サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
衆院選
chizai.nikkeibp.co.jp
コンピュータ業界も注目、USPTOが特許対象性の審査基準の明確化を図る 審査官ガイドラインに関する追加メモを発表 米国最高裁判所は、Mayo 裁判(2012年)およびAlice裁判(2014年)において、米国特許法101条に規定される特許対象性を満たす条件を厳しくする判決を下した。しかし、両判決は、特許対象性を判断するための明確な基準を提示していなかった。そのため、 米国特許商標庁(USPTO)審査官の特許対象性に関する審査基準も不明瞭となり、それゆえ特許対象性の判断を過剰に厳しくする傾向が見られた。特に、コンピュータ・ソフトウエアの分野でこの傾向が強くなっていた。そのためUSPTOでは、特許対象性の有無を判断するための具体例を示すために、Mayo/Alice米最高裁判決以降の米国連邦巡回裁判所(CAFC)判決をベースに審査官ガイドラインを改訂してきたが、さらに今年5月には、審査官ガイ
Limelight v. Akamai 裁判の米最高裁判決、CAFC判決を覆す 方法特許、複数者によるステップ分割・共同実施に誘発侵害は適用できない コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)サービス大手、米Akamai Technologies, Inc.が、米Limelight Networks, Inc.に対して自社のコンテンツ配信方法特許へのJoint Infringement(共同侵害)に当たるとして争っていた訴訟事件(Akamai裁判)で、2014年6月2日、米国連邦最高裁判所による判決が下された。2012年8月の米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)による再審では、間接侵害の一つInducing Infringement (誘発侵害)の定義を拡大することで 特許侵害成立の判決を下していた(関連記事1)。しかし、今回の米最高裁判決では、誘発侵害の前提条件とされている直接侵害は存在
青色LEDの特許をめぐる2004年の中村裁判の東京地裁判決は衝撃的だった。東京地裁は、企業に所属する研究者の発明に対して200億円の支払いを命じた。その判決は、特許法第35条に基づいている。その後、中村氏と日亜化学工業は東京高裁に控訴したが、日亜化学工業が中村氏に対して特許対価約6億円を含む8億4000万円を支払うことで2005年1月11日に和解が成立した。中村裁判の後も、研究者が出身・所属企業を相手に訴訟を提起し高額な職務発明対価を獲得していった。こうした中で、企業は特許法第35条改正の必要性を訴え、職務発明は誰のものかといった問題を提起している。発明は個人によって行われる行為だが、企業における発明は経営リスクをとって研究を進め、情報を蓄積し、事業化している企業が存在して初めて可能になる。現在、特許庁は知的財産研究所において「職務発明制度に関する調査研究委員会」を立ち上げ、特許法第35条
東京理科大学などが組織する任意団体「大学知財群活用プラットフォーム」は、2013年4月5日に「大学知財群活用プラットフォーム」設立を決議し、同日に、その設立発足会を開催した。 この任意団体「大学知財群活用プラットフォーム」は、各大学やTLO(技術移転組織)などが持つ特許などの知的財産を分野ごとに集めてポートフォリオ化した“知財群”をつくり、各知財群を利用する企業や個人などが使いやすくする活動を行う。この知財群を基に、知的財産の技術移転やそれに関連する共同開発などを活発化する「ワンストップ型TLOネットワークを目指している」(東京理科大科学技術交流センターの藤本隆センター長)という。 設立した「大学知財群活用プラットフォーム」の会員は、正会員が東京理科大、東京電機大学、信州TLO(長野県上田市、信州大学のTLO)、野村證券、山梨大学、筑波大学、首都大学東京、埼玉大学、宇都宮大学の9機関、準
永澤亜季子のパリ発・フランス知財戦略 第9回:フランスと欧州におけるソフトウェア特許 永澤亜季子 クラレ・リーガルソリューションズ 、ミゲレス・ムラン総合法律事務所 フランス共和国弁護士 フランスをはじめEU諸国では、ソフトウェアそれ自体に関する発明は特許を受けることができないというのが原則であり、知的財産権法にも欧州特許条約にもその旨が明記されている。ヨーロッパにおいて明確にソフトウェアが特許対象から除外された理由として、ソースコードやオブジェクトコードにより表現されるコンピュータのプログラムは理論的なものであり産業性の条件を満たさない、コンピュータ・プログラムの新規性や発明行為*1の審査は非常に困難であるといった法的問題がまずある。そして、何よりもソフトウェアの開発が世界で遅れを取っているヨーロッパで、外国(特にアメリカ)企業によるソフトウェア特許の登録を認めてしまうと、ヨーロ
今回の法改正の中で、日本企業に影響のある主要な変更点を挙げるなら、(1)ヒルマー・ドクトリンの廃止、(2)非英語の国際公開の取り扱い、の2点と考える。 以下、これらルールについてのこれまでの取り扱いのほか、変更による影響などについて紹介する。(なお、本稿では2013年3月15日までの法律を「旧法」、ルール改正が行われる3月16日以降の法律を「新法」として紹介する) パリ優先権を主張した特許出願は、第一国出願の利益を伴うのが原則である。しかし、これまでの米国特許法では、ヒルマー・ドクトリンと呼ばれる独自のルールが利用されていた。日本や欧州とは異なるルールも今回の改正で廃止となる。それらの内容及び影響について以下説明する。 a) ヒルマー・ドクトリンの内容 ヒルマー・ドクトリンとは、第一国出願に基づきパリ優先権を主張して米国出願を行った場合、他人の出願の審査においては、第一国出願時点までの
永澤亜季子のパリ発・フランス知財戦略 第8回:ヨーロッパでの近現代美術作品の売買における「追求権」 (永澤亜季子=ミゲレス・ムラン総合法律事務所、フランス共和国弁護士) ルーブル美術館、オルセー美術館、ロダン美術館など有名な美術館が多く、アーティストが世界から集まるパリであるが、美術品取引の市場規模は近年縮小化が進んでいる。現在、フランスの美術品市場のシェアは中国(41,4%)、アメリカ(23,6%)、イギリス(19,4%)から大きく引き離され、世界第4位(4,5%)となっている*1。 日本では、著作者の「追求権」は著作権として制度化されていないが、ヨーロッパでは2001年9月27日の指令*2により全EU諸国に追求権が制度化された。この追求権の制度が、イギリスを含めたヨーロッパの美術品市場を将来弱体化させるものとして、近年多くの専門家から懸念されてきた。 ● 追求権の定義とフランスにお
「Akamai裁判」、「McKesson裁判」のその後 CAFCが誘発侵害としての再審判決を下す Snyder, Clark, Lesch & Chung, LLP 前川有希子 2012年8月、米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、「Akamai Technologies, Inc. vs. Limelight Networks, Inc.裁判」および「McKesson Technologies, Inc. vs. Epic Systems Corp.裁判」に対して、Joint Infringement(共同侵害)またはDivided Infringement(分割侵害)としてではなく、誘発侵害という別の観点から再審判決を下した。AkamaiとMcKessonのケースについて2011年にCAFCは、直接侵害としてのJoint Infringement/Divided Infringem
インドは新興国の中でも今後の産業の大きな伸びが期待される一方で、知的財産の訴訟に関する情報があまり表に出て来ない。フォーチュン誌上位500社のうち多数の企業に対して、インドにおける特許戦略のアドバイスや訴訟業務に携わる弁護士のLakshmikumaran氏をはじめ、特許事情に詳しい有識者がインドの特許最新事情について議論した。 Lakshmi Kumaran & Sridharan法律事務所 Managing Partner 弁護士 弁理士 V.Lakshmikumaran 氏 サンガムIP 代表取締役社長 インド国特許弁理士 Vinit Bapat 氏 三好内外国特許事務所 副会長 弁理士 伊藤正和 氏 三好内外国特許事務所 副所長 弁理士 高松俊雄 氏
永澤亜季子のパリ発・フランス知財戦略 第7回:フランス大統領選と違法DL取り締まり-HADOPIの終焉 (永澤亜季子=ミゲレス・ムラン総合法律事務所、フランス共和国弁護士) フランスではここ一番の話題であった大統領選挙が終わり、ミッテラン以来17年ぶりに左翼の社会党が政権に就くこととなった。この政権交代により2009年より導入されている「スリーストライク制」の違法ダウンロード取り締まり法、HADOPIが廃止され、それに代わる新しい制度が制定されることが確実となった。 HADOPI (Haute autorite pour la diffusion des oeuvres et la protection des droits sur Internet) とは、2009年の2つの法律 (通称“HADOPI法”(ⅰ)) と2009年12月31日の政令でフランスに新しく設立された、P2Pネッ
2015年の経済統合を目指し、近年再び注目される東南アジア諸国連合(ASEAN)。日系企業からは、特許や商標などの迅速な権利化や、模倣品・海賊版の効果的な取り締り、ASEAN共通ルールの制定など、知的財産権の保護の面で様々な要望が挙げられている。東南アジアの主要国における日系企業の知的財産活動については、これまでも日本貿易振興機構(JETRO)が支援してきたが、2012年3月、JETROが事務局となって新たに「東南アジア知財ネットワーク」を発足させた。東南アジア知財ネットワークの設立背景やねらいについて、JETROバンコク事務所・知的財産部長の大熊靖夫氏に聞いた。 ――東南アジア地域の経済発展および日本企業進出の現状について教えてください。 大熊氏: 東南アジアの経済発展は安定的といえる。中国やインドが急成長を遂げているのに対して、成長率こそ及ばないものの、着実な発展が見込まれる。公的機
米国特許法改正、日本企業が留意すべきこと 異議申立制度の利用と、ディスカバリーによる特許権者側の作業負担 米国特許法改正法案が2011年9月に成立した。法改正の各項目の内容と解説についてはすでに日本でも関係各所から発表されている(関連資料1、2)。「先願主義への移行」が一つの大きな話題となる一方で、奈良先端科学技術大学院大学・客員准教授で米国特許事務所Posz Law Group所属の吉田哲氏は、「米国の先願主義移行の影響は、日本企業にとってさほど大きくないであろう。日本企業が留意すべきは、特許の有効性を判断する異議申立制度や優先審査制度ではないであろうか」と指摘する。同氏が今回の米国特許制度改革の注目点として挙げ、他社特許を排除するための規定である異議申立制度の概略と留意事項について解説する。また、それに関連する情報提供制度について、東京しらかば国際特許事務所・弁理士の庄司亮氏が解説す
米国特許法の歴史的な大改正が、2011年9月16日にオバマ米国大統領の署名により成立した。今回の目玉は、特許訴訟費用の増大の元凶とされた「先発明主義」から、国際的に主流である「先願主義」への大転換である。この改正が日本企業にどのような影響を与えるか、米国と日本の特許事情に詳しい有識者が議論した。 米MOTS LAW, PLLC 米国特許弁護士 Dr. Marvin Motsenbocker 氏 米MOTS LAW, PLLC 弁理士 大坂雅浩 氏 三好内外国特許事務所 所長・弁理士 伊藤正和 氏 三好内外国特許事務所 副所長・弁理士 高松俊雄 氏 司会:テクノアソシエーツ 日経BP知財Awareness編集長 朝倉博史 60年ぶりの歴史的大改正 朝倉 今回の米国特許法改正は約60年ぶりの大改正とされていますが、企業にとってはどのような意味を持つのでしょうか。 Mots 大枠で言う
Chester Rothstein Amster, Rothstein & Ebenstein, LLP, パートナー 藤森 涼惠 Amster, Rothstein & Ebenstein, LLP, アソシエイト すでにご存知の日本の企業関係者も多いと思うが、米国では数年にわたる討議を経てようやく、賛否両論ある新たなトップレベル・ドメイン(Top Level Domain:TLD)、XXXの実使用がまもなく解禁となる。 TLDとは「.com」や「.net」、「.jp」など、ウェブサイトのドメインネームの一番根っこにある部分を指す。問題の「.XXX」は、アダルト産業による使用のため新たに設定されたTLDだ。アダルト産業向けにXXXが選ばれた背景には、米国の映画レーティングシステムがある。米国ではレーティングによって映画の中身を示唆する。たとえばGは「一般向け」、「PG」は「保護
永澤亜季子のパリ発・フランス知財戦略 第4回:香水の知的財産権による保護 (永澤亜季子=グボー・永澤法律事務所、フランス共和国弁護士) フランスは、いうまでもなく香水産業の本場である。パリを歩いていると100mごとに香水の広告にぶつかり、駅前には必ず香水店が1つはあるといってよい。フランスの近代香水産業の歴史は、1828年にピエール・フランソワ・パスカル・ゲランがナポレオン3世の皇后、ウジェニー(Eugenie)のために「オーデコロン・アンペリアル」を作ったことにさかのぼる。20世紀はじめまでは、フランス南東部のグラースに拠を置く生粋の香水会社(Roger Galletなど)のみが、天然の香料を使って香水を作っていた。その後、1921年にシャネルが人工香料アルデヒドを使った5番(No 5)を発売して大ヒットすると、イヴ・サンローランやクリスチャン・ディオール、ニナ・リッチ、ジャン・ポー
2011年9月8日、米国上院議会では下院を通過した特許法改正案を賛成多数で可決した。これにより、2005年の第109議会に提出され話題となりながらも何度も廃案となってきた特許法改正(関連資料1、2)の実現が現実味を帯びてきた。改正案の主な注目点は、「先発明主義から先願主義への移行」、「特許の有効性を高めるための付与後の異議申し立て制度と期間」、「損害額の抑制条項の削除」、「米国特許商標庁の運用資金(料金ダイバージョン)」の4点である。これまで、強い特許を求める医薬業界と強すぎる特許権の弊害を主張するIT業界との意見対立や、特許制度の国際調和など、様々な議論が繰り広げられてきた。米国で特許法改正の動向を長年観察してきたリサーチコンサルティング会社、米Washington CORE・シニアリサーチアナリストの洪美江氏と、奈良先端科学技術大学院大学・客員准教授で米国特許事務所Posz Law G
永澤亜季子のパリ発・フランス知財戦略 第3回:企業における社員の著作権と、著作権譲渡契約の重要性 (永澤亜季子=グボー・永澤法律事務所、フランス共和国弁護士) 日本のサンリオの「ハローキティ」はパリでも大変人気があり、年代を問わず多くのパリジェンヌがハローキティの顔がついたバッグやiPhoneを持ち歩き、巷のスーパーでもハローキティの文房具製品やお菓子が売られている。凱旋門のふもとにある雑貨店Publicis Drugstoreには、ハローキティコーナーまである。 世界中でサンリオがハローキティで上げている収益はかなりの額に上るが、さて、ハローキティを生み出したサンリオの社員デザイナーは、ハローキティの世界進出によってどれだけ経済的恩恵を受けているのであろうか。 「社員がその職務上製作した著作物は当然雇用主である会社のものとなる」、という「職務著作」の観念が当然とされている日本では驚
財団法人経済産業調査会は、単行本「大学と研究機関、技術移転機関のための知財契約の実践的実務マニュアル」をこのほど発行した。本書は副タイトルが伝えるように「大学人による大学人のための知財等の契約実務書」を初歩から教える参考書である。このため、知的財産関係の契約文書を収録したCD-ROM(読み出し専用コンパクト・ディスク)が付録としてついている。定価は3990円(本体+消費税)である。 著者・編者の一人である山口大学知的財産部門長の佐田洋一郎教授は、1998年度のTLO(技術移転機関)法の施行から、2003年度の大学知的財産本部整備事業の実施、2004年4月の国立大学の国立大学法人への移行などによって、「各大学での産学官連携体制の整備が進み、さまざまな職歴を持つ方が大学やTLO(技術移転機関)などの組織内で、共同研究や技術移転、知的財産などの契約業務に携わるようになり、実践的なマニュアルが求め
日本ではマイナーな存在である実用新案が、中国では特許と同じぐらい重要視されている。日本の感覚だと「実用新案より特許を取ろう」ということになるが、中国ではその常識が通用しない。これから中国ビジネスを展開しようとする日本企業は、実用新案の有効活用にもっと目を向ける必要がある。中国と日本の特許事情に詳しいメンバーに実用新案の扱いの違いを聞いた。 北京銀龍知識産権代理有限公司 董事長・中国弁理士 カク 慶芬氏 北京銀龍知識産権代理有限公司 日本部主管・日本弁理士 雙田 飛鳥 氏 北京銀龍知識産権代理有限公司 日本部OA総括・中国弁理士 厳 星鉄 氏 北京銀龍知識産権代理有限公司 東京事務所副所長 加藤 正明 氏 三好内外国特許事務所 副所長・弁理士 高松俊雄 氏 ――日本の実用新案の出願は特許に比べて少ないと聞きますが。 高松 出願件数で比較すると、日本では特許が約35万件に対して実用新
ブログや「フェイスブック」など、個人が手軽に情報を発信できる手段が普及し、それに伴って様々な法的問題が発生する危険性が増えてきた。例えば、個人がレストランを訪れ、そこで出た料理について感想を書き、料理の写真とともにインターネット上に掲載する行為はもはや日常的に行われている。また、最近は個人だけでなく、企業もブログや「フェイスブック」などをビジネスに利用する例が増えており、ホームページのビジネスへの利用は既に一般的になっている。そのような行為に関してどのような法的問題が起こり得るのか、西村あさひ法律事務所弁護士の洲桃 麻由子氏に聞いた。 ――インターネットを使った情報発信手段が多様化し、個人や企業が管理するホームページやブログなどに写真を載せることが多いと思いますが、法的にはどのような問題が発生する可能性があるのでしょうか。 例えば、画家の描いた絵を写真に撮り、その写真を許可なく個人が管理す
2011年の注目すべき特許裁判(3) 【Therasense and Abbott Laboratories vs. Becton, Dickinson and Nova Biomedical】 特許出願における“反衡平行為”の判断基準は? Terra Nova Patent Law, PLLC 前川有希子 「2011年の注目すべき裁判」の第3回は、「Therasense and Abbott Laboratories vs. Becton, Dickinson and Nova Biomedical」裁判である。 2010年、CAFC(United States Court of Appeals for the Federal Circuit:米国連邦巡回控訴裁判所)は、米Abbott Laboratories社がすでにEPO(欧州特許庁)に提出していた供述を米国特許庁に提出し
「クラウド・コンピューティング」の拡大とともに、知的財産権の扱いで多くの問題が浮上している。2011年1月に、テレビ番組のインターネット配信サービスを提供する側に不利な最高裁判所の判決が立て続けに出た。そのほかにもインターネットを利用したサービスが現状の知的財産関連の法律では必ずしも対応できないケースが出てきている。知的財産権の最新事情に詳しい西村あさひ法律事務所弁護士の櫻井由章氏は、「インターネット技術の進化に合わせて早急にルール作りを進めるべき」と指摘する。 ――「クラウド・コンピューティング」の拡大は、知的財産権にどのような影響を与えるのでしょうか。 「クラウド・コンピューティング」でサービス提供する事業者側と、そのサービスを利用する利用者側の両方の視点で論点が分かれます。 ――事業者側の論点として、どのようなものがありますか。 特に注目すべき論点が二つあります。 一つは、「著作権侵
マイケル・ラシンスキ 284 Partners, LLC.,CEO ケビン・アースト 284 Partners, LLC.,マネージング・ディレクター 米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)のUniloc USA対 Microsoft事件における「25%ルール」の否定は、米国で製品の製造もしくは販売をする日本企業にとっては朗報といえる(関連記事)。特にハイテク産業では「25%ルール」は現実とかけ離れており、米国における特許侵害裁判での巨額損害賠償の根源と、多くの人が頭を悩ませていた。過去、米国特許侵害裁判において、特許侵害製品が生み出す税引き前利益の25〜33%を、特許所有者が損害賠償として要求することも珍しくなかった。特許所有者自身はそれだけの製造・販売能力を持たず、しかも当該侵害製品がほかにも何百何千という特許技術を使用しているハイテク製品であってもおかまいなしに、である。 われわ
特許庁は、平成23年度(2011年度)から新事業として、知財プロデューサーなどを派遣する「特許情報の高度活用による権利化推進事業」(仮称)を始める準備を進めている。日本でのイノベーション創出を促進するために、革新的な技術シーズを保有する大学や企業、研究コンソーシアムなどに知的財産マネジメントの専門家を“知財プロデューサー”などの名称で派遣する「特許情報の高度活用による権利化推進事業」の事業内容を詰めている最中だ。 同事業は3種類の知財の専門人財を派遣する計画だ。その中で中核となるのは、革新技術向けの知財プロデューサー派遣事業である。 技術組合などを設けて産官学研究開発プロジェクトを推進する研究開発コンソーシアムは、行政府などが提供する多額の研究資金を用いて、研究開発を推進している。このため、当然、多くの研究開発成果が誕生する。その研究開発成果から産まれる知的財産に対して、知財戦略を的確に
知的財産権を侵害された企業はどのような行動に出るべきか。もし、警告した後で、その権利を「無効」とされた場合等には、逆に相手から不正競争行為として訴えられる危険性がある。そのリスクをどう考えるか。知財に詳しい西村あさひ法律事務所弁護士の戸田 暁氏に聞いた。 ――知的財産権を侵害されたと分かった場合、権利者である企業がその侵害を止めるように警告することは当たり前のように思えますが、実際はその行動をすべきかどうか悩むことが多いとも聞きます。なぜでしょうか。 侵害警告は権利行使の一つの方法ではありますが、その警告のやり方によっては、後になってからその権利について無効の審決が確定したり、権利の範囲から外れていることが明らかになったりした場合に、「虚偽の事実を告知・流布した」として不正競争行為として訴えられる可能性もその一因としてあるかもしれません。 ――権利者は侵害していると信じて警告しているので、
伊藤: 新興国における知的財産保護政策では、外国からの投資意欲喚起と国益とのバランスを如何にとるかということが重要です。インドの特許制度における不特許事由を見て、そのことを感じます。日本でもかつては国益を損なうおそれがある物質特許は認められませんでした。 Bapat: インドで物質特許の出願を受け付けたのは1995年からです。しかし、実際に審査を始めたのは2005年です。1995年から2005までの10年間は、特許を「ブラックボックスに入れておく」という考え方でした。 伊藤: 特に物質特許の排除は国益を守るという要素が強いと思います。物質特許は物質そのものの独占権であり、機械や電気回路の場合のような代替手段が取りにくい。例えば、化学式で決まる物質に特許がある場合第三者はその化学式で決まる物質はライセンスが無い限り使用できません。医薬品メーカーが物質特許に敏感なのもそのためです。 Bapat
新興国の知的財産権制度の現状:アルゼンチン 注視される模倣品・海賊版問題、横ばいの特許・商標出願件数 2010年の今年、アルゼンチンはスペインからの独立を宣言した五月革命から建国200周年を迎えており、日本においても関連イベントが開催されるなどしている。 日本とアルゼンチンの交流は、19世紀末から本格化した移民や、1898年に締結された修好通商航海条約に象徴されるように、100年以上の歴史がある。近年ではさらに関係を深めつつあり、昨年、アルゼンチンは地上デジタルテレビにおいて日本が主導する方式の採用を決定するなどした(関連情報)。アルゼンチンにおいて日本企業の活動も活発化する中、模倣品・海賊版対策をはじめ、日本企業が取るべき知財分野の対策も重要性を増している。 特許庁総務部国際課長補佐の大熊靖夫氏に、アルゼンチンにおける知的財産権制度の現状について解説してもらう。 先進諸国が懸念する
―――2009年10月の中国特許法改正から約1年、2010年2月の同法実施細則改正から約9カ月が経ちますが、改めて今回の改正によって注目すべき変更点は何でしょうか。 まず、「絶対新規性」の新設です。改正前は、中国内で特許出願する技術の実施がなければ、その技術が海外で実施されていても新規性が認められていました。これは特に海外メーカーにとって頭の痛いことでした。海外の実施が先行技術として認められなかったからです。改正後は、海外も含めて世界で実施されていないことが新規性の条件となりました。 次に、「渉外特許事務所」制度の廃止です。以前は、特許事務所が海外案件を扱うためには、中国政府から特別にそれが可能な「渉外特許事務所」として認められる必要がありました。「弁理士が10人以上いる」、「外国語がよくできる人材がいる」などの条件をクリアした上で申請しますが、審査して許可が下りるまでに数年かかること
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『chizai.nikkeibp.co.jp』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く