サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
blog.goo.ne.jp/yushisha2005
先日、久しぶりに旧知の歴史書・学術書出版社編集者数名と痛飲しました(メンバーは、私と同世代およびもう少し若い世代)。 本づくりの悩みや最近の著者の傾向など、同業者でないと分からないディープな事を話し合えて本当に楽しかった。 一人だと色々と考えすぎて悩むことが多いのですが、こうして仲間たちと話すと気分が晴れますし、「他社ではそうやっているのか~」と勉強になることもしばしば。 学術書編集者の世界は、もともと出版社同士で交流することが少ないので、こうして有志で集まって情報交換とバカ話に興じるのも大事かと思います。 できれば、こういう編集者同士で勉強会をやってというのが好ましいわけですが、歴史編集者懇談会(歴編懇)を私は辞めてしまったし、歴編懇自体も長らく開店休業状態のようなので、なかなか難しい。 みんな忙しいので、定期的にそういう機会を作るのが大変なのは分かりますけど、編集者同士での仲間意識があ
「「徴用工」に注がれる科研費 前文部科学事務次官の前川喜平氏は韓国と同調」という『産経新聞』の記事を読んで。 以下は、『1984』『動物農場』などを書いた作家・ジャーナリストのジョージ・オーウェルの言葉です。「ナショナリズムについて」『オーウェル評論集』岩波文庫、より。 「ナショナリズムというとき、私がまっさきに考えるのは、人間を昆虫と同じように分類できるものと考えて、何百万、何千万という集団をひとまとめに、平然と「善」「悪」のレッテルを貼れると決めてかかる考え方である。・・・自分を一つの国家あるいはこれに似た何らかの組織と同一視して、それを善悪を超えた次元に置き、その利益を推進すること以外にいっさいの義務を認めない考え方である。ナショナリズムと愛国心とははっきり違うのだ」。 「ナショナリストたるものはつねに、より強大な権力、より強大な威信を獲得することを目指す。それも自分のためではなく、
松沢裕作さんの論考「国民国家と土地問題のあいだ―牧原憲夫の近代史像・再考―」(『歴史学研究』956号、2017年4月号)を読みました。 この論文で取り上げられている牧原さんの著書『客分と国民のあいだ―近代民衆の政治意識―』(吉川弘文館、1998年、以下『客分』と略記)の編集担当者だった者として、とても嬉しかった。 もう20年も前の本ですが、今こそ牧原さんの「政治(政事)史論」は議論しないといけないのだと思っていたからです。 まず、この論文で松沢さんは、牧原さんの研究を高く評価しながらも、『客分』第三章以降の国民化の回路(国民になる事を人々はどう受容したのか)について、「牧原が用意した答えは・・・政治文化論的領域での解答である」とし、「牧原の国民国家論が本来、本源的蓄積論であったとすれば政治文化論的解答では不十分・・・やはり問題は経済過程に戻る必要があった」というのは、そのとおりだと思います
今年最初の「出版状況クロニクル」を読んで、もう面白いくらいの崩壊感覚です(苦笑)。 「ええじゃないか」を踊りまくりたくなりますね。 以下、個人的感想です。 ・「出版不況」を通り越し、もはや「出版危機」状況へという状態は、ひしひしと感じる。有志舎も返品がすさまじい。 ・紙の雑誌は崩壊状態で、再起不能。もう雑誌はすべて電子かWebに移行するしかないと思う(もう全く採算が合わないだろう)。 ・配送の危機というのは深刻。取次による出版物流の根幹が崩壊したとき、どういう風景が展開されるのだろうと想像するが、あまりにも恐ろしい。中小零細出版社は、やっぱり小規模なディストリビュータ的物流機構を出版社共同でつくるしかないのでは? 「言うは易く行うは難し」ですね、はい。 ・書店がバタバタ倒れる中、アマゾンの一人勝ち。やはり企業の力はキャッシュフローだなあと改めて思う。 ・素晴らしい人文書の品揃えの店だった書
1月上旬、初めて古書の均一祭(初日は1冊200円均一、2日目は100円均一)に、「本が育てる街・高円寺」(略称:本街)からの助っ人ボランティアとして参加しました。 そこで思ったことと、あとで古本屋さんから教えてもらったことです。 こういう古書の均一祭には、私たち学術書出版社が日頃やっている学会販売の10倍くらいお客さんが来るということにまず驚きました。 決して今回が特別に多かったわけではないようなのですが、10時の営業開始と同時に、厳寒のなかを外で待っていたお客さんたち100人くらいがドドドッ!と一斉に中に突入してきたのには面くらいました。 学会販売もこれくらいの勢いでお客さんが来てくれるといいのに、と羨ましくなりました。その後も、「ヒマだったら読もう」と思って持っていった文庫本を開く時間は全くなく、私が担当していたレジはひっきりなしにお客さんがやってくる状態。 「学会販売の10倍は忙しい
岩波ブックセンター信山社が破産し、店は閉店となったことはもう広く取り上げられています。 現状までについては、月曜社・ウラゲツブログでの小林浩さんの記事がきちんとまとめてくれているので、興味のある方読まれることをおすすめします。 ただ、これは単なる一書店の閉店ではないというのが私も含め人文書出版に関わる人間の思いでしょう。 おそらく、日本で一番人文書が売れるであろう神保町という街の中心にあって、しかもあの品揃えをしている書店が継続できないということの重大性。 その重大性というのは、現代日本における(世界的にそうなのかもしれないが)学問や「知」というものに対する冷ややかな視線(「自分には関係ない世界」「興味もない」という感性)の伸長と、「学問なんてものは限られた旧体制エリートの手慰みと考えることがカッコイイ」という訳知り顔の人々がいかに多くなったかという事。 学問することが賞賛され、必要とされ
脇田晴子さん(日本中世史・女性史)が亡くなったとのこと。 何か、今年は親しかった研究者が亡くなることが多くて本当に悲しいです。 脇田さんとは吉川弘文館勤務時代に、PR誌『本郷』の「歴史潮流」というコーナー(最新の歴史学のトレンドを紹介していただくコーナー)に3回連載で書いていただいた事がきっかけで、その後、『天皇と中世文化』という著書を編集させていただきました(ただ、刊行は私が吉川を辞めた後になってしまったけど)。 東京に来られたときには突然電話が掛かってきて、「ちょっと東京に来てんのやけど、お茶でも飲まへん~?」と素っ頓狂な明るい声で「デート」に誘っていただいたこともありました。 有志舎を創るときも、京都南郊のご自宅にうかがって、独立後の企画も話させていただき、「近代史やないけど、わたし、「世阿弥論」書きたいのやわ~」と言っていただいて、「もちろん、お願いします!」とお願いしたのでした。
創文社と新思索社について、「出版状況クロニクル」2016年7月には、以下のように暗澹たる記事が(12項と13項)。 12.学術出版社の創文社が2020年をめどに会社を解散すると公表。新刊発行は来年3月までとされる。 これは人文書出版社に静かな波紋として、大きく拡がっていく気がする。創文社は千代田区一番町に自社物件不動産を有し、高定価、高正味と学術出版助成金に加え、日キ販をメインとする安定して取次と常備書店網を備え、盤石の学術出版社と見なされてきたからだ。それゆえに『ハイデッガー全集』やトマス・アクィナス『神学大全』の企画刊行も果たせたと思われてきた。 その創文社でさえも売上の回復が見こめず、解散に向かうとすれば、日本でもはや大学出版局を除いて、学術出版は不可能だと考えるしかない。 13.これも人文書の新思索社が破産。 負債総額は5000万円。小泉孝一社長が亡くなり、事業を断念したことで、取
歴史学の巨星がまた一人、去っていってしまいました。 日本近現代史・経済史の中村政則先生(一橋大学名誉教授)が、昨日亡くなられたとのこと。 実に残念です。 中村先生には、吉川弘文館の新入社員時代からお世話になりっぱなしでした。 最初の出会いは「近代日本の軌跡」シリーズ第5巻の『占領と戦後改革』の編者になっていただいたときのこと。今でもそのときの情景が目に浮かびます。 この巻の編者を依頼するべく一橋大学にうかがった時、初対面の私に「吉川弘文館が私に何の用?」とつっけんどんにおっしゃった。その頃、吉川は『国史大辞典』などを出していて全く中村先生などの左派の研究者の方々とは付き合いが無く、後に、「あのときは、君たち吉川が大嫌いだったんだよ。悪かったね」と笑って仰ったように、右翼出版社だと思われていたのでした。 それでも、私は中村先生の書いた本が大好きで沢山読んでいたので、戦後史の巻は絶対に中村先生
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『blog.goo.ne.jp』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く