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米国・トランプ大統領が2期目の政権をスタートさせてから1カ月あまり。この間、70本を超える大統領令に署名しています。なかでも、就任後すぐに、連邦政府のDEI(多様性、公平性、包括性)プログラムの廃止と、「性別は男と女の2つだけ」とする大統領令に署名したことは大きな波紋と動揺を広げました。こうしたトランプ政権の姿勢から見えてくるものは何か。ジャーナリストの北丸雄二さんにご寄稿いただきました。 救命ボートの倫理とは 「救命ボート倫理(lifeboat ethics)」と称して提示される問いがあります。60人乗りの救命ボートにはすでに50人が乗っている。そこにさらに波間を漂う100人もの遭難者がいる。さてその場合、何をどうするのが倫理的か、あるいは最適解か? 1974年にアメリカの生態学者ギャレット・ハーディン Garrett Hardin が持ち出したこの倫理上の難題は古代ギリシャの「カルネア
「仕入れ方」が本屋の性格を決める こんにちは。よりまし堂(準備中)の岩下です。 おかげさまで開店準備のクラウドファンディングは目標を達成し、ネクストゴールに挑戦しています。あと2週間を切りましたので、最後のひと押しをぜひよろしくお願いします。 2月に入り、店舗の内装工事が始まりました。空調や電気工事、床の張り替え、キッチンカウンターの造作。本屋の形になるのはまだ先ですが、いよいよだな、と気分が高揚してきます。 先週は、メインの書籍仕入れ元とする予定の「子どもの文化普及協会」さんへ取引開始の打ち合わせに行ってきました。業界団体のような名前ですが、作家の落合恵子さんが代表を務めるクレヨンハウスの子会社です。もともとは児童書専門の卸売会社として始まり、現在はそれ以外のさまざまな本も扱っています。 いわゆる独立系書店は、ここから本を仕入れているお店が多いと思われます。担当の方に伺うと、やはりこの数
本だけ売っても本屋はできない 前回の記事では、僕が本屋をやろうと決意する前のところで字数が尽きてしまいました。話が冗長で申し訳ないですが、“なりわい”としての本屋のハードルがどのあたりにあるかを知っていただきたかったからです。 前回書いた通り、書籍はとにかく利益率が低いのが特徴です。日頃あまり本を買わない人なら、2000円の本といったら「高め」と感じるでしょう。でも、それを1冊売っても本屋に残るお金は300〜400円。定価の安い新書や文庫、コミックならさらに低く、本当に「雀の涙」という形容がしっくりきます。 それでも、本がたくさん売れた時代には薄利多売でなんとかなっていました。特に雑誌は、毎週新しい号が出て固定客が買っていくので、書店経営の大きな支えでした。しかし今、雑誌を定期購読する人は珍しくなってしまっています。 書籍や雑誌の販売だけで成り立たないとなれば、他の収益源をつくるしかない。
はじめに はじめまして。今月からマガ9で連載を始めさせてもらうことになりました、本屋「よりまし堂」の岩下結といいます。 そんな本屋、聞いたことがない? ごもっともです。まだ誕生していない本屋ですから。今年の春を開業の目標に、準備とクラウドファンディングに挑戦しているところです。 この連載では、出版社で本の編集を仕事にしていた僕が、ひょんなことから独立系書店を始めることになった経緯、そして開業に向けた日々を書き留めていきたいと思います。連載タイトルは「本屋になってみた日記」としましたが、実際にはまだ準備中なので、タイトル詐欺にならないことを祈るばかりです。 * * * 3つの反応 「本屋を始めることにしました」 そう切り出すと、相手の反応は3パターンくらいに分かれます。 「へー。いいですね!」と明るく言ってくれるのは、日ごろ書店や出版にあまり縁のない人。 「えーっ!? なんでまた……?」と返
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第703回:「失われた30年」のアンハッピーセット〜自己責任、差別やヘイト、そして石丸・斎藤現象まで。の巻(雨宮処凛) 来年の1月27日、私は50歳の誕生日を迎える。 しかも来年はデビュー25周年。ということで、1月27日夜、ロフトプラスワン(東京・新宿)にて「雨宮処凛生誕50年&デビュー25周年大感謝祭」を開催予定だ。 また、来年はそんな「記念の年」として、1年間にわたり祝祭&パーリナイな感じでいこうと思っている。 生きてるだけでつらくて死にたいことの方が多いのだから、たまにはこういう企画を立てて自分を盛り立てようという魂胆だ。というか、誰も生誕半世紀もデビュー25周年も祝ってくれる気配がないので自分で計画しているのである。涙ぐましいではないか。 ということで、「祝ってやる」という珍しい方がいたら、イベントや講演の企画を立ててくれれば全国できる限り駆けつけたいと
兵庫県知事選にて、斎藤元彦氏が当選した。 斎藤氏を批判するリベラル系の人などからは今回の結果を受け、「斎藤に投票した人はバカだ」「愚かだ」という声が上がっているが、それはもっともよくない反応だと思う。 そのような「上から目線」で、リベラルは着実に「リベラル嫌い」を増やしてきた。私が知る限り、約20年前の小泉郵政選挙からだ。 まず強調したいのは、斎藤氏の当選も、そして都知事選での「石丸現象」も、既存の政治への恐ろしいほどの不信感が根底にあるということだ。 そうして今回の選挙と都知事選を見ていて思ったのは、選挙はこれからさらに「推し活」化していくだろうということだ。 ということで、私はこの一年ほど、選挙に出る人に伝えていることがある。 それは「キリショーに学べ」だ。 ご存知、エアーバンドのゴールデンボンバー・鬼龍院翔に学べということである。 そう思ったのは、彼の書いた『超! 簡単なステージ論』
衆院選投開票日翌日の10月28日、嬉しいニュースが飛び込んできた。 国による生活保護引き下げを違憲として全国で保護利用者が原告となって戦っているわけだが、この日、岡山地裁で勝訴となったのだ。通称「いのちのとりで裁判」は全国29都道府県で起こされているのだが、現在、18勝11敗。怒涛の快進撃である。 そんな嬉しいことがあった翌日には、衝撃的なニュースが報じられた。 昨年の自殺者のうち、「経済・生活問題」を原因・動機とした自殺が前年比484人増の5181人で、この2年で1.5倍に増加したというのだ。 7月に発表された国民生活基礎調査を見ても、6割が、生活が「苦しい」と回答。3年近くにわたる物価高騰が続いているのだから当然だ。 私が属する「反貧困ネットワーク」にも日々「所持金が尽きた」などのSOSが届いている。ちなみに最近、反貧困ネットワークが支援した人は勾留を解かれたばかりだったという。失業し
世界中で戦争が収まらないどころか、各地でも火種が燻り続けて危なっかしくてしょうがないっていうこのタイミングで、謎の帝国アメリカではトランプ大統領が再登場することとなった。トランプ氏は「アメリカ第一主義」という、“テメエの身内さえよけりゃ、他はどうなったって知ったこっちゃねえ”という、神をも恐れぬ自分勝手主義。普通はよそ様を気遣ったり面倒見て初めて人としてどうだってもんじゃないのかねえ。それを白昼堂々、自分がよけりゃいいなんて、普通だったらみっともなくてお天道様に顔見せできないと思うけどね〜。まったく、どうなってんだか! で、それどころか、そんな自分勝手主義は世界にはびこり始めており、世界各地で「自分たちさえよければいい」なんて公言する、近所のバカ息子みたいな政治家がちらほら登場してきている。こりゃ大変だ! そしてこの自分勝手主義、自分らだけで勝手にやるっていう鎖国的な意味ではなく、どんどん
衆院選期間中、れいわ新選組の大石あきこさんがアップしたTik Tok動画が大きな批判を浴びた。 山本太郎氏がタイ在住インフルエンサーの口調を真似たものであるが、インフルエンサーが話すのはカタコトの日本語。それを真似たことが差別であるとして批判を浴びたのだ。 大石さんは11月1日、そのことに対するコメントをXにポストしたが、それがまた大きな議論を呼んでいる。 このことについて、長年れいわを応援してきた人間として、書いておかなければならないと思い、この原稿を書く。 まず、動画を見た時は驚いた。 私自身、普段からTik Tokばかり見ている人間なので、タイ在住インフルエンサーのことはもちろん知っていた。そして多くの日本人が、彼女の真似をした口調の動画をアップしていることも知っていた。 そのような文脈から、ああ、あれだなと思ったものの、これは問題になるだろうとも見た瞬間、思った。 当然、問題になり
ホーム 家なき人のとなりで見る社会 第43回:ツッコミどころが満載すぎる桐生市 一日千円、桐生市・生活保護費違法支給訴訟を傍聴して(小林美穂子) 2024年10月4日、前夜から降り続いた雨がようやく止んだ金曜日の朝、私は前橋地方裁判所に向かっていた。群馬県桐生市で生活保護を利用している男性2名が、市に一人あたり27万5千円の賠償を求める国家賠償請求訴訟を起こした。その2度目の口頭弁論が開かれる。 持病が悪化して働けなくなり、生活保護を申請した原告たち。要件を満たしているので当然保護は開始されたが、同時にハローワークで毎日求職活動をするように指導された。不自由な体で毎日ハローワークへ通い、求職活動をした証明を福祉課の窓口で見せると、一日千円だけ支給された。生活保護制度を利用しているにもかかわらず、法で定められた保護費満額を月内に渡されることはなかった。 非常に注目を浴びた本ケース、初回口頭弁
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第696回:多発する闇バイト強盗事件〜若年層のホームレス化を放置してきた社会がこれから払わされるツケ。の巻(雨宮処凛) 衆院選真っ只中である。 テレビやネットメディアでは党首討論などが放映され、各政党が政策や主張を展開。普段からこれくらいやってほしいものだと思いつつ見ているが、そんな中、思わず「お前が言うか?」と叫びそうになったことがあった。 それは公示直前、10月14日の報道ステーションでの党首討論。主要政党の党首によって討論が繰り広げられたのだが、その際、石破首相は「昔の日本人はもっと思いやりがあった」などと述べたのだ。 それを耳にした瞬間、私の頭にカーン! とゴングの音が鳴り響いた。 昔の日本人は思いやりがあっただと? その思いやりを積極的に奪うような政治をしてきた存在こそが自民党ではないのか? 血管が切れそうになりながら、叫び出したい気持ちを必死でこらえた
ドキュメンタリーの作家には、常にジレンマがつきまとう。 どういうジレンマかというと、作った作品を一人でも多くの人に観てほしいと願う一方で、作品が世の中に広まることで、被写体に何らかの負の影響が及ぶのではないかという懸念が伴うことだ。 台本に沿って虚構を演じる俳優を撮るのではなく、現実に存在する生身の人や猫や状況にカメラを向けるドキュメンタリーには、そういう難しさが最初からビルトインされている。だから作品のプロモーションに一生懸命になりながらも、いつもその結果起きうることを心配している。 今月19日から日本での劇場公開が始まった『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)や、18日に刊行されたフォトエッセイ『猫様』(集英社/ホーム社)にも、そのことは言える。 特に五香宮界隈の猫の世話をする人たちからは、映画が公開されたり本が出版されることで、猫を捨てにきたり、誘拐しにくる人が増えるのではな
「この選挙の敗者は、生活と労働だった」。7月の東京都知事選の後、ジャーナリストの竹信三恵子さんがSNSに書かれていた言葉が、ずっと頭に残っていました。「生活と労働」が敗者だったとは、どういうことか。その背景には、どんな状況があったのか。総選挙目前の今、改めて振り返っていただきました。 東京都知事選の後、メディア報道やインターネットでの議論を見ながら、ずっと「どこかもやもやした気持ちを抱えていた」という竹信さん。しばらく考えた末にたどり着いたのは、「もやもやするのは、都知事選での『本当の敗者』が語られていないからではないか」という思いだったといいます。 「選挙戦でも選挙後の報道でも、都民の雇用を守り、生活を守るという、誰にとっても大事なはずのことが大きな話題にならなかった。そして、有権者もまた『生活と労働』を守るための選択をしなかった。『生活と労働』こそが敗北した──それが今回の都知事選の本
米大統領選「選挙人制度」の怪? 太平洋を挟んでこっちでもあっちでも、選挙選挙選挙とうるさい今日この頃。だから、少しはぼくも考えてみる。 アメリカの大統領選挙で、ぼくがいつも不思議に思うのは「選挙人制度」というやつだ。各州にそれぞれ人口に比例した選挙人が割り当てられていて、1票でも多い候補者がその州の選挙人を“総取り”できるという方式。つまり、全米で得票数で勝った候補者ではなく、各州の選挙人の獲得数で当落が決まってしまう、という制度である。 で、妙な結果が出てしまうこともある。 たとえば2000年、ゴア氏(民主党)を破ったジョージ・ブッシュ氏(息子、共和党)のケース。さらに2016年、ヒラリー・クリントン氏(民主党)がトランプ氏(共和党)に敗れたときも同じ。ゴア氏は全米規模の一般投票ではブッシュ氏よりも多い票を獲得、ヒラリー氏もトランプ氏には圧倒的な差で勝っていた。 全米で獲得票数の多い方が
タイトルのとおり、アメリカの内戦を描いた映画である。それがなぜ勃発したのかの説明はない。アメリカ合衆国に反旗を翻したカリフォルニア州とテキサス州によるWF(Western Forces=西部同盟)が、ワシントンD.C.に向って進撃している状況が、すでに起こっているものとしてある。長く戦場で多くの報道写真を撮ってきた女性フォトグラファーのリー、男性記者のジョエル、2人の大先輩に当たる老記者のサミー、そしてリーに憧れ、自身もフォトグラファーを目指すジェシーの4人が、ホワイトハウスで大統領にインタビューするため、「プレス」と記された車に乗ってニューヨークから首都を目指すところから物語は始まる。 目的地に向かう途中で4人は、砲撃を受けた建物、炎上した自動車、通りに捨て置かれた死体、民兵と彼らにとらわれた血まみれの男たちと遭遇し、内戦に一切関わろうとしない、ただただ日常を送ろうとしている町や、クリス
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第694回:唐沢俊一氏の訃報に、サブカルと孤独死とヘイトと「受援力」などについて考えた。の巻(雨宮処凛) 9月末、唐沢俊一氏が亡くなったことが報じられた。享年66。 2000年代に放送されたバラエティー番組「トリビアの泉」のスーパーバイザーをつとめ、「トンデモ本」などを品評する「と学会」などの仕事で注目された「雑学王」。 90年代にサブカル女だった私にとっては代表的な「サブカル文化人」だったが、特に追ってはいなかった。「鬼畜系」にどっぷりハマっていた私にとっては馴染みの薄い存在だったのだ。 が、「トンデモ本」などを品評する際の冷笑・嘲笑的なスタンスには大いに影響を受けたと今になって思う。そしてそんなスタンスは、現在この国に蔓延する「冷笑系」にも通じるものなのではないかと思ったりする。 そんな唐沢氏の死を告げる言葉の中には、訃報にふさわしくないものが散見された。 例
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第693回:袴田さんの無罪に思う〜私がこれまで出会った冤罪被害者の服役期間、合計で125年〜の巻(雨宮処凛) 「袴田巌さん、再審で無罪」 ニュース速報で流れたその文字に、思わず「おおお!」と言いながら立ち上がっていた。身体中から熱いものが溢れ出しそうな、そんな気持ちに包まれた。そして「よかった……」と口にしたものの、失われた時間のあまりの長さに次の言葉が見つからなかった。 今から58年前の1966年に起きた一家4人の殺人事件で逮捕され、48年を獄中で過ごした袴田巌さん。 2014年には「拘置をこれ以上継続することは、堪え難いほど正義に反する状況にあると言わざるを得ない」(静岡地裁の裁判長の言葉)と釈放されるものの、30歳で逮捕された袴田さんはその時点ですでに70代。48年間に及ぶ獄中生活のうち33年間、死刑執行に怯える日々を過ごした袴田さんは、いつからか自分の世界
ホーム 家なき人のとなりで見る社会 第42回:あなたの町は何色? 市民の手で福祉行政を修復するために。正しい生活保護率増減マップの歩き方(小林美穂子) 9月17日、生活保護の現場職員(現/元ケースワーカー含む)や研究者らで作られる有志の市民団体「生活保護情報グループ」が2012年~2021年までの生活保護率増減マップ(簡易版はこちら)をネット上で公表した。 国内970地域を対象にしたマップは、過去10年間の各自治体の保護率(※)の推移を示したもので、2012年度と比べた2021年度時点の増減率で色分けをしている。 10%以上減少している自治体は赤色表示となり、40%以上の減少率になると赤色が最も濃くなる。逆に保護率が増加傾向にある自治体は緑色の濃淡で表わされる仕組みだ。 たとえば生活保護問題で有名になった群馬県桐生市を例として見ると、真っ赤である。もともと「一日1000円窓口支給」の一件か
2023年12月、群馬県桐生市在住のNさん(48歳)の呂律が回らなくなり、嘔吐が続いた。胃薬で紛らせようとしたが吐き気はおさまらず、異常を感じて救急車を呼んだ。脳梗塞と診断され、治療、リハビリを経て今年2月末に退院した。 入院中にソーシャルワーカーの働きかけで生活保護を利用することになった。同じ屋根の下で暮らす身体障害2級の実兄と、そしてNさんの退院と入れ替わるように家を出てグループホームに入所した異母兄、計3人で同一世帯と認定されての生活保護利用だった。 暴力的な父と2人の母と Nさんの家庭環境は複雑だった。 母親は内縁の妻で、子どもはNさんと兄の2人。Nさん家族が住む同じ家には本妻とその3人の子も暮らしており、計8人の大所帯だった。 父親は頻繁に暴力を振るった。その暴力は壮絶で、Nさんと兄は首を絞められたり、硬い灰皿で殴られたりして入院したこともある。兄が障害を負ったのは父親の暴力が元
「(前略)だまされたかわいそうな人間として扱われると腹が立つものです。私自身、取材がてら出演作品の販売停止の手続きを進めようとしましたが、支援団体から『かわいそうな人』との扱いをされ、しんどくなって途中でやめてしまった」 この言葉は、9月4日の朝日新聞夕刊「オトナの保健室」に掲載された峰なゆかさんへのインタビューのものである。「元女優が見たAV業界」のタイトル通り、峰さんは元AV女優で漫画家。作品には『AV女優ちゃん』などがあり、自伝的要素を含むという本書では2000年代のAV業界を描いているという。AV出演強要問題についても取り上げられているらしい。 「強要を訴えた女性を、複数の女優が攻撃する心理について、『かわいそうな人間だと思われたくないから』と評しました」とインタビュアーに答えて彼女は言う。 「実際、複数の女優が『強要なんてない』と発言していました」 それに続くのが、冒頭の言葉であ
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第689回:「皆殺し」「豚の餌」「はよじさつしろ」〜クルド人への見るに耐えないヘイトの数々と、101年前の関東大震災時のデマとの類似性。の巻(雨宮処凛) 雨宮処凛がゆく!
ホーム 雨宮処凛がゆく! 第688回:日本が「貧しい」ことがバレバレになった岸田政権の3年間と、外国人にも働く先として選ばれなくなりつつある「元経済大国」がどう軟着陸するかという難題について。の巻(雨宮処凛) 雨宮処凛がゆく!
日本初の女性弁護士のひとりをモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』が話題です。劇中では日本国憲法の条文が何度も読み上げられ、改めて聞き入って涙したという声も。では、そもそも憲法とは私たちにとって、どんな意味を持つものなのでしょうか。大の『虎に翼』ファンで、SNSを通じて憲法についても発信を続けている弁護士の國本依伸さんにお話を伺いました。 立法者に縛りをかけることが、憲法の重要な役割 ──『虎に翼』をきっかけに、改めて今「日本国憲法」が注目されています。ドラマの中では主人公が戦後、新憲法と出会うことで生きる気力を取り戻す場面などが描かれましたが、現代を生きる私たちにとって、憲法とはどんな意味を持つものなのでしょうか。その機能や役割についてまずお考えをお聞かせください。 國本 僕は、もっとも重要な憲法の機能は「立法者を縛る」ことだと思っています。 何のこと? と思った人にぜひ見てほし
なんとも驚く結果だった。 それは東京都知事選。 午後8時ジャストに小池百合子氏が当確。のみならず、蓋を開けてみれば蓮舫氏を40万票近く上回り、石丸伸二氏が二位となっていたという逆転劇。 このことに、多くの人がショックを隠せないでいる。私もただただ驚いた。石丸氏に関してはまったくのノーマーク、まさか蓮舫氏以上の票を得るなど想像もしていなかった。 しかし、思い返せばその予兆は十分あったのだ。 たとえば都知事選が始まってすぐの頃。 普段全く政治について発信などしない若い有名アーティストなどが、SNSで石丸氏への支持を表明するという光景を幾度か見かけ、驚いていた。 え、もしかしてこの人、政治に無関心な若者の票をすごい勢いで掘り起こしてて、これまで選挙に行かない層に響いてる? そう思うことは何度かあった。 一方、街頭での熱気を感じる出来事もあった。選挙期間中、たまたま石丸氏の街宣の直前の様子を見かけ
「その人」の名前を私は知らない。遠い親戚だと両親から聞いていた。 私が小学生の頃、その人は2度、我が家にやってきた。 その人がやってくると、父は私と弟を寝室に引っ込めた。母は台所でつまみを作り続け、父がその人の相手をしていた。夜遅くまでちゃぶ台を挟んで飲み食いすると、必ずその夜は泊っていった。別室で眠りに落ちた私の記憶に、陽気な笑い声と、闊達な喋り声が残像のようにかすかに残っている。 白い浴衣姿の痩せた男として記憶されたその人は、間もなくして我が家ではタブーとなった。墓地で首を吊ったのだ。 「誰にも言うな。そんな親戚がいると人様に知られたら、お前たちは結婚できなくなる」 父は硬く怒ったような顔をして、小学生だった私たちきょうだいの口を封じた。 存在を消される人たち もともと遠い親戚なので、その人を知る人たちと私が出会うこともなかったし、家でもタブーとされているので、親とも話をすることは憚ら
都知事選の投開票日まであと2週間を切った。 立候補しているのは、過去最多の56人。 そんな都知事選告示の少し前、東京都の合計特殊出生率は、この8年で1.24から0.99まで下がったことが報じられた。 また6月20日には、1975年生まれで子どものいない女性が日本では28.3%とOECD加盟国では最多だったことが報じられた。各国の出生動向などを分析したOECDのリポートで明らかになったという。 ちなみに私はその28.3%に思い切り含まれる、「1975年生まれの子どものいない女性」だ。 都知事選を見ていると、多くの候補者が少子化や子育て支援を打ち出している。 小池都知事が掲げるのは「無痛分娩」。以前から「卵子の凍結」費用の助成にも取り組んでいると胸を張るが、「いや、そういうことじゃなくて、そもそもその手前の対策が必要では?」というのが実感だ。子育てに前向きになれるくらいの雇用の安定とか、収入が
7月7日に投開票の東京都知事選に、蓮舫氏が立候補を表明した。 表明の5日後に蓮舫氏が訪れたのは、東京都庁の下で毎週土曜日に開催されている食品配布だった。 この連載でもよく触れている食品配布。コロナ前は近隣の野宿男性50〜60人が並んでいたのだが、コロナ禍で並ぶ人はどんどん増加。そこに物価高騰も重なり、今年の5月24日には過去最多の800人が並ぶなど、この国の困窮を象徴する場となっている。行列には子どもを連れた女性や若者など、コロナ前には決して見かけなかった層も目立つ。蓮舫氏が訪れた6月1日には、実に773人が並んだという。 Twitter(現X)に表示された、「もやい」の大西連氏に話を聞く蓮舫氏の姿を見て、久々にほっと一息つきたくなるような安堵感に包まれた。そんな気持ちになって、自分自身がこの数年間、いろんな感情を押し殺していたことに初めて気づいた。 どんな感情かと言えば、「どうせ小池都政
5月24日、早朝4時半に私は起きた。重い身体に鞭打って身支度を整え、朝ごはんをむりやりお腹に詰め込み、ベーグルの形に丸まって寝ている猫に顔を埋めてエネルギーチャージして家を出た。「第2回桐生市生活保護業務の適正化に関する第三者委員会」を取材するために一路、群馬県桐生市へ。 ザクッとこれまでの経緯 昨年11月、桐生市で生活保護を利用していた男性が、ハローワークで求職活動をした証明とひきかえに、毎日窓口で一日1000円だけ渡されていたことが報道各社から報じられた。 嫌がらせとしか思えない過度な就労指導、最低生活費を大きく下回る分割支給、そして月単位にしても保護費を半額程度しか支給されなかった男性2人はその後、提訴に踏み切った。 同時期、生活保護決定後も保護費の支給が遅れに遅れただけにとどまらず、預けた覚えのないハンコを勝手に受領簿に押された利用者がいたことが報道された。その後の記者会見で、保護
生活保護制度が機能不全になった町 群馬県桐生市の「桐生市生活保護違法事件」の調査団(団長:井上英夫金沢大学名誉教授・日本高齢期運動サポートセンター代表理事)として、4月4日、5日と2日間にわたり「桐生市の生活保護行政をよくする市民集会・シンポジウム」などに参加してきた。 桐生市の生活保護対応のひどさは筆舌に尽くしがたい。徹頭徹尾、すべてのプロセスにおいて不適切・違法行為が散りばめられているためにポイントが絞れないだけでなく、一つひとつのレベルが極悪で単純に言葉を失ってしまう。想定できるレベルの斜め上……というか遥か上、大気圏に突入し宇宙の彼方イスカンダル(古っ!!)なレベルで、もうSF。実際、最初のうちは誰しもが「まさかそんな」と本気にしなかったくらいなのだから。 その「まさか」を、可視化させたのが、長年、群馬県内で生活困窮者を支援してこられ、市民集会を目前にして急逝した司法書士の仲道宗弘
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