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衆院選
sugirio.exblog.jp
明日から2泊3日でラボリトリートだ。今年はgrant writing強化合宿で、小グループにわかれてせっせとグラントを書いてGDに献上する。 Aimについてこれまでに得たtips あくまでもヒト、マウス、サカナのステム分野でのこと。他分野だともっと冒険できるのかもしれない。 ー絶対に冒険しない。アイデアの良さというより、リサーチプログラムのアルゴリズムの確からしさを競う感じ。こうすれば目標達成できるという作戦計画書。 ースクリーニングは禁忌。運に任せるしかないアルゴリズムクラッシャー。GDみたいな大御所ならともかく、若手PIはスクリーニングダメ絶対。 ーチャートに書いて一直線のアルゴリズムができるか。もし2重になったり複雑であれば、シンプルにせよ。複雑すぎて落とされることは数あれど、シンプルすぎて批判されることはない。 ーpotential pitfallsは続くサブaimで解決する。穴が
古巣の研究所のラボの後輩とスカイプ。すごい話を聞いた。 近所のラボの院生がNをはじめ複数論文を出した(すたーをーずでは院生がCNSを出すのは本当にカンタン!ポス毒よりはるかにラク)。いざ卒業という時に、PIからストップがかかった。PIいはく「おれはお前に論文をプレゼントした。お前の力でも何でもない」ここまでは納得だけど、それからがすごい。「あと3本論文を出すまでは卒業させない。なぜならお前しか使える人材がいないから」。ちょっと意味不明。院生に実力ないと言っておきながら、他にまともなのがいないとか。件の院生はサイエンスを辞める。こうなるとボスの推薦状がクソになるので、ポスドク先探しすら厳しい。アメリカは推薦状天国(地獄?)なので。しかも悪い意味で根回しすることで知られてるPIだし。彼も数年前は「おれはボスを尊敬する」とか言ってたのに。 ブラックラボとして有名なとこなので、こういうエピソードに
GDたちがパネラーのパネルディスカッション。 リクルートコミッティー側からのポイントをいくつか。 ー推薦状。推薦者の知名度は大事。そしてthesis mentorの推薦状は推薦者の知名度に関係なく必須(なければ致命的な減点)。リクルート側はcandidateがどれだけ論文にcontributeしたかを読み取る。コラボの多い論文の場合、candidateが「アイデアの発起人になったか」、「candidateが各人のワークのamalgamationをしっかりしたか」、「candidate本人はどんな実験をしたか」を見る。 そういやGDが推薦状を読んでるときはひたすら熟読しながら、何か書き込みまくってる。あれでいろんな情報をスキャンしてるんだろう。 ―チョークトーク。CNS連発、セミナーも数百回の場数のおかげで完璧、そんなcandidateがチョークトークで崖から落ちるてのはよくある光景らしい。
アメリカにいて8年くらいになるけど、基本的に自分の言語はJanglishだ。特に発音。仕事で困ることは少ない。これは、多国籍な研究環境だと人々は汚い発音にも慣れてるからだろう。 一番困るのは、バーやファストフードとか。アジア人の汚い発音を聞いたこともない高貴な店員さんに当たると、あっという間にお陀仏してしまう。これはラジオの波長があってないレベルで通じなく、何度言い直しても無理。滅多にいないけど、自分の声の性質、発音、相手の経験、認知機能の絶妙な組み合わせで、「自分の英語が絶対通じないネイティブスピーカー」がたまーに存在する。今まで4人くらい見た。2年に1人のペースか。 カンザス時代に住んでたアパートの近所にサブウェイがあったけど、店員の白人のおっちゃんとは一切言語が通じなかった。ハローすら通じない。おっちゃんはおそらくネイティブスピーカー。毎回身振り手振りでやった。おっちゃんもぼくは耳が
Nature関連誌ではじまった査読システム。従来はレビュアーだけが匿名だった。なのでレビュアーは誰の論文かわかったうえで査読する。 新しい制度では論文の著者や所属欄もエディターの手によって全部消された上でレビュアーに送られて来る。この功罪はこれから出てくるだろう。近所では既に見られてる。ヤリ逃げ的なマニュスクリプトだ。表現しにくいけど。「明らかに怪しいデータ」や「別の査読中の論文パクリました」な論文がdouble-blindでやってきてる。特にすごく競争の激しいエリアでは他人の論文を査読の段階でブロックして、それを骨組みにデータを盛った(ホントに実験したデータかは定かでない)匿名原稿が飛び交う、という仁義なき戦いが加速する。 まともなPIなら評判の悪化を恐れるけど、ちょっとネジのとんじゃったイケイケ系のがやってるような。 名前ばれしてないからヘンな論文でも一発投稿してみよう!受かればもうけ
ラボ選びの一助になるかもしれない。 PIにはいろんなタイプがあるけど、一番なってはいけないのは「去ったメンバーをdisる」PIだと思う。 どんなに外の大御所と喧嘩してもいいし、他のラボをdisりまくってもいいけど、自分の身内を潰すのはNGだし、そんなラボに行ってはいけない。論文数やプロジェクトのおもしろさなんてどうでもよくなるブラックラボは残念ながら実在する。業績が出てもそれらが灰燼に帰すリスクの高いラボだ。ラボに居る間はラボ内競争に勝てても、自分がいなくなってしまうと対策のしようもない。 今まで見聞きした例では まだメンバーがラボにいる間に潰す。 ー推薦状を絶対に書かないのはまだマシで、通はわざと酷く書く。 ー就活先に電話してキャリアを潰す。 これらはPIにとって将来のライバル(今の部下)を未然に潰すストラテジーとして、ボストンでもカンザスでも見聞きした。 去った後に潰す。 ー去ったメン
昨日の続き。 尊敬されるサイエンティストというのは新規かつハイインパクトな発見をするかにかかってきたけど、それとは違うアングルでの評価のされ方が巻き起こりつつあるのかもしれない。業界の間違いを正すような仕事も、新規性という意味では何もないけど、十分尊敬に値する。 ふつうはサイエンスの進展にともなって間違い論文は消えていくけど、その自浄スピードがちょっと追いついてない業界もあるようだ。とくに新規性を狙いすぎて言ったもの勝ちになってるような分野では。そういう場合、努めてkeeping record straightな態度やeffortが求められる。それも一つのラボにおさまらない、複数のラボのeffortで。 この業界でも有名なある再現性の乏しいPIが良くいう格言に「世界で2番目に高い山の名前など誰も知らない。一番でなければ意味がない」とあるそうだが、そういう超競争スピリットがこんな現状を生み出
今日はポスドクからPIへのステップについてワークショップ。 このあたりで最近PIポジションのオファーを獲得したばかりの新PI4人を囲んでパネルディスカッション。 彼ののうちわけは、K99をもってたりなかったり、CNS論文をもってたりなかったり、ガチ公募でいったりピンポイントで一本釣り?されたり、さまざまだ。人それぞれ、てのは事実だけれど、それだけじゃあ無責任で参考にならないから、共通の大事なファクターを箇条書きに。 1.推薦状。 この国は論文と推薦状がともにmost importantだ。推薦状は中身を確認できるに越したことはない。なぜなら、わざとめちゃ悪い内容を書くPIもいるから。ボストンではけっこうそういう話を聞く。ひょえー。 ちなみに、内訳は Thesis advisor, Postdoc advisor, Tenured professor in collaboration, an
岡田節人(ときんど)著。 医学部から純粋基礎の場所に行って、まず自分は日本の学問の系譜を何も知らないことに気付いた。岡田先生は非常に高名で、日本の発生生物学のパイオニアだ。基礎の方にこんなこと説明するまでもなく、多くの日本の生物学研究者の源流に位置している。医者の世界から来た自分は、全く知らなかった。これは留学先でもよく現地の日本人ポスドク達に驚愕された。なんでそんなこと(人)も知らないの?今でもそんなに系譜に詳しいわけではない。なんせ理学部がこれら系譜にのっとって人の名前を体で覚えるのにたいして、医者は病気と薬の名前を本で覚えることに6年間費やすわけだから。 なので完全にアウトサイダーの自分は、教科書の穴埋め的な知識しかなかった。発生の図で分子の名前は覚えたけど、それがどうやって発見されたかの過程は全く知らなかった。今でもどれくらい理解してるか怪しいところが多い。 この本を手に取った理由
司馬の英雄伝を読んでいつも感じるのが、時流の力強さと恐ろしさだ。時流に真っ向から反対して敗れてしまった土方歳三、乗れずに賊軍として藩とともに滅んでしまった河井継之助、長州藩と滅ぶつもりが期せずして時流に乗り官軍となった大村益次郎、時流に非常に敏感で乗れるまで雌伏していた坂本竜馬。 研究でも時流というのはある。既に枠が決まった分野にいる限り、時流に逆らうことは難しく、非常に危険ともいえる。もちろん反対意見も多いだろう。 この場合、枠が決まった分野とは、学会のセクションで名前がつけられていること。例えば、造血幹細胞ニッシェとか○○の発生とか。完全にオリジナルで時流もくそも関係ないというのは、自分で全く新しい分野を作ったときくらいだろう。これは誰からも理解されないもので、将来はノーベル賞の中でも一握りの宝石、あるいはイグノーベル賞行きだろう。このクラスの発見が無い限り、研究者は大なり小なり時流に
Science誌の記事。 中国の闇ビジネスでは論文のco-firstやco-correspoが売買されているそうだ。インパクトがそこそこある雑誌だと、100万円以上するらしい。CNSだと、どれくらいの額になるのだろう。アカデミックポジションをお金で買えるなら、人々はいくらでも惜しまないというコメントがあった。 Science誌の潜入捜査では、baidu{中国の検索エンジン)に広告している業者と取引できたり、実際にオーサーシップが買い取られた論文が出版された例をつかんだそう。対象は中国語の内輪雑誌が多いけど、英語ベースの国際誌でもはびこっている。 周りの中国人達に聞いたら、それどころか、トップクラスの大学の一部ではCNSの筆頭著者にポケットマネー100万円を賞金に、姉妹紙の場合はその半額くらいを与える報酬制度があるらしい。こちらはもうちょっと健全(?)かもしれないけど、なんとも言えない。
CellやCell Stem Cellのエディターと交渉した経験。 リジェクトされた後、アメリカではボスが雑誌のエディターにごねて苦情の電話入れたり嫌がらせメールを送ることがある。Cellクラスでもラボのパワーによっては著効するという。うちのラボはJBCならそれができるらしい。 "I think this paper is worthwhile to publish in Cell! ガチャッ(電話)"の一言で通した逸話(ノーベル賞受賞者)もあるが、普通はそんなダークサイドな離れ業はできない。なので地道に新データを見せたりロジカルに誘導することになる。 その中で、これは交渉でワークしなかったなあ、という例をひとつ。 新データをpptファイルでエディターに送ったケース。毎回エディターは目も通していなかった。競合先の論文が出た直後にCell Stem Cellのエディターから"エディターがレビ
勇気のいる発言だ。個人的には評価したい。記事の内容は、下手くそが追試したせいで再現できないというのはいかがなものか、というオピニオンだ。 哺乳類個体や3Dの組織培養のように非常にテッキーな実験系は、ちょっとした手技やサンプルのコンディションの違いのせいで再現できなかったりする。ぼくらの卑近な例では、シングルセルの移植やオーガノイド培養形成だろう。実験そのものが失敗したりする。 年季の入ったシングルセル移植者にしかできないことを昨日今日ラボに入ったばかりの若造がまねできるかというと、ノーだろう。 培養細胞はfounderとpassageを繰り返したものでは性質が違うなんてざらだ。この場合は単に実験失敗よりもタチが悪い。記事でも同一のヒト乳腺セルラインがオリジナルのラボからもらうかストックセンターからもらうかで同じアッセイに対する結果が逆になる例を示している。そういえばPC12神経セルラインで
9つのタイプのPI。あなたのPIはどれだろう。この絵は良く描けてるなあ。まるで見てきたようだ。 周りを見ると、Laid-backもDemi-GodもSlave driverもControl freakもいる。うちのボスはScience wonkだろうか。一瞬だけControl freakと働いたこともあるけど、あれはホントに大変だ。。。この絵そのままやん。 PI以下のラボメンバーをタイプ分けしたらどうなるだろうか?InvaderやBrown noserとか。周りにいてヤバいのはこの2つだろう。 追記。頭がいい(クレバー)のがInvader(他人の仕事を奪う)、頭が悪いのがCrasher(他人の仕事を壊す)。まあcrasherさんも限られた労働(9時5時)で自分の仕事の注目度を上げたいから他人の潰すんだって。そこそこクレバーだ。
すごい話だなあ。ぐぐるとかなりニュースが出てくる。件のネイチャーはつい最近取り下げられた。当事者も亡くなってるし(いろいろ他のニュースを見ると、ラボ内で自殺した線が濃厚らしい)、どこまでどんな不正があったかは迷宮入りになってしまった。 亡くなった当事者は学生ーポスドクとずっと同じラボにいたようで、Cell,ネイチャー(取り下げ済)、G&Dと非常にプロダクティブでおそらくボスの最強の腹心だったんじゃないかな。不正を告発した側がクビを切られたことからもそれが伺える。そんな彼の業績も既にラボのウェブから消されている。 追記。日本語でどんなニュースだったか書く。ジョンズホプキンスのあるラボで行われてきたスクリーニング系の統計処理がおかしいと指摘した研究者(同ラボ)が格下げののちに解雇された。それ以後も彼はデータがおかしいと内部告発をし続けてたようだが、ついにそのデータを使った論文がネイチャーに載っ
最近、よくボスと(ぼくの)論文の行く末について議論することが多い。彼にははっきりとした方向性がある。それは、トップジャーナルしか狙わない、というもの。毎年出せるわけないから、3年に1本のペースだ。最近は2年連続出たけど、続く保証はどこにもない。もちろんその間に専門誌に出る論文もあるけど、彼はそういった論文を自分の中で一切カウントに入れてない。 野球でいうと、ホームラン打つことしか考えてなくて、打った後は決して走ろうとしない打者だ。 普通の大学でグラントを続けながらラボを運営する場合、グラントの審査に通るためにも毎年何らかの業績が要るわけで、専門誌に出し続けるというのは非常に大事なことだ。それだけでなく、分野の中で認められるsolidな研究者は専門誌をおろそかにしない、とぼくは思う。 ぼくがいる研究所はNIHグラントがなくても余裕でfundされるので、夢見がちなプロジェクトが多い。当然、あた
予告どおり、プラナリアとマウスの幹細胞のとり方。 そもそもの発端は、ネマトステラという、ヒドラみたいな形したちっさいイソギンチャクを研究してる隣ラボの友人から聞かれた。なあ、わけのわからん生き物のステムってどうやってとるん?ラベル保持能?と。そのときは満足に答えてやれなかった。切って移植したらー。それでは組織幹細胞のプロでありたい自分が満足できない、というわけでプラナリアの友人に聞いて勉強してみた。 これがとり方らしい。放射線に感受性があって、BrdUやpH3の増殖マーカーで染まる細胞をとってくる。ラベル保持能と逆やん。neoblastのこと。この論文ではハエのステムで既に有名なpiwi遺伝子をneoblastのマーカーとして発見してるようだ。図3Bのプラナリア2人がこっちを見つめてるようでかわいい。 ちなみにマウスはトランスジェニックがあるので更にsophisticatedに証明する必要
ラボミやレビューアーから、すごくきれいなデータを要求されてると思うときがある。 でも、きれいなデータって何だ。 移植してグループ内にvariantがほとんどない、とかエラーバーが小さいとか、免染のバックがほとんどない、とか。きれいであるほど、ストーリーに合致するだろうけど、それが真実なんだろうか。vivoの、特にHSC移植でほとんど横一列にドットがピシッと並んでるのを見せられると、ほんまかいなと思ってしまう。強烈な遺伝子のKOならともかく、Wtなら移植の手際なりマーカーの純度なりでかなりvariantが出たりする。例えばLSKCD34-Flk2-造血幹細胞を競合移植するとき、理論的には50%という数値が出る。移植4週間後にぼくなら25プラマイ10%(8週以降ぐんぐん上がって50プラマイ20%に落ち着く。やはりぶれはあるのだ)のところ、後輩が5プラマイ20%ではじめからぶれぶれ、週が経つごと
こないだちょっと話題にしたけど、ぼくはモレキュラークローニングにトラウマがある。 苦手ではない。わりかし得意だ。ラボのメンツが皆討死したインサートをパシッと入れたりできる。 エレガントな制限酵素ストラテジーが思いつくわけでなく、9KくらいあるインサートをEcoRVであっさり入れるのだ。コロニーは3つくらいしか生えないけど、全部インサート入り。そのうち1つは順方向だからOK。 同僚が手こずってた数百bpだけどめちゃくちゃ入れにくい回文配列もブラントで楽に入った。 何かコツがあるのかもしれないが、自分でもはっきりわからない。普通に酵素で切った貼ったしてるだけだ。 日本にいたころ、そしてここに来てから2年間はずっとベクター作ってた。 でも、この1年以上ほとんど自発的にベクター作ってない。おかげで何とか物を作らずに、有りあわせで済むまかない実験ばかりしている。アンチものづくりだ。 原因はいくつもあ
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