比例しては増えない。チームに誰かを加える場合、その者の貢献は最低でも人数の増加による連絡業務の発生を上回っていなくてはならない。そうでなければ貢献どころか正味足を引っ張っていることになる。 この理屈を敷衍していくとパラドクスに行き当たる。即ち、少人数(例えば1人)で開発をする場合は少々腕が悪く
ゲームマーケット2018大阪で少量だけ売った本「ルールデザインノート」について。 内容 ゲームルールのデザイン技法について分析。全56ページ。 記事一覧: ゲーム性とは何か? 単純なルールは良いか? 公平性とは何か? モジュール式製造法 勝利モジュールとは何か 経済モジュールとは何か 盤面モジュールとは何か 勝利モジュールの作り方 資源管理のセントラルドグマ 経済モジュールの作り方 競りの元素周期表 理論の実地適用 数秘術 過去に「3人のおじさん」と称して書くと言い続けながら基礎研究で3年ぐらい経過した代物。ゲームを作る人には有用でそれ以外の人には全く無用である。全体的にこむつかしい。 ( ・p・)<こむちゅかしい 入手 1.電子版(PDF) https://gum.co/QBfY より。600円。 2.紙媒体 かくれがゲームカフェこにょっとで細々と販売。無くなり次第終了。 ( ・m・)<
これは翻訳記事です 最初の一歩 ゲームに勝つ事を論ずる前に、まずゲームの遊び方をきちんと心得ているか確認しよう。やるべきゲームを一本持っていて、それを遊ぶ環境があり、対戦相手がいて、基礎的なテクニックはどこで身につけられるかを知っている必要がある。 ゲームの選択 まずゲームを選ぼう。恐らく既に思い描いているゲームがあり、それ以外のゲームで勝とうとは考えもしないだろう。ゲームはそれぞれ異なる技巧を要する。初心者には、そしてしばしば中級者にすら、そのゲームが本当はどんな技巧を求めているのかはっきりとは分からない事がある。言うまでもなく、自分に合ったゲームで勝ちを求めるのが最善である。 私が推薦するのは全てのプレイヤーが平等な条件で開始できるゲームである。例えば格闘ゲームは異なるキャラクターでゲームを始められるが、全てのプレイヤーはどのキャラクターでも自由に選べる。M:tGはトーナメントにそれぞ
経緯 この工房で作っているゲームは全て「ゲーマーズゲーム」である。つまりゲームが大好きで週に2本は新しいボードゲームを開封して週末はゲーム会に出掛けるような人向けの製品である。取り扱い説明も当然それに準じたもので、普段ゲームをする人なら分かるように記述している。 ところが”Not My Fault!”はものの弾みでゲームをしない人にまで売れてしまったので、急遽解説を加えることになった。 ブラフゲームというジャンル まず世の中には「ブラフゲーム」というものがある。ブラフとは要するにハッタリである。例えば本当は3のカードしか持っていないのにあたかも5のカードがあるように吹聴して、相手がまんまとそれに騙されたら勝ち。見破られてしまったら負け。巧妙に嘘をつく技を競うのである。 そして対戦相手はこれに対して「お前は嘘をついているな?」と疑義をかけることができる。これを「ダウト」とか「チャレンジ」と称
炎上プロジェクトをテーマにしたブラフゲーム。ルールや発売日など。 燃えよプロジェクト! Not My Fault!はシステム開発会社を舞台にしたブラフゲームである。プレイヤーは数字カードを引いてプロジェクトを進める。全員の伏せたカードの合計数が実際の進捗であるが、困ったことに各プレイヤーは自分の分しか実態が分からない。誰かが過大申告をしていたら案件は静かに炎上しているのだ! 申告が明らかに実態とズレていると思ったら「監査!」と叫ぼう。その瞬間全ての数字カードが表にされ真相が明らかになる。もし実際の進捗が申告に達していなかったら、直前に手を動かしていた人間が全ての責任を負わされクビが飛ぶ。 しかし監査を恐れて小さな申告を続ける事もできない。何故ならプロジェクトにはマイルストーンが設定されており、そこに届かない申告は1人1回しか許されないからだ。やらかしてしまった後は実態がどうあれ黒いマスまで
これは翻訳記事です 2016/11/16 Cheng Lap 「アグリコラ」の様な言わずと知れた名作をわざわざ紹介する必要は無い気もするが、名作をどれも紹介しない事にすると原稿の種が無くなってしまうので不要とは知りつつ取り上げてみよう。それに世界にはまだまだこのゲームを遊んだ事の無い人が残っているだろうし、紹介した所で大多数はどうせ遊ばないにせよ、遊べばきっと面白いのだ。少なくとも私は好きだ。そういうわけで一度紹介する事にした。 アグリコラはドイツ製ゲームである。プレイヤーはドイツの農家になり、2〜3個の食料と2人(夫婦を表している)の人間と大きな空き地を持って始める。そして他のプレイヤーと共にそこら中を駆けずり回って天然資源を採取し、家人を養い、土地を耕し、我が身と我が家を整えて天下泰平を目指すのだ。6回目の収穫の後最も点数の高いプレイヤーが勝者になる。 そして忘れてはならないのだが、最
ゲーム作ったんでゲムマ出たい!という人向け案内 ゲームマーケットは近頃とみに盛況である。出展者と参加者の両方が増え続けており、新たにボードゲームを作ってみたいという人も多い様だ。そこで簡単な案内を提供する。人によって求める物が違うために「あれをしろ」「これをしろ」という指示は出しにくいので、「何が期待できるか」「何が期待できないか」「何を準備しておくか」という切り口で書いてゆく。 何が期待できるか 経験。制作は作って終わりではなく着弾確認まで行ってやっと完了である。完成させ、売って、遊んでもらい、感想を聞く。最後までやり遂げたプロジェクトは途中で放り出したプロジェクトよりも遥かに大きな経験になる。 情熱。制作の成果が誰かを喜ばせる事ができれば、それは次を作る原動力になる。必要とする誰かがいるから手を動かせるのだ。 交友。同業者とか隣接分野の人々と知り合う機会が非常に多い。自分から挨拶に行っ
これは翻訳記事です 香港のニュースサイトで取り上げられたナショナルエコノミーのレビュー記事。 2016/8/10 Cheng Lap 「ナショナルエコノミー」–人口は力か重荷か 経済ゲームが好きなプレイヤーはとても多い…まあ大抵はゲームの中で富が増えるのが楽しいからだが。こう言うと些かさもしい様に思えるが、そもそもそれが経済ゲーム人気の衰えない主な理由でもある。 ただし我々が目にする多くの経済ゲームは「雪だるま式」の経済だ。要するに、人口が多ければ多いほど生産力が伸びるし、生産力が伸びれば経済力もうなぎ上りというわけだ。 経済が好調なら人口ももっと増える。これは問題ない。では人が増えれば生産力が伸びて経済がもっと良くなるか? これはちょっと問題だ。というのも政府の人間はしょっちゅうこう言う。人口が増えれば生産力が増え、市場が大きくなり、とにかく人が多ければ多いほどいい。数は素晴らしい。だが
どうしてフィクション内の魔法が合理的でなくてはならないかの考察 ゲームなり創作物語なりを拵え、作品世界に魔法を存在させたとしよう。火の玉を作るとかネズミに変身するとか宿敵に納豆の匂いを全身から発させるといった便利な現実湾曲メソッドである。するとどこからともなく合理性の番人が現れて文句を付け始める。「この魔法は熱力学の第一法則を破っているぞ!」「変身中の声帯で人間の言語を使えるのはおかしい」「皮膚常在菌が納豆菌の繁殖を抑えるのでは?」といった調子だ。 ううむ、どういう事だろう? そもそも魔法には物理法則をねじ曲げる事が期待されているのではないか? 合理性の番人は物語に不合理な期待を抱いていてすべてが現実世界と同じでなければ気が済まないのか? そうではない。こうした苦情には実は理がある。本質的な問題は現実を湾曲する事でなく、湾曲の帰結を十分に掘り下げていない事なのだ。 物を空中に持ち上げる魔法
( ・3・)あたまのたいそう(・q・ ) ヴェブレン財のパラドクス 貴重である以外に実用上の価値が無く、経済力を衒示するための商品をヴェブレン財と呼ぶ。要するに「俺はこれが買えるぐらい金持ちだぞ!」と見せびらかす貴重品である。名刺と一緒に預金通帳を持ち歩いて会う人全てに見せるより貴金属のアクセサリを身につけている方が楽に同じ目的を達成できる。 ところが金持ちの度合いがある段階に達し、全ての人が知っているほどの名士になるとそうした衒示は必要がなくなる。ヴェブレン財を持っていようがいまいが金持ちであると知れ渡っているからである。カダフィ大佐が外国滞在時にテントに泊まっていても「あの人ホテルも取れないぐらい貧乏なのかしら?」と思われたりはしない。 それどころか、むしろヴェブレン財を買わないことによって「ヴェブレン財を買って経済力を衒示する必要がないほど知れ渡った金持ちである」ということを衒示でき
をv1.14 拡張全部入り ゲームファンのみんなご機嫌よう。今日はEuropa Universalis 4の初心者向け攻略記事として琉球による世界征服をしてみよう。このゲームの舞台は1444年から1821年。おおよそ大航海時代の始まりからナポレオンの死までだ。この激動の時代にスペイン、ポルトガル、イギリス、フランス、オーストリア、オスマンといった名高い帝国たちが覇を競う。その中で琉球帝国というのはどれぐらいの位置づけかと言うと……このゲームでは開発度という指数が大体人口と同義であり、明や全盛期のロシアで1000ぐらい、イングランドやカスティーリャなどの中堅王国で300程度、ポルトガルなどの小国で100ぐらいだ。これに対し琉球は5である。そう、5だ。これで全世界を征服しようというのは要するに戦闘力5のおっさんでベジータとフリーザとセルを倒して銀河を統一する様なもんであり、頑張ればまあ不可能で
ゲームのルールを作る際のあれこれ 簡単さ 面白い意思決定と並んで重要なのが簡単さだ。ルールは誰でもさっくりと理解できる程度に簡単になっているべきである。人生は短い。難解なルールブックとにらめっこして過ごせる時間はそう長くない(せいぜい10代の10年間を丸々当てられる程度だ)。そこで今回は簡単なルールについて考察してみよう。 柱となる要素は3つある。一貫性があること。個々の要素が単純であること。テーマに沿ってうまく説明されていること。そしてこの順番に重要である。 一貫性 ユーザーインターフェースデザインの鉄則はパターンを定めてそれを繰り返すことだ。ある設定ウインドウが閉じるだけで変更を保存する方式なら他のウインドウもそうなっているべきである。あるアラートで”Yes”が右で”No”が左なら他のアラートでもそうなっているべきである。これと同じ意味で、ルールデザインも挙動のパターンを決めて繰り返す
ゲームのルールを作る際のあれこれ 意思決定 ボードゲームのルールは面白い意思決定を生み出すために存在している。意思決定というのは要するに「う〜ん農場を作ろうか工場を作ろうか労組を作ろうか」と悩んだり考えたりするプロセスだ。農場を作れば素早く手札を増やせるが次の建物の選択肢は増えない。工場は別の建物を作る材料を吐き出すが少し元手が要る。労組はどちらの機能も無いが得点源になる。果たしてどれが一番いいのかと考えを巡らす現象が「ゲーム体験」そのものである。 意思決定の要諦は答えを一義的に絞り込めないという点だ。そこで「どれにしようかなあ」と考えるものを意思決定、考えるまでもなく正当な答えが1つしか無いものを機械的判断と呼んで対比してみよう。 機械的判断の特徴はON/OFFが明確にされる事だ。例えばこの「どこへ出かけよう?」フローチャートでは雨天時には「家にいる」以外の全ての選択肢がOFFになり、人
ゲームのルールを作る際のあれこれ ボードゲームのルール作りについて1冊本を書こう! と半年前に思い立ったものの着地点が定まらず一向に原稿が進む気配が無い。仕方ないので一旦本は諦めてブログ記事として散発的に発信し、反響があったら内容を拡充してまとめるという方針に切り替えた。第何回まで続くか全く不明だが気楽に読んで頂きたい。 ルールは最初に作る 最初の話題は「ゲームはどういう順番で作るか」という問題である。1つのゲームはルールやアートワークや図案や説明書や駒や箱やその他色々なエレメントが合わさって出来ている。どこから手をつけるべきだろうか? ルールである。これは「場合による」とか「大抵の環境では」といった但し書き無しに、常にルールを最初に作るのが望ましい。理由は主に2つある。歩留まりと他工程への影響である。 第一に、ルールデザインは工程として見ると歩留まりが物凄く悪い。10個ぐらい遊べるゲーム
CCG “Hearthstone” に関して気づいた事をその都度記録。 Hearthstoneの戦い方(4) デッキの生態学 このゲームにはデッキやクラス間の相性がそれなりにある。例えばプリーストは敵の手下を始末したり洗脳するのが得意なので、ハンターやシャーマンなど手下を並べて戦うデッキにはかなり有利である。その一方、敵が殴り合いに付き合ってくれないと機能しないカードが多く、ウォリアーなど手下にあまり頼らないデッキは苦手だ。 全てに強いデッキは存在せず、誰もがそれなりに弱点を抱えている。そしてひとつのデッキタイプが興盛を極めるとそれに対抗するデッキタイプの割合がじわじわと増え、一方それを苦手とするデッキは徐々に減る……という食物連鎖の様な仕組みでプレイヤー全体の生態系がバランスを保っている。 なのだが、この生態は実は全体に一様ではなく、強さの階級ごとにある程度層構造を成している様に思われる
ゲームを作っていると英語運用力が必要になる事が多い。英語のゲームを遊ぶ。英語で書かれたデザイン論やレビューを読む。海外から材料を仕入れる。通念に反し、中国の工場と交渉する際には中国語でなく英語を用いる。国際取引は大体そういうものだ。 他の全ての技能と同様、英語の運用も別に全ての人間ができる必要はない。やりたい者が能力を伸ばしてできない者の手助けをすれば宜しい。遠く隔たった言語の習得は資質の差が非常に大きい部分なので分担した方が得である。そういう訳で「じゃあ俺がチームの分の仕事を引き受けてやるか」と思う人向けに書いていこう。 言語間の距離 地球上には数千の言語が存在する。およそ6000ぐらいだろうと推定されているが、途轍もない奥地の少数民族語が発見されたり話者がいなくなって絶滅したり混ざり合って新種が生まれたりするので正確な数は誰も知らない。 言語と言語には類縁関係がある。例えばポルトガル語
これは翻訳記事です 最上級プレイヤー向けガイド 最強になったら 選んだゲームで文字通り最強になったら、あるいは最強の中の一人になったら、もうこれ以上の助言は無用だろう。というより私が助言を乞いたい。ただ、この後に直面するだろう問題について少しばかり忠告をしておきたい。 自分が権力を持っていると自覚すること。同じゲームを遊んでいる人々という世界の中の小さな部分に過ぎないとしても。 それが束の間の栄光に過ぎないと理解すること。後から後から取って代わろうとする挑戦者が現れる。戦って守り切るか大人しく明け渡すかだ。 権力を持っている内に何をするか決めること。どんな良い事や悪い事ができるだろうか? いやそもそも何が良くて何が悪いか誰が決めるのか? コミュニティに対して責任があるとしたらどんな責任だろうか? 今や権力と共に You got the touch, you got the power! ス
これは翻訳記事です 最強の条件 ここまで数年をかけて最強のプレイヤーが備えるべき条件を考察して来た。では無敵のプレイヤーにただ一つの典型があるのだろうか? それとも勝利への道は複数あるのだろうか? 全ての競技ゲームは基本的に同じ性質を求めるのか、それともゲームごとに大きく異なるのか? これは大きな問題であり、本書の範疇を超えるのだが、ひとまずそれに触れてみよう。 「ビジョナリー・カンパニー」という本では似たような問題を提起している。業界で最高の会社を作るにはどんな条件が必要か? もしこの本がただ単にナンバーワンの会社だけを集めて比較していたら、「どこも従業員と社屋を持っている」という様な共通点を見つけるだけであったろう。「社屋を発見する」のを避けるため、ビジョナリー・カンパニーでは様々な業界のトップ企業と二番手企業をそれぞれ比較している。トップと二番手は多くの共通点を持っていたが、問いの本
これは翻訳記事です 勝つ為に戦わない この回では逆の視点から見てみよう。いつも「勝つ為に戦う」のは非生産的だ。長い期間に渡って勝ち続けるのであれば、全ての試合を大会の決勝の如く戦うのは不可能だ。そんな事をしていたら基本的な研究もできないし、特定状況下での変わった戦い方も知らずにいる事になる。そうして結局は次善の戦術に甘んずる。 研究 勝つ為の戦いと学ぶ為の戦いはしばしば異なる。今この試合の勝率を最大にするためには、新しい戦術や対策やパターンを試して無用な危険を冒す事はできない。回り道をせずに戦うのは試合に勝つ最善の道だ。だがそれは貴重な経験を得て戦術の引き出しを増やす機会を逸する道でもある。 ストリートファイターで簡単な例を挙げよう。コンマ数秒後に相手が超必殺技を出す事が読めたとする。このラウンドを取る一番賢明な方法は、そのままガードする事だ。だがそれでは学べない事もある。その必殺技はそも
これは翻訳記事です 無敵と「野獣」 チェスプレイヤー:ホセ・ラウル・カパブランカ(1888-1942) もし勝つ為に戦ったプレイヤーがいるとすれば、それはカパブランカだ。彼はチェスの教科書を読んだりオープニングを研究する事を拒んだ。チェス王者の態度として普通なら考えられないが、カパブランカは普通ではなかったのだ。 17歳の時、当時の世界王者ラスカー博士が多面指しをした相手の中に彼はいた。そして勝っていた。3年後、彼はアメリカに渡りそこで多面指しの新記録を打ち立てた。しかも速度と結果の両方で。最初の10セッションでいきなり168連勝し、最終的に703勝12敗19引き分けという戦績に達した。そして1909年、彼はアメリカ王者のフランク・マーシャルに8-1(引き分け14)で圧勝する。 快進撃はその後も続く。生涯で567試合をこなし、負けたのはわずか36試合だけ。10年間全く負けなかった時期すらあ
Civ4攻略情報 Civilization 4の小屋教徒と工房教徒は今日も血で血を洗う宗教戦争を繰り広げている。両者の教義はどこが違うかというと、前者は全ての土地に「小屋」地形改善を敷き詰める事を目指し、後者は「工房」地形改善で埋め尽くさんとしている。そして敵の地形改善を見つけたら直ちに焼き払って正しい姿に作り変える。小屋教徒にとっての小屋のメリットは「お金が沢山出てくる」事だが、工房教徒にとっては「焼き払うとお金が沢山出てくる」である。 どちらが正しいかは状況によるのだが、その前にまずどうして「小屋経済」とか「専門家経済」とか「初手ストヘン経済」といった経済システムが存在し、そのどれか1つを選ぶのが習わしになっているかを考察しよう。 シナジーの問題 経済システムをある程度割り切って組み立てる理由は社会体制との相乗効果である。例えば金融志向で小屋を街まで育てると毎ターン6商業を産出する。こ
Civ:BEの公式販促記事 前編はこちら 大急ぎで不健康問題に対処しよう。まず繁栄カテゴリの美徳「病は気から」を取る。これは健康状態がクソな時でも精神力を用いて何も問題は起きていないと言い続ける事によって事態を軽減する裏技だ。まあバスの中で気を紛らわせてゲロを我慢する様な話だな。さっさと状況をコントロール下に置かなくては。 同時にジェナリ南東の瘴気を労働者で片付けカヴィサンへの交易路を開く。瘴気の壁がルートを完全に塞いでいたせいで今まで交易ユニットを送れなかったのだ。対外交易は最初こそ貧弱だが、ゲーム後半の発達した都市が相手なら凄まじい量の金と科学力をもたらしてくれる。協定や同盟を締結していれば利益は更に増えるぞ! また外国貿易は互恵的であって先方の都市にも利益があるため、両者の外交関係にプラスの影響を及ぼす。当分攻め込む予定の無い人々と貿易するのがお勧めだ。 過去のシリーズは富は土地から
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『スパ帝国 | 小さく完璧なゲームを作ろう』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く