1. 連休中、久しぶりに実家へ帰ったので、記憶の不確かなところをいくつか訊ねてみた。 私が備忘録に書いてきたような思い出話は、私が曖昧な記憶の断片を都合よく再構成した物語であって、事実とはかけ離れている……ことを、あらためて思い知らされた。 例えばオートバイのマフラー(消音器)に触れて火傷をしたのは私ではなく弟、弟が触れたのは母のではなく父のオートバイ、その後間もなく母のオートバイが消えたのは、子どもを火傷させた機械を嫌った母が売ったからではなく、盗まれたから。私が火傷したのは炊飯器から立ち上る湯気を捕まえようと頑張ったが果たせず、ついにその出て来るところを手で押えることを思いついて実行した結果で、弟が火傷をする数年前の話。 おいおい、全然違うじゃないか。 ちなみに父がオートバイを買った経緯は、結婚当時に乗っていたオンボロ車に飽き飽きした父が、母が私を産むため愛知県へ帰っている間に、密かに