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(前口上) 菊地成孔についていろいろなメディアに書いたもののうち、短いレヴューや紹介文以外で、比較的長いものをまとめてアップしてみることにしました。 なお、このcom-post「ライヴレビュー」欄に、ぺぺ・トルメント・アスカラールのライヴ評があります。そちらも併せてお読みいただければ幸いです。 菊地成孔の最初の著作『スペインの宇宙食』(小学館)の冒頭に置かれた「放蕩息子の帰還」の中に、ナボコフの『ロリータ』からの引用がある。ハンバート・ハンバートがロリータに買ってやったさまざまな品物を列挙するくだりだ。 菊地成孔が書いた第一稿では、その引用部分は以下のようだった。 「レピングヴィルの繁華街で、私は、いろいろなものを買ってやった、漫画の本を四冊、箱入りのキャンデー、衛生綿一箱、チェリーコーク二本、子供用のマニキュアセット、文字盤に夜光塗料を塗った目覚まし時計、トパーズの指輪テニスの
Thirsty Ear 57207 1. Piano Sutras 2. Cosmic Shuffle 3. Surface To Curve 4. Blue To A Point 5. Cosmic Dust 6. Giant Steps 7. Uncreated Ligh 8. Fragment Of A Whole 9. Space Bubble 10. Nefertiti 11. Angelic Brain Cell 12. Silent Cube 13. The Indivisible. Matthew Shipp (p) Recorded at Park West Studios, Brooklyn, NYC, February 20, 2013. キースを全否定したシップがソロ・ピアノでガチンコ勝負! さて出来栄えは? 最近筆者が楽しみに読んでいるウェブサイトの一つがTh
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試みこの文章を書き始めたのは2013年9月28日午前9時43分。「あまちゃん」最終回を観てから1時間半ほど後だ。この半年間、「あまちゃん」をリアルタイムで観るためにやたらに早起きになったわたくしだが、明日からまた寝坊になってしまうのであろうか。ああ。 「あまちゃん」というテレビドラマのおもしろさ、楽しさについては、ネット上だけでもおそろしい数の人たちが情熱を込めて日々語っている。それにしても、わが同世代のいつもはコワモテの論客たちが、ほとんど全員「あまちゃん」にはまりまくっているのが実におもしろい。個人的には、久世光彦さんが生きていてこのドラマを観たらさぞかし喜び、にやりと笑って「まあおれが演出したらもっとおもしろくなるけどね」と言っただろうな、と思いながら毎日観ていた。久世さんが最もかわいがっていた小泉今日子さんも出ていたしね。 「あ
村井康司の「あまちゃん」へ ジャズからの挨拶 vol.01 ダサいぐらい我慢しろよ! ―シンプルを恐れないコンポーザー― この文章を書き始めたのは2013年9月28日午前9時43分。「あまちゃん」最終回を観てから1時間半ほど後だ。この半年間、「あまちゃん」をリアルタイムで観るためにやたらに早起きになったわたくしだが、明日からまた寝坊になってしまうのであろうか。ああ。 「あまちゃん」というテレビドラマのおもしろさ、楽しさについては、ネット上だけでもおそろしい数の人たちが情熱を込めて日々語っている。それにしても、わが同世代のいつもはコワモテの論客たちが、ほとんど全員「あまちゃん」にはまりまくっているのが実におもしろい。個人的には、久世光彦さんが生きていてこのドラマを観たらさぞかし喜び、にやりと笑って「まあおれが演出したらもっとおもしろくなるけどね」と言っただろうな、と思いながら毎日観ていた。
「同じ音楽が異なった聴こえ方をすること」を考えさせられた講演 私の個人ブログ『いーぐる後藤の新ジャズ日記』4月13日(土)もご参照いただきたいのだが、この日、私の経営するジャズ喫茶「いーぐる」で行われたcom-post同人である柳樂光隆さんの講演『ジャズ・ヒップホップ・マイルス 追加講習』は、音楽的に非常に面白い問題を提起してくれたように思う。それは、ジャズとヒップホップの関係というような局所的な話題にとどまらず、「音楽の聴こえ方」という、極めて本質的な問題に光を当ててくれたのである。 本論に入る前に私の個人的関心事を語ることをお許しいただきたい。それは、「同じ音楽が異なった聴こえ方をすること」あるいは、「同一の音源が異なった文脈で捉えられた結果、意味までもが変容すること」とでも言おうか。そうした現象にたいへん興味があるのだ。もしかすると、これはずいぶん昔に話題となった「ポストモダン問題
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試み最近、ブラジルの音楽が面白い。面白いのと同時に、新しさを感じるのだ。ブラジルの音楽が明らかに今までとは違う響きをし始めている。その新しさの象徴がアンドレ・メマーリであったり、ここにも参加しているアントニオ・ロウレイロであったり、本作の主役ハファエル・マルチニだろう。同時代の同地域に何人もの才能が現れ、それらが同じような感覚を共有し、繋がっていく一つの小さくないうねりのようなものを今のブラジルには感じるのだ。例えるなら、70年代ミナスの「街角のクラブ」のように、などと言えるのかもしれない。 ここで新しさを最も感じさせるのはアントニオ・ロウレイロのドラムだ。あのどこまでもそっけないほどクールで、わかりやすい温もりや感傷を拒むようなどこまでもドライなビートが本作の印象を決定づけている。ここではアントニオ・ロウレイロ自身のアルバムほどのインパ
益子:さらに、90年代にはインターネットが普及し、メディアの環境が大きく変化したことが、そうした風潮を後押しする結果になったのではないでしょうか。『スイング・ジャーナル』や『ジャズライフ』『ジャズ批評』といった商業誌があまり扱わなくなっていったジャンルを、インターネットのサイトがフォローするようになっていった。例えば、もう老舗になりますがフュージョン〜AOR専門の「Cyber Fusion」だとか、フリー系、現代音楽系プラス日本人みたいになっている「JAZZ TOKYO」などがありますね。こういったところでは、自分が好きなジャンル、興味のあるジャンルに関しては常に新しい情報に触れることができる、と。インターネット上なら、雑誌ほどシヴィアに商業面に左右されなくて済むということですね。こうして、ジャンルの細分化、分断化が進んでいく。 それに加えて、インターネットでは一般の個人の方々が自由に情
菅野よう子 EPIC / ESCL-3874 菅野よう子,松永貴志,石若駿,佐野康夫,今堀恒雄,古川昌義,本田雅人,鳥越啓介,類家心平 1. KIDS ON THE SLOPE 2. Chick's Diner 3. Moanin' 4. Bag's Groove 5. Blowin' The Blues Away 6. Satin Doll 7. YURIKA 8. Rosario 9. Curandelo 10. Transparent 11. Run 12. But not for me 13. My Favorite Things 14. Equinox 15. A Piece Of Blue 16. Lullaby Of Birdland 17. Jazz For Button 18. Four 19. Easy Waltz 20. float 21. Milestones 2
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試み菊地成孔ダブ・セクステットのデビュー作である『The revolution will not be computerized』のジャケットは、ジャズ・ファンなら誰でも分かるように、オーネット・コールマンの『ディス・イズ・アワ・ミュージック』の引用である。 いかにも当時のアトランティック・レコーズのアルバムっぽいレタリングの「STEREO」表示や、「High Fidelity」ならぬ「Low Fidelity」という但し書きが愉快なこのジャケットを眺めつつCDを聴き、オーネットの『フリー・ジャズ』のジャケットはジャクソン・ポロックだったけど、さてこのダブ・セクステットにふさわしいアートは何だろうな、などとぼんやり考えていたら、ずしりと重い宅配便が届いた。大竹伸朗の「全景」展(2006年)カタログが、展覧会が終わってから約1年経って、やっ
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試み(前口上) 菊地成孔についていろいろなメディアに書いたもののうち、短いレヴューや紹介文以外で、比較的長いものをまとめてアップしてみることにしました。 なお、このcom-post「ライヴレビュー」欄に、ぺぺ・トルメント・アスカラールのライヴ評があります。そちらも併せてお読みいただければ幸いです。 (村井康司) 菊地成孔の最初の著作『スペインの宇宙食』(小学館)の冒頭に置かれた「放蕩息子の帰還」の中に、ナボコフの『ロリータ』からの引用がある。ハンバート・ハンバートがロリータに買ってやったさまざまな品物を列挙するくだりだ。 菊地成孔が書いた第一稿では、その引用部分は以下のようだった。 「レピングヴィルの繁華街で、私は、いろいろなものを買ってやった、漫画の本を四冊、箱入りのキャンデー、衛生綿一箱、チェリーコーク二本、子供用のマニキュ
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試み大きな鳥が峠を舞い降りてくる 衝突を避ける唯一の手立て…… ブラック・レディオ 10曲目のアルバム表題曲のリリックの引用から始まる、白と黒をはっきり対比させた力強い見開きレイアウトでCDジャケットに記載された英文ライナーは、黒人の魂から生まれた音楽が、何世紀もの間、黒人の経験を物語るだけではなく、多くの物事が従ってきたアメリカ人という青写真をも存続させてきたのだ、と続ける。Alternate Takesというジャズ・ブログを主宰する若き女性ジャーナリストのアンジェリカ・ビーナーがその筆者だ。彼女の筆は自信に溢れている。曰く、ブラック・レディオとは、ブラック・ミュージックの真実を表している、我々(そう彼女もブラックだ)の音楽はポップ・カルチャーの気の滅入るような表現に取り囲まれているにも関わらず、革新的で人を鼓舞するものであり続けて
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試み生演奏ヒップホップ/R&Bの一つの指標になるかもしれないとさえ、言っておこう。 注目すべきはクリス・デイブのドラムだ。生演奏のヒップホップと言えば、真っ先にザ・ルーツのクエストラブが浮かぶ。彼が叩き出す重心の低いビートは古きよきソウルミュージックの、古きよきファンクミュージックの、そしてヒップホップが愛したレアグルーヴが持つ魅力を素直に形にしたものだ。個人的にそのかっこよさはわかる(し、好きでアルバムも新作が出ると毎作のように買っている)ものの、「じゃ、ジャズ聴く耳で聴いたらどうなんだろう」と言うと、そこまで魅かれなかったと言うのが正直なところだ。根本的にジャズのリスナーが求めるものとは違うのだろう。本作でのクリス・デイブはこのジャズリスナーのジレンマへの回答に一歩近付いたのではないか、と僕は感じている。そしてそれが結果的にエクスペリ
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試みビバップとかハードバップとかいったスタイルでは括れずそれぞれの名前を冠して○○ミュージックとするほかない巨人がいる。その最たる者がエリントン、マイルス、モンク、それにチャールズ・ミンガスだ。彼らに共通するのは、後藤雅洋氏が『ジャズ耳の鍛え方』(2010年/NTT出版)で提唱された4タイプのうちの「サウンド志向と作家性」だろう。空前絶後の表現力でジャンルを軽々と超えたエリントンやマイルスと異なってミンガスはジャズ内にとどまったが、それでもその表現力は自身の身体のように幅広く巨大だった。現代音楽かぶれ、怒りのメッセージ作、風物詩、ルーツ回帰作、風刺作、エリントンへの傾倒作など、着想と楽想は無限にも思えるほどで、生涯「新しい音楽」を追求し続けた。 一方で、サウンド・クリエイター、オーガナイザーとしての功績が重視されるあまり、ジミー・ブラント
言葉のゴミ溜めが豊かな土壌を生み出す可能性に賭ける試み
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