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冬が深まってくると、皮膚の乾燥が強くなってきますよね。 実際に冬季は、顔の皮膚のバリア機能が下がることが報告されています[1]。 そのため冬季は特に、スキンケアを念入りに行っている方も多いことでしょう。 私はアレルギー専門医であるせいか、アトピー性皮膚炎の患者さんを多く診察しています。 そして初診の患者さんには様々なことを伺います。 その中で、「今、保湿剤に何を塗っていますか」とお聞きすると、「ワセリンを塗っています」という方はとても多いです。ワセリンは刺激感が少なく、小さいお子さんでも使いやすいですしね。 確かに、ワセリンは皮膚を保護する作用に優れたとても素晴らしい外用剤なのですが、ワセリンにはいわゆる肌の潤いにあたる「保湿成分」は含まれていないことをご存じでしょうか? このことを説明すると、「え、本当?」という反応も多いです。 そこで今回は、保湿剤には大きく分けて2種類あることを解説し
2020.02.28 | コラム 感染症内科医が伝えたい新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査について すべての人への検査や、検査目的の受診を控えたほうがよい理由 ここ最近、連日のようにさまざまなメディアが新型コロナウイルスの検査についての話題を取り上げています。しかし、内容は玉石混交であり、この検査についての誤解が多々見受けられます。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった人の大半は軽症であることから、「感染拡大防止のためには軽症の人を含む全員に検査をすべきではないか」という意見です。 検査は「必要とされる患者さんに限って行われるべき」です。その理由について、本コラムで解説していきたいと思います。 1. 検査の最大の目的は、重症者の発生と死亡数を可能な限り減らすことにある 2月24日に政府専門家会議が「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた
(2022年1月11日更新、参考:COVID-19 Dashboard by CSSE Johns Hopkins, WHO, 厚生労働省, 総務省統計局) *日本の感染者数および死亡数は自治体公表資料集計分(厚生労働省HPより) 日本国内の感染者数、死亡数 2. コロナウイルスとは? 風邪の原因として有名なウイルスです。いくつかの種類があることが分かっており、ほとんどが感染しても軽い風邪で済みます。一方で、過去にSARSとMERSという重篤な感染症を過去に引き起こしたタイプのコロナウイルスが存在します。 2020年1月から世界を席巻している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はこのコロナウイルスが変異したもので、感染力や人体への影響が強いことがわかっています。 詳しくはこちらのコラムを参考にしてください。 3. 想定されている感染経路 ヒトヒト感染の中でも、「飛沫感染」が想定されて
2020.02.18 | コラム 新型コロナウイルスの流行に際し、感染症内科医から伝えたいこと(2020年2月18日更新) 現状でわかっていることのまとめ 連日、中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの報道が加熱しています。新型コロナウイルス感染症の患者数は日々増加し、関連する情報も目まぐるしくアップデートされています。そのため、感染症の専門家であっても情報のキャッチアップに苦労しています。一方で、巷にはデマやフェイクニュース、なかには情報の受取手に対して必要以上に不安や恐怖を煽るようなものもあり、医療者として少々辟易としています。ただ、情報が大量に飛び交い合っている中で"正しい情報”を取捨選択することは非専門家にとっては判断が難しいと感じています。 そこで、今回は感染症内科医として新型コロナウイルスの流行に際し皆さんに知っておいて欲しいことを中心にまとめました。 *2020年2月18日更
MEDLEY > ニュース > 感染症流行の恐怖とどう向き合う?「油断せずおおげさに心配せず、正しい情報を探す」のは結構難しい 2020.01.28 | コラム 感染症流行の恐怖とどう向き合う?「油断せずおおげさに心配せず、正しい情報を探す」のは結構難しい 新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえて ニュースで中国武漢の流行感染症について連日報道されています。この感染症はコロナウイルスという微生物が原因であることが分かっており、肺や気管支などの呼吸器に感染症を起こしているパターンがほとんどです。ニュースでは死亡した人も報告されており、聞けば聞くほどウイルスの猛威に恐怖を覚える人も多いはずです。 また、今はちょうど春節(中華圏の正月)と重なっており、中国から多くの人が出国することから、感染の拡大についても懸念されています。2020年1月27日から中国政府は団体客の出国を禁じましたが、すでに多く
2019.12.10 | コラム 死因「憤死」とは? 歴史物の記載で時折みられる「憤死(ふんし)」について、現代医学の視点で考察します 「三国志呉(ご)の陸遜(りくそん)、主君孫権(そんけん)に詰問され憤死」(西暦245年) 「早良親王(さわらしんのう)、藤原種継(たねつぐ)暗殺事件の罪を疑われ淡路島に流刑となる際に、無実を訴え絶食し憤死」(西暦785年) 「ローマ教皇グレゴリウス7世、カノッサの屈辱後ハインリッヒ4世に攻められサレルノにて憤死」(西暦1085年) 「ローマ教皇ボニファティウス8世、小都市アナーニに滞在中に捕らえられ傷心して1か月後に憤死」(西暦1303年) このように洋の東西を問わず、歴史上の人物が憤死したという記録をよくみかけます。 人気の歴史小説「三国志演義」にはフィクションが多く含まれますが、蜀(しょく)の名軍師、諸葛亮(しょかつりょう)が周瑜(しゅうゆ)、王朗(お
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どちらの目標も、デュピルマブ2週ごと注射のグループのほうが達成した人が多くなりました。 臨床試験で見つかったデュピルマブの副作用には注射部位反応、頭痛、アレルギー性結膜炎などがありました。 アレサガとは? アレサガ®(一般名エメダスチンフマル酸塩)は、抗ヒスタミン薬のテープ剤です。「アレルギー性鼻炎」を効能・効果として承認されました。 同じエメダスチンフマル酸塩を有効成分とするカプセル剤(商品名レミカット®など)がすでに使用可能ですが、アレサガはテープを貼って使う点が違います。 臨床試験では、季節性アレルギー性鼻炎の患者が対象となり、3グループに分けられました。 偽薬を使うグループ エメダスチンフマル酸塩4mgを使うグループ エメダスチンフマル酸塩8mgを使うグループ 1日1回2週間の治療を行い、治療前から比べて鼻症状(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉)の合計スコアの変化で効果を判定しました。鼻症
食べ物と健康について多くの情報が出回っていますが、「誰が言っているのか」を意識したことのある人はいるでしょうか? 研究結果の適切な理解を助けるために、著者の情報をより透明に開示するべきだとする主張を紹介します。 誰が言ったかはなぜ重要なのか スタンフォード大学予防研究センター教授のジョン・イワニディース(ヨアニディス)医師らが、医学誌『JAMA』に寄稿した意見文の中で、食べ物と健康に関わる論文などについて、著者の利益相反の開示をさらに透明にする必要を主張しました。 利益相反とは、同じ人が対立する利害関係の中にいることを指します。たとえば医学研究の研究資金が企業から提供されている場合に、企業に対する利害と社会全体(研究結果を利用する患者、医師、ほかの研究者など)に対する利害が一致しない状況がありえます。 イワニディース氏らは、直接の金銭的な利益相反が注目されていることには意義を認める一方、「
2型糖尿病は生活習慣とも関係しますが、病名だけを見て「自己管理ができていない」と決めつけられると患者は不快に思うかもしれません。アメリカの学会による作業部会が、糖尿病を表現する言葉についての推奨を公表しました。 糖尿病についてどんな言葉で語るか 米国糖尿病教育者協会(AADE)と米国糖尿病学会(ADA)の代表者による作業部会が、糖尿病について語る上で望ましい表現について、医療従事者などに向けた推奨をまとめ、専門誌『Diabetes Care』を通じて公表しました。 この推奨が作られた背景として、糖尿病を持つ患者にとって他人から受ける言葉が苦痛を増す恐れがあること、また研究からも患者と医師がうまくコミュニケーションを取れたほうが健康上に良いと報告されていることが挙げられています。 作業部会は、以下の4原則を基礎としました。 糖尿病は人によって違う要素がたくさんある、複雑で苦しい病気である 歴
カフェインと健康の関係はさまざまな角度から研究され、良い面・悪い面ともに指摘されています。大規模追跡データの解析から、死亡率との関係が検討されました。 カフェインは体に良い?悪い? 以前から、コーヒー消費量と健康の関連が指摘されています。コーヒーを習慣的に飲んでいる人では長期的に心血管疾患による死亡が少ないとした報告などがあります。 本当にコーヒーが病気を防いでいるのか、また因果関係があるとすればどのようなしくみで働くのかなど、確かとは言い切れない部分も残っていますが、何らかのつながりがあるとする意見は多く出されています。 コーヒーはカフェインを多く含んでいます。コーヒーによる作用がカフェインによるものかははっきりしていません。また、カフェインを一度に大量に摂取することで心臓や脳に悪い影響が出ることも考えられ、実際に心停止に至った例なども報告されています。 関連記事:カフェイン錠剤40gで
ヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチン開発に関わった研究者2人が、国際的な医学賞に選ばれました。有名医学誌は相次いで関連記事を掲載しています。 HPVワクチンの歴史と今後 アメリカ国立がん研究所に所属する研究者のダグラス・ルイとジョン・シラーが、2017年のラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞に選ばれました。HPVワクチンの開発を可能にした技術的進歩が理由とされています。両氏は受賞にあたって自ら医学誌『JAMA』に寄稿し、背景などを説明しています。 HPVの感染を防ぐワクチンの登場 HPVの感染は子宮頸がんにつながるとされ、子宮頸がん予防の目的でHPVに対するワクチンが使われています。 HPVワクチンの実現を目指す動きは、ルイ、シラー両氏が関わったいくつかの研究によって1990年代に大きく進歩しました。 ワクチンが実現し、人間で効果を試した試験では、HPV16型を標的としたワクチンによ
「脳を鍛える」と称する製品は多く出回っていますが、認知症予防などにつながるかは不明な点が多く残っています。コンピュータを使う訓練の方法による違いが検討されました。 WiiとCoTrasはどっちが効くか? 韓国のヨンセ大学校の研究者らが、認知機能を狙ったコンピュータ訓練と、特定の機能を狙わないコンピュータ訓練を比較する研究を行い、結果を専門誌『Clinical Rehabilitation』に報告しました。 この研究は軽度認知障害のある78人を対象としています。対象者はランダムに2グループに分けられました。 CoTrasで訓練するグループ 任天堂のWiiで訓練するグループ CoTrasは韓国のネットブルー社による製品で、ゲームを通じて認知機能向上などを図るものです。CoTrasのグループは認知機能を狙った訓練を行い、Wiiのグループは特化しない訓練を行いました。訓練はどちらも1回30分、週に
体によさそうな食べ物を買ったことはありますか?健康増進法は食品について誇大表示の禁止などを定めています。消費者庁がインターネットでの表示を監視した結果を発表しました。 インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示について 2017年4月から6月に消費者庁が行ったインターネットの調査で、104事業者による125商品について、健康増進法に違反するおそれのある表示があり改善を要請したことが、7月28日に発表されました。 この監視は以前から引き続き行われていたもので、結果は数か月ごとに公表されています。 直前3か月の1月から3月には66事業者89商品について改善が要請され、うち65事業者88商品に改善が確認されました。改善が見られなかった事業者・商品については「個別に調査を実施」と報告されています。 今回対象となった125商品について、表示されていたことの例として以下が挙げられています。 生活
耐性菌の少ないきれいな未来のために ウイルス感染症の治療に抗菌薬は不要です 結核や肺炎など、細菌感染症治療の切り札に抗菌薬(抗生物質)があります。一方で風邪(急性上気道炎)や水ぼうそう(水痘)といったウイルス感染症に対して抗菌薬は全く効果がありません。実は、このような必要のない抗菌薬の使用や適切でない投与量・投与期間といった抗菌薬の不適切使用が昨今の問題となっています。 不適切な抗菌薬使用で恐ろしい未来の可能性も 感染症治療の基本は原因となっている細菌(起炎菌)に対して有効な抗菌薬を使うことです。一方で、効果のない抗菌薬を使うことは抗菌薬の効かない細菌(耐性菌)を増やしてしまいます。耐性菌が増えることで本来効き目のある抗菌薬が効かなくなってしまい、治療の難しい細菌感染症が増えることに繋がります。 「2050年問題」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。一部とはいえ今のまま不適切に抗菌薬を
機械学習は人工知能(AI)における技術のひとつです。機械学習を医療に応用する試みは最近も報告されていますが、実際の役に立てるには大きな課題も残されています。イタリアの研究者らが見解を示しました。 機械学習の望ましくない帰結 イタリアのミラノ・ビコッカ大学の研究者らが、医学誌『JAMA』に寄稿した意見文で、機械学習を医療に応用するうえで想定できる意図しない結果についての考えを提示しました。 著者らは、機械学習が正確な予測やパターン認識によって医療に何らかの変化をもたらすという予測に言及しつつ、望ましくない結果を引き起こす可能性の例を挙げています。 臨床医の技術を失わせる 自動化された技術に頼りすぎて医師が本来持っている技術が発揮されない懸念が議論されています。研究報告の例として、マンモグラフィーの画像による診断をコンピュータで補助した研究、心電図による診断がコンピュータによる不正確な注釈で妨
2017.08.10 | ニュース 入院して治ったと思ったら脈拍が40、夜勤医師が偶然発見した原因 髄膜炎後の徐脈の症例報告 from Case reports in medicine 細菌性髄膜炎の治療後に徐脈が現れた70歳男性 ギリシャの研究班が、感染症で入院中に原因不明の徐脈が現れ、ペースメーカー植え込み予定の数日前に原因が偶然発見された70歳男性の例を、専門誌『Case Reports in Medicine』に報告しました。 この男性は、激しい頭痛、発熱、意識の混乱を訴えて入院しました。 診察と検査の結果、細菌性髄膜炎と診断され、抗菌薬(抗生物質)を使った治療で入院3日目に症状は完全になくなりました。 入院4日目に、心拍数が1分あたり40にまで少なくなり、軽いめまいの症状が現れました。心電図では心拍数が少ない以外の点で心臓の電気的活動は正常でした(洞徐脈)。 検査でも原因不明、薬
2017.08.02 | ニュース 自閉症スペクトラム障害の子供に食事療法は効く? 文献の調査から from Pediatrics 自閉症スペクトラム障害に対する食事療法の研究 自閉症スペクトラム障害はアスペルガー症候群などを含みます。広汎性発達障害の一部とされる場合もあります。原因は不明です。 アメリカのヴァンダービルト大学の研究班が、自閉症スペクトラム障害の治療としての食事または栄養補充としてこれまでに研究されている内容を調査し、小児科専門誌『Pediatrics』に報告しました。 効果を十分に示したものはない 調査により、採用基準を満たした19件の研究が見つかりました。そのうちバイアス(データが偏ること)が入っている恐れが小さいと見られたものは4件だけでした。効果について次の結果が得られました。 オメガ3脂肪酸のサプリメント:問題行動に変化なし、わずかな害あり(低い質の証拠) 酵素(
C型肝炎ウイルスに対する治療薬は最近も開発され、ウイルスを排除する高い効果を示しています。しかし最近の研究報告で、死亡を防ぐ効果は未確認としたものがあります。反論の形でほかの研究者からの意見が出されました。 直接作用型抗ウイルス薬は死亡を防ぐか? ワシントン大学のステファン・ウィクター氏、ジョン・スコット氏が、医学誌『Lancet』に寄稿したコメントで、C型肝炎治療薬の効果についての主張を述べました。 このコメントは、直接作用型抗ウイルス薬と呼ばれる種類の治療薬を話題にしています。 直接作用型抗ウイルス薬はC型肝炎を治療します。最近も新しい薬剤が開発され、広く使われるようになっています。例として次の薬剤があります。 テラプレビル(商品名:テラビック) シメプレビル(商品名:ソブリアード) ソホスブビル(商品名:ソバルディ) レジパスビル・ソホスブビル合剤(商品名:ハーボニー配合錠) オムビ
早期前立腺がんは進行が非常に遅いため、余命を縮めないと判断して経過観察される場合があります。アメリカで手術と経過観察を比較した研究から、最長19.5年追跡しても死亡率に差がなかったことが報告されました。 早期前立腺がんの手術と経過観察を比較 アメリカの研究班が、早期前立腺がんを診断された男性を対象として、手術した場合と経過観察した場合を最長19.5年追跡して比較した研究の結果を『The New England Journal of Medicine』に報告しました。 この研究は以前にも、対象者の半数が10年追跡された時点で死亡率に差がなかったことを報告しています。今回の報告はさらに長期間の結果を示したものです。 対象者は75歳以下で余命が10年以上と見込まれた人から選ばれ、参加時点で平均67歳でした。対象者731人がランダムに2グループに分けられ、前立腺全摘除術を行うグループ、経過観察する
2017.07.08 | ニュース なぜアメリカの医師はワクチンを打ちたくない親を説得できないのか 敬意あるコミュニケーションのために from JAMA 子供にワクチンを打たせない親が先進国で増加 セントルイス・ワシントン大学のメアリ・ポリティ博士が、医学誌『JAMA』に寄稿した意見文で、子供にワクチンを打たせることについて医師が親に対して取るべき態度を提案しました。解説をまじえつつ紹介します。 最近の先進国では、有効なワクチンがあるにもかかわらず防ぎきれていない病気が問題視されています。 1998年に、イギリスの医師(当時)アンドリュー・ウェイクフィールドらによる論文が、MMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜの混合ワクチン)によって子供の自閉症が引き起こされるのではないかと主張しました。この論文には重大な不正があったことがのちに判明し、ウェイクフィールドは医師の資格を剥奪されました。
認知症を予防しようと多くの研究が重ねられてきましたが、効果は出ているのでしょうか。アメリカの政府機関が、これまでの研究から報告されている結果をまとめました。 軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症を予防する方法の研究状況 アメリカの政府機関である医療品質研究調査機構(AHRQ)が、認知症を予防する方法について、文献の調査によってこれまでの研究から報告されている内容をまとめました。 調査対象は次の両方を含んでいます。 認知機能が正常な人の軽度認知障害の発症またはアルツハイマー型認知症の発症を防ぐか遅らせる方法の研究 軽度認知障害がある人のアルツハイマー型認知症の発症を防ぐか遅らせる方法の研究 軽度認知障害は正常な認知機能から認知症に至る途中の段階と考えられています。 訓練すると訓練したことに効果がある 採用基準を満たす263件の研究が見つかりました。 以下の結果が得られました。 2年間のト
症状がないのに検査で甲状腺がんを探すと、治療が必要ないものまで多く見つかってしまうという意見があります。検査の効果を見積もるため、研究報告の調査が行われました。 症状のない成人に対する甲状腺がんスクリーニングの利益と害 米国予防医学作業部会(USPSTF)が甲状腺がんの検査を勧められるかの判断のために参照した研究報告を紹介します。この報告は医学誌『JAMA』に掲載されました。 USPSTFとは? USPSTFは、医学研究から得られている証拠をもとに、予防医学として何が勧められるかを選ぶことを目的とした専門家の団体です。 USPSTFは大きな影響力を持っています。たとえば2012年にUSPSTFが前立腺がんの血液検査を行わないよう勧めたことで、アメリカでは50歳以上の男性に対して行われる検査が減りました。対して日本泌尿器科学会が「USPSTFの勧告(案)を今のわが国に適用することは適切でない
グルテンフリー食はまれな病気の治療に使われますが、アメリカでは関係ない人まで巻き込まれていることが問題視されています。グルテンと病気の関係を実際のデータに基づいて解析した結果が報告されました。 グルテンと冠動脈疾患の関連 アメリカの研究班が、統計データの解析からグルテンと冠動脈疾患の関連を計算し、結果を専門誌『BMJ』に報告しました。 アメリカのグルテンフリー事情 アメリカでは、「グルテンは体に悪い」「グルテンを減らすと健康になる」という思い込みから厳しいグルテン制限をする人が増え、医学的問題とみなされています。 関連記事:勘違いしてるアメリカ人激増中!グルテンフリー食は何に効く? グルテンは小麦など多くの食品に含まれています。セリアック病の治療ではグルテンを含む食品を一切摂らない厳しい食事制限(グルテンフリー食)も行われますが、非常に生活上の負担が大きい治療です。セリアック病がない人に理
2017.05.01 | ニュース 最新の薬はいつ使う?関節リウマチの治療法、4つの原則と12の判断 EULARガイドラインが更新 from Annals of the rheumatic diseases 関節リウマチの治療薬とは? ここではEULARによる更新された推奨を紹介します。推奨の中では以下の薬の名前が挙がっています。 グルココルチコイド(ステロイド薬) DMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬) csDMARDs(従来型合成DMARDs) サラゾスルファピリジン(スルファサラジン、商品名アザルフィジンなど) メトトレキサート(商品名リウマトレックスなど) レフルノミド(商品名アラバ) ヒドロキシクロロキン(※日本では関節リウマチに対して未承認) bDMARDs(生物学的DMARDs) TNFα阻害薬 インフリキシマブ(商品名レミケードなど) アダリムマブ(商品名ヒュミラ) エタネ
重病患者の余命を医師が察知することは、終末期の苦痛を緩和(かんわ)するために重要になります。余命を医師の主観で予想したときに予想通りになる割合について、これまでの研究の調査が行われました。 サプライズクエスチョンは患者の死亡を言い当てるか? カナダのトロント大学の研究班が、サプライズクエスチョンの予測能力を調べ、結果を医学誌『CMAJ』に報告しました。 サプライズクエスチョンとは、治療にあたる医師が自分自身に「この患者が1年後に亡くなったら私は驚くだろうか?」と問いかけることで、患者に対する総合的な印象を言葉にし、緩和ケアに重点を置くべきタイミングを計る方法です。 サプライズクエスチョンは患者の何かを計測しているわけではありません。医師の主観を言い換えたものです。しかし、医師は多くの経験から、患者が死を迎えるまでの様子を詳しく想像できます。検査値などに表れる以上に、患者の見た目などの小さな
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)は、日本では「積極的勧奨の差し控え」とされたままですが、世界各国で広く使われ、研究も進んでいます。妊娠中の注射が子供に影響していないか、統計に基づく検討結果が報告されました。 妊娠中の4価HPVワクチンによる影響の研究 スウェーデンとデンマークの研究班が、デンマークの統計をもとにHPVワクチンの影響について調べ、結果を医学誌『New England Journal of Medicine』に報告しました。 現在使われているHPVワクチンにはいくつかの種類があります。ここでは4価ワクチンというものが調査対象とされました。4価というのは4種類のウイルスに対応するという意味です。HPVワクチンはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を防ぎます。HPVには数多くの種類があり、ごく一部が子宮頸がんを引き起こします。4価ワクチンはHPVのうち子宮頸がんと関連が強い4
大腸内視鏡は大腸がんやポリープを発見し、大腸がんによる死亡を防ぐ効果が知られています。1回だけの検査による効果を長期間追跡していた研究から、検査後17年ほどでの結果が報告されました。 1回のS状結腸鏡による大腸がん発生率・死亡率への効果 1回だけの大腸内視鏡検査による長期的な効果が、医学誌『Lancet』に報告されました。 この研究は、1994年から始まり、検査後に大腸がんの発生率と大腸がんによる死亡率が下がるかどうかを長期間追跡したものです。 イギリスで55歳から64歳の男女計170,034人が参加しました。対象者はランダムに2グループに分けられ、S状結腸鏡で1回だけ検査するグループ、検査をしないグループとされました。 S状結腸鏡とは、大腸内視鏡の一種で、大腸のうち肛門に近い部分だけを観察するものです。ここでは大腸内視鏡と言えばS状結腸鏡を指すことにします。 発生26%減、死亡30%減
プレガバリン(商品名リリカ®)は神経に原因がある痛みに効果がある薬です。坐骨神経痛でも使用可能です。ところが、実際に8週間治療した結果、有効成分のない偽薬と差がなかったことが報告されました。 坐骨神経痛に対するプレガバリン8週間の効果 オーストラリアの研究班が、坐骨神経痛の患者に対してプレガバリンを使った治療の効果を調べ、結果を医学誌『New England Journal of Medicine』に報告しました。 この研究では、治療法として、プレガバリン1日あたり150mgから開始し、必要に応じて1日600mgにまで増やす治療を8週間続けることを試しています。この用量は日本でも保険診療の中で可能な範囲ですが、より少ない用量から開始することのほうが一般的です。特に高齢者では減量が検討されます。 坐骨神経痛の患者209人が対象となりました。対象者はランダムに2グループに分けられ、プレガバリン
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