私の母は狂人だった。私が母に母らしい親しみを最後に感じたのはいつだったか。 この人が母親であることが嫌だなと思ったのは、中学校の三者面談の時に、 私が担任に褒められるとみるや否や、 「うちの子は親の敷いたレールの上をただ走ってるだけですから」 と言い放った日のことだ。 私も担任の先生も目を丸くして驚いた。 思えば中学くらいから母はおかしかった。 きっとその前からおかしかったのだろうが、中学くらいからはっきり「この人はおかしい人だ」と思うようになった。 私が少し学校のことで愚痴を言えば、学校にクレームを入れた。 私が「学校の先生には電話しないで。家で文句言ってるだけだから」と言っても、 学校にクレームの電話をかけた。 困った私は次の年に担任になった先生に 「母は私の言ったちょっとしたことをわざわざ学校に電話をするところがあるから、 もし母が電話をかけてきたら話だけ聞いて、あとは無視して、私に