NHK連続テレビ小説『虎に翼』も、いよいよ最終週に入った。もう半年たつのかと。なんなら朝ドラも、大河のように1年かけてくれてもいいんだよと。もうすでに強烈な「トラつばロス」を予感してならない。今作は、なぜこんなに面白かったのか。 朝ドラとは思えないほどの、骨太で重層的な物語ゆえか。あるいは、主人公・佐田(猪爪)寅子を演じる伊藤沙莉の魅力か。それらももちろんだ。だが、このドラマのもっとも大きな魅力は、サブキャラたちがみなしっかりと「生きている」ことだ。 1クールで終わるドラマとは違い、朝ドラのように長丁場の物語となると、「あのキャラ、いらなかったよね?」という人物が登場しがちである。数話分だけ場をかき回し、その後再登場することも顧みられることもない。「あのエピソードなんだったの?」というパターンである。 この『虎に翼』には、それがない。どのキャラも、使い捨てにしない。どのキャラにも、意味があ