「英語の人称」について問題提起を行なうようにとのことですが、英語は外国語とは言え、ドイツ語やロシア語などとは違い、ここにいらっしやる皆さん全員が解る言語ということで、適当に煙に巻くということもできず多少ともハンディーがあり、役回りとしては少なからず損な役回りである――これが、今回シンポジウムの問題提起者をお引き受けした時の私の率直な感想でした。 伺ったところでは、最初はほかの英語の先生に対して問題提起者の打診があったそうですが、その先生は「英語の人称は、I,we,you,he,she,it,they――それだけのことですよ」とお答えになりお断りになった。その経緯で私のところにお鉢が回ってきたという事の次第はともかく、こと左様に、英語の人称などというものは極めて自明なことであって、殊更に言挙げするほどの事がらではない、というのが(私自身を含めて)英語の教員全般の感想ではないかという気がしま