「水分の補給が少なかったり、別の病気と重なったりして、検査から1週間後に腸内でバリウムが固まったケースが過去5年間で2回ほどありました。検査翌日に手術した例はありません」 男性は、「全国レベルでは、ありますよね?」と食い下がった。これに対して検診団体は「私どもは日本対がん協会の支部でして、(翌日に緊急手術の例は)聞いたことがありません」と回答した。 男性の場合、自治体の胃がん検診で発生した健康被害なので、厚労省の関連組織であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)の救済対象になる可能性が高い。自治体や検診団体の関係者であれば、当然知っているはずだが、男性に対して説明しなかった。 彼らが帰った後、私が男性にPMDAの救済制度のことを伝えると、怒りをにじませてこう言った。 「なぜ、教えてくれないのでしょう。責任が問われるからでしょうか。救急車を呼ぶのが遅かったら、命を落としていたかもしれないのに、