「冷食」の概念を変えた味の素冷凍食品のマーケティング 味の素の餃子を食べたことがある、という読者の方は多いだろう。私も同社の餃子の大ファンであり、いとも簡単に羽根つき餃子ができることに感動した一人だ。味の素冷凍食品は、自社と消費者を物語でつなぎ、両者をともに共感、共鳴しながら需要を創造していく関係性に位置付けるマーケティングを取り入れている。これはナラティブマーケティングと呼ばれ、顧客を主役とした物語(ナラティブ)を構成することにより、顧客の心理に訴えかけることで、需要を創造する。 そもそも、なぜ、味の素冷食がこのような活動に至ったのか? 筆者は以前、同社の常務執行役員でマーケティング本部の戦略統括を行う伏見和孝氏にインタビューを行ったことがある。きっかけは味の素が始めたASVという考え方にあるという。ASVはAjinomo to Group Creating Shared Valueの略