J. S. P. Tatlock, 1933, The dragons of Wessex and Wales, Speculum, 8 (2): 223-235のあまり省略してない要約。 年代記などの史料に基づいた分析で、ウェールズのドラゴンと呼ばれているものが実際はイングランド起源だったこと、ドラゴンはたいして重要な民族の象徴などではなかったことなどが論じられています。 中世ヨーロッパにおいてドラゴンは空想上の生き物などではなく、ゾウやラクダと同じくらいには現実的な生き物だった。イングランドの各種年代記にも、ドラゴンが目撃されたことが様々に描かれている。ドラゴンは単に凶暴なだけではなく、思慮深く、守ってくれるものでもあった。だから中世の人々は、ドラゴンに関心をもち、象徴表現に用いたのである。 旗(ensign)に描かれるドラゴンは東方に由来するもので、後175年ごろローマ帝国軍に採用さ