1888年に麻布に建てられ、1933年に豪徳寺に移築された旧尾崎テオドラ邸。シンプルだが重厚感が漂う、世田谷区の閑静な住宅街にたたずむ青い洋館が、それだ。 2019年、この洋館は老朽化のため取り壊しの危機に瀕していた。この館を救うために立ち上げられたのが、『天才柳沢教授の生活』『不思議な少年』などの作者・山下和美さんら漫画家たちを中心とした「旧尾崎邸保存プロジェクト」(代表:山下和美・笹生那実)だ。 莫大な購入資金、解体時期が迫る中でのプレッシャー......次々起こる苦難に、山下さんたちはSNSを通じてクラウドファンディングを呼びかけ対抗。世田谷区議ら政治家たちも動き、海外メディアでも報道された。両代表がほぼ全財産をつぎ込むこととなったものの、2024年、館はギャラリーとして見事に生まれ変わった。 復活から一年。旧尾崎テオドラ邸の"縁"で生まれた漫画家たちの交流や新たな動きについて山下さ