真の敵は、民主主義ではないのかもしれない――。経済学者の成田悠輔さんは今の民主主義の混乱について思考を巡らせた末にこう答えた。暴走を続ける資本主義と、それを制御できない民主主義。真の敵とはいったい何なのか。【聞き手・中島昭浩】 豊かさを達成した先に ――今の民主主義にどのような問題点があると考えますか? ◆民主主義の栄光の象徴だったはずのG7(主要7カ国)の惨状は誰の目にも明らかですね。政府支持率が記録的低迷で次々と政権交代、北南米でも欧州でも過激系芸人のようなポピュリスト(大衆迎合主義の)政治家が台頭しています。しかし、もしかしたら敵は民主主義ではないのかもしれない。敵はむしろ民主主義の結果として達成してしまった豊かさであり、幸福。そんな仮説を持ちはじめています。 民主主義的な政治と資本主義的な経済の二人三脚がうまくいった結果、欧米や日本は20世紀末には物質的に十分豊かになり、史上初めて