時代は1970年代、NHK連続テレビ小説『虎に翼』第25週「女の知恵は後へまわる?」では、還暦間近の寅子(伊藤沙莉)が「一周回って、心が折れる前の、いえ、法律を知った若い頃の本当の自分に戻ったようなんです」と桂場(松山ケンイチ)に語る。 「どの私も私」であり、心が折れる前も後も自分であるという認識を得たという寅子の発言に、寅子は心が折れたあと、その前の彼女とは変わってしまったと思っていたということだろうか。確かにキラキラと法律が大好きだった寅子はもうずっといなかった。戦後、憲法が改正されて涙したあとは眉間にシワを寄せた顔のほうが多かった気がする。航一(岡田将生)との恋とかもあったとはいえ。 心が折れた出来事とは、穂高(小林薫)に、妊娠したからには仕事を一旦休むように助言されたことである。やる気のある若者の芽を摘んだ穂高を、寅子は最後までゆるさなかった。だからなのか、今回、朋一(井上祐貴)が