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衆院選
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世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダーギャップ指数(Global Gender Gap Index,GGGI)」は、女性の政治参画の割合や、出生率や健康寿命など異質な指標を加算し、単純に平均を出したものであり、それゆえに、各国の男女平等度を示す指標として適切ではない、というのが前回の記事の主張である。 内閣府男女共同参画局ですら、個別の状況を考察することなく、全体のランキングの上下だけをとりあげ、日本がいかに男女平等後進国かを示すデータとして活用している。だが、そのような指数の利用の仕方は、決して日本の差別状況を改善する方策にはつながらないことだけは確かである。 「ジェンダーギャップ指数」というのが、それぞれの社会の性差別状況を指し示す「適切な指標か」と、統合化された指標の妥当性について疑問附を投げかけたもの。統合的な指数の妥当性に疑問符がつく以上、それによって算出された各国の
「ふぇみん2019年3月15日号より https://www.jca.apc.org/femin/」
本誌(『週刊金曜日』)12月14日号に慶応大学教授井手英策氏の著書『富山は日本のスウェーデン 変革する保守王国』に疑問を提示する「富山県民座談会」が掲載され、私も参加した。その主張に対する井手氏の反論インタビューも同時に載った。ここでは井手氏の主張が孕む問題点を指摘する。 根本的な問題は、井手氏の表明するスタンスとその行動が矛盾していることだ。インタビューで井手氏は「保守層に利用」されることを怖れるといい、自身がリベラルの立場だと打ち出す。だが実際には保守の石井隆一富山県知事から県の基幹政策に関わる審議会のアドバイザーなど重要な委員を複数委嘱され、県主催のシンポジウムで司会をするなど井手氏は知事と緊密な関係にある。同氏は県より紹介された人脈に依存し、県のモデル事例を当該書でポジティブに紹介している。 次に、困窮者への視点が弱いことだ。同氏は生活保護の受給率が全国最下位であることをもって富山
この記事の初出はSYNODOS (2015年10月21日付)でしたが、SYNODOS編集部が掲載されていた記事を著者山口智美の了解なく削除したために、こちらに再掲したものです。なお、BLOGOSではオリジナルSYNODOS記事の転載をまだ(2018年9月7日現在)読むことができます。 追記:いきなり日本時間9月8日朝にシノドス掲載版が復活していました。ただ、編集部からの説明はまだ何もありません。いつまた消えるかわかりませんので、こちらも掲載したままにしておきます。(山口智美) 猪口邦子議員から届いたパッケージ 10月1日、アメリカのモンタナ州に住む私の勤務先大学の住所宛に、自民党の猪口邦子参議院議員からのパッケージが届いた。私は猪口議員と面識はない。封筒には、送付元として猪口議員の名前と肩書きが書かれ、気付としてフジサンケイ・コミュニケーションズ・インターナショナルの住所が記載されていた。
執筆者:山口智美 くらしと教育をつなぐWe 2004年11月号&2005年1月号掲載 昨今の日本で、「ジェンダー・フリー」攻撃派は、ジェンダー・フリーを「性差を完全になくそうとする過激な思想」などと触れ回っている。一方、日本の女性学関係者には、ジェンダ?・フリーはジェンダーの呪縛から自由になることだとし、それはアメリカの教育学者が使い始めた言葉であると主張する人がいる。 だが、私は10年以上、アメリカの大学院でフェミニズムを専門としてきたが、「ジェンダー・フリー」という言葉は聞いたことがなかった。「ジェンダー・フリー」の「フリー」は、日本で一般に理解されているような「–からの自由」という意味より、英語では「?がない」という意味合いが強い。アルコールフリービール、オイルフリーファンデーションなどを例にとるとお分かりいただけるだろう。 アメリカ人のフェミニスト学者数名に、「ジェンダー・フリー」
今年も世界経済フォーラム(WEF)が今年の世界各国のジェンダーギャップ指数ランキングを発表した。 参考:グローバルジェンダーギャップレポートのサイト、今年の世界各国のジェンダーギャップ指数ランキング(PDF) メディアは、「男女平等ランク、日本は世界一三五カ国中、一〇一位」(読売新聞2012年10月25日)「男女平等ランク、日本は一〇一位に転落 上位四位は北欧」(朝日新聞2012年10月25日)など、アイスランド、フィンランド、ノルウェーなど北欧が上位で、日本は低い順位にあることを大きく報じている。 だが、この指数は、かねてより統計の専門家らより疑問が投げかけられており、国立女性教育会館(以下、ヌエック)のニューズレター(PDF)などでも問題点が指摘されている。さらに決して多いとはいえないが、ネット上でも批判が展開されてもいる。例えば、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数/男女平等指
山口智美・能川元一・テッサ・モーリス・スズキ・小山エミ『海を渡る「慰安婦」問題 右派の歴史戦を問う』岩波書店を読んだ。本書は「歴史戦」が、右派運動による、安倍政権、外務官僚まで総抱えの仕掛け戦であり、その結果、「歴史戦」が諸外国から顰蹙を浴び、彼らがいうところの「国益」を損じていることを明らかにしている。 安倍政権が巨大な勢力となった現在、安倍政権のアキレス腱である、日本の植民地主義や戦争責任を否定する歴史修正主義がどのような背景から生まれ、どのような思惑と戦略が込められているかを検証した本書は必読である。安倍政権の弱点を突き止めるためにも本書を多くの人が読むことを薦めたい。 なお、「歴史戦」とは、「中国、韓国、および『朝日新聞』が日本を貶めるために、歴史問題で日本を叩こうと「戦い」を仕掛けている、そして今、その主戦場がアメリカ」である」(p.ⅵ)という言論の「戦い」を指すという。仕掛けた
執筆者 : 斉藤正美 「中ピ連(中絶禁止法に反対し、ピルの全面解禁を要求する女性解放連合)」は、1972年6月に結成。代表は、榎美沙子。代表をおかないことが多いリブグループの中では、代表を明確に定めている数少ないグループであった。 中ピ連の活動を追うと、73年10月、日本家族計画連盟主催「産児制限を考える」討論会に出向き、「ピルを解禁せよ」と主張した。75年4月、中ピ連は、日本産婦人科学会総会(京都)に出向き、ピル解禁勧告を政府に提出するよう要求した。その他、72年10月には、ミスインターナショナルコンテストへの抗議行動も行っている。こうした動きは週刊誌などで大きく取りあげられ、多くの人の目に触れることになる。 74年8月には、「女を泣き寝入りさせない会」発足、暴力を振るう夫、一方的に離婚したがる夫の会社に、ピンクヘルメットの女たちが抗議デモをしかけ、それがテレビや雑誌で大きくとりあげられ
執筆者:山口智美 『海を渡る「慰安婦」問題—右派の「歴史戦」を問う』(岩波書店2016)から「はじめに」の文章を掲載します。PDFで読まれたい方は岩波書店サイトからダウンロードできます。 「はじめにーー 海外展開を始めた日本の歴史修正主義者たち」 「歴史戦」と称して、日本の右派が「慰安婦」問題を中心とした歴史修正主義のメッセージを、海外に向けて発信する動きが活発になっている。 歴史修正主義の動きは今に始まったわけではないが、第二次安倍政権発足後、政府による河野談話作成過程の検証や、2014年の『朝日新聞』の「慰安婦」報道の再検証後のバッシングを経て、右派、および政府の海外に向けた発信や、海外での右派在外日本人、大使館や領事館の動きが加速した。本書は、こうした海外展開の実態を明らかにし、日本の政治・社会の歴史修正主義を問うことを目的とするものである。 「歴史戦」という言葉を広めたのは、現在も
執筆者:山口智美 (新日本婦人の会発行「月刊女性&運動」2016年10月号掲載) 2012年12月に第二次安倍政権が発足して以降、日本の右派や政府が「慰安婦」は性奴隷ではないなどの歴史修正主義のメッセージを海外に向けて発信する動きが活発になっています。特に2014年8月、『朝日新聞』が過去の「慰安婦」報道の一部を取り消したことで、国内では、朝日新聞や元「慰安婦」などへの激烈なバッシングが起きました。そして右派は「国内では慰安婦問題に関しては勝利を収めた」と認識するようになり、「主戦場」は海外、特に国際的な影響力が大きいアメリカであると主張するようになりました。 『産経新聞』は、「慰安婦」問題は単なる歴史認識を巡る見解の相違ではなく「戦い」だと言います。そして、その「敵」は中国、韓国であり、中韓がアメリカを「主戦場」としてしかけた戦いに日本は対抗せねばならないのだと言います。この「仕掛けられ
執筆者: 山口智美 コラムニストの小田嶋隆氏が、「「女性差別広告」への抗議騒動史」という記事をブログにアップした。そもそもの経緯は、小田嶋氏のツイッターでの「従軍いやん婦」発言にさかのぼる。その発言をめぐる一連の経緯はTogetter「小田嶋隆さんの”従軍いやん婦”発言をめぐるやりとり」参照。Twitterでの経緯から、小田嶋氏がこのブログ記事で言及している「フェミニズム運動にかかわっておられると思しき女性」というのは、私のことを指しているかと思われる。 ブログ記事としてアップし、追記まで加えておきながら、「以後、この問題については、議論しません」というのは、どうなのかとは思う。まあ一方で、私の側とすれば、絶版状態の本の文章をブログで批判するのもどうかと思っていたのだが、アップされたことで誰でも検証できる状態になったこともあり、批判をまとめるよい機会を与えていただいたということになる。小田
執筆者: 山口智美 編集復刻版『行動する女たちの会資料集成』第1巻(2015年7月 六花出版刊)所収 <行動する会の歴史とリブ、女性学> 「国際婦人年をきっかけとして行動を起こす女たちの会」(以下「行動する会」と略す)は1975年1月13日に発足した。 市川房枝、田中寿美子両参議院議員が、国際婦人年に民間の女性たちの機運を盛り上げたいということで女性たちに呼びかけ、1974 年の秋に新宿の婦選会館で準備会が開かれた。準備会での議論をへて、行動する会は、団体の連絡会ではなく、「原則として個人参加」の会と定められた。 初期の世話人には両参院議員に加え、評論家や弁護士、教員、主婦などのさまざまな女性たちがいた。そして、1975年9月末、NHKへ27項目からなる「要望書および質問状」を持って小野会長に面会したことや、ハウス食品インスタントラーメンCM「私作る人、僕食べる人」への抗議などが大きく報道
当サイトでは、学問および運動としてのフェミニズムの歴史や理論について、様々な情報や記事、論文などを発信していきます。荻上チキ、斉藤正美、小山エミ、マサキチトセ、山口智美らにより、共同で運営されています。 当サイトに掲載されたコラム、イベント報告、Q&Aなどの文責は、各文章に記載されている執筆者にあります。グローカルフェミニズム研究会の共通見解というわけではありません。 2012年10月に発売された、山口智美・斉藤正美・荻上チキ著『社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動」(勁草書房)の書籍特設ページも設置し、書評や書籍関連のコラムなども多数掲載しています。また、それ以外の様々なフェミニズム関連のエントリを掲載しています。 ご質問・ご要望はこちらからどうぞ。 (当サイトは、サントリー文化財団の2008年度、2009年度「人文科学・社会科学に関する研究助成」プログラムに
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