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洗濯物の乾かし方を巡り欧米間には溝がある。欧州は自然乾燥が主流で洗濯ラックに並べたり屋外に干したりするが、北米の家庭はほとんどが自宅の洗濯乾燥機を利用する。 その差は明確だ。欧州で最も洗濯乾燥機の利用が浸透しているデンマークですら機械のよる乾燥は28%にとどまり、8割と推定される米国を大きく下回る。 こうした欧米間の違いは何十年も続いている。だが、日本を訪れた欧米人は全く別の乾かし方を目にし驚くことが多い。訪日外国人が出会うのは電化製品と家の一部が一体化した独創的な装置「浴室乾燥機」だ。 日本の浴室でこの装置が効果的なのは、その独特な設計にある。浴室とトイレのスペースは通常、非常にコンパクトだ。トイレは独立した個室となっており、浴室には自立型のシャワーと、バスタブのスペースがあるだけだ。 プラスチック素材で覆われた壁とぴったりとしたドアを備えた浴室は、効率的に暖めるのにぴったりの狭さで、一
米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントは巨額のマージンコールに追い詰められていた2021年3月、ウォール街各社の取引口座から余剰資金を引き出し始めた。同社は当時、ゴールドマン・サックス・グループに約4億7000万ドル(約740億円)を預けていた。 しかしアルケゴスのスタッフは資金を引き出すのではなく、誤ってゴールドマンに送金してしまった。ゴールドマンは直ちには返金に応じなかった。資金確保に奔走していたアルケゴスは、このミスで10億ドル近い不足に陥り、経営破綻に至った。 このエピソードは最終的に取引相手に100億ドルの損害を与えたアルケゴスの創業者、ビル・フアン被告の公判で明らかになった。同被告は証券詐欺や価格操作などの容疑で起訴されている。 アルケゴスのリスク管理責任者だったスコット・ベッカー氏は、検察側の証人として証言台に立ち、フアン被告の弁護士から反対尋問を受けた。 ベッカー氏
イエレン長官、介入は「まれであるべきだ」と強調-事前の伝達も必要 Viktoria Dendrinou、Craig Stirling イエレン米財務長官は、為替介入はめったに使用されない手段であるべきで、介入に踏み切る際には十分な警告が発せられる必要があるとの考えをあらためて述べた。 主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためイタリアのストレーザを訪れたイエレン氏は、日本などはドル高にどう対応できるかという質問に対し「介入はまれであるべきで、実施には事前の伝達が適切だと考える。そして介入するのであれば、主に為替市場のボラティリティーへの対応であるべきだ」と答えた。「介入は決して日常的に用いられるような手段ではない」と続けた。 今回のG7財務相会合で為替レートは特に懸念材料ではないようだ。しかし米連邦公開市場委員会(FOMC)が当初想定より長く高金利を維持する可能性が高まってい
日本銀行が23日に実施した定例の国債買い入れで、残存期間1年超3年以下について応札額が予定額に届かない「札割れ」となった。札割れは2013年の異次元緩和導入以降で初めて。 日銀オペ結果によると、残存期間1年超3年以下では予定額3750億円に対し応札額は3564億円となり、全額を落札した。一方、3年超5年以下は予定額4250億円に対して9844億円、5年超10年以下は4250億円に対して1兆31億円の応札があった。 パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は1年超3年以下の札割れについて、「不安定化して利回り上昇が大きい長いゾーンを売り、短いゾーンへの需要が強まったのではないか」と指摘。「1年超3年以下はもっと少なく買い入れても良いということが示されたので、次回オペでは減額されるのではないか」との見方を示した。 日銀は3月の利上げ実施後も月6兆円程度の国債買い入れを継続している
1兆2000億円の資本増強計画を明らかにした農林中央金庫。15年前にも傘下の金融機関から1兆9000億円を調達していた。引き金となったのはともに巨額の損失計上。原因となった運用商品は異なるものの、どちらも「逃げ遅れ」が原因の一つという共通点がある。 奥和登理事長は22日の会見で、資本増強は資産ポートフォリオ見直しのためと説明し、農業協同組合(JA)などの出資者と協議していることを明らかにした。低収益の外国債券を中心に売却して資産を入れ替える。債券売却に伴う損失などで今期の純損益は5000億円超の赤字に陥るという。 決算資料によると、農林中金の2023年度の有価証券評価損は1兆7698億円。内訳は債券で2兆1923億円、クレジット等で1644億円と、5869億円の株式含み益を軽く吹き飛ばす計算だ。
ロンドンに在勤する米銀シティグループのあるトレーダーにとって、2022年5月2日の朝は状況が悪化の一途をたどった。 英国は祝日で、市場は静かな1日となるはずだった。午前9時少し前、同社の「デルタ・ワン」トレーディングデスクに所属するそのトレーダーは、MSCI世界株価指数へのエクスポージャーをヘッジする取引を組み始めた。 通常このような取引に使われるツールが利用できなかったため、トレーダーは手動で銘柄のバスケットを構築しなければならなかった。これが問題の発端となった。 シティグループのシステムでは、取引する金額を入力するか、ユニット数を入力するかを選択できる。トレーダーは5800万ドル(約90億7800万円)相当の株式バスケットを作成するつもりだったが、誤ってその5800万を数量の欄に入力。13カ国の349銘柄を含む4440億ドル相当という巨大なバスケットを作成してしまった。
A Nvidia Corp. artificial intelligence supercomputing graphics processing unit. Photographer: I-Hwa Cheng/Bloomberg 人工知能(AI)ブームの中心にある米半導体メーカー、エヌビディアの株価が23日の米株式市場時間外取引で急伸。市場予想を上回る強気な売上高見通しを示し、AIコンピューティング投資が引き続き堅調なことを示唆した。 発表資料によると、5-7月(第2四半期)の売上高は280億ドル(約4兆3900億円)前後になる見通し。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均は268億ドルだった。2-4月(第1四半期)の業績も、データセンター部門の成長に後押しされ、予想を上回った。 エヌビディアの株価は22日の通常取引終了時点で、年初来で92%上昇した水準にあっただけに、決算発表で示
米大陸を高速鉄道が走る。関係者が一度は挫折した長年の夢に、ようやくレールが敷かれ始めた。 フロリダ州オーランドとマイアミを結ぶ「高速」鉄道システムを推進する民間企業ブライトラインは、ラスベガスと南カリフォルニアを時速200マイル(322キロメートル)で結ぶ本物の高速鉄道プロジェクトで4月に着工した。いずれはサンフランシスコとロサンゼルスを結ぶことを視野に、まずは2030年代初頭に加州中央部のセントラルバレーに最初の区間をオープンすることを目指している。これとは別にアムトラック(全米鉄道旅客公社)は、ボストン・ワシントン間の所要時間を1時間短縮する一連の改良を予定している。 革命前夜 アムトラックは最近、テキサス州のダラスとヒューストンを高速鉄道で結ぶ長期計画を復活させた。
1万ドルの中国格安EVが欧州上陸へ、大手自動車メーカーは戦々恐々 Albertina Torsoli、Anthony Palazzo 中国の低価格の電気自動車(EV)は既に欧州に進出しており、域内最大の産業の一つに打撃を与えている。昨年テスラを抜いて世界首位のEVメーカーとなった比亜迪(BYD)は、この脅威をさらに強めようとしている。 BYDは先月、1万ドル(約156万円)弱のハッチバック「シーガル(海鴎)」を来年欧州に投入する計画を発表し、クルーズコントロールやワイヤレス電話充電など、通常はより高価格の自動車に搭載される機能を提供する方針を明らかにした。BYDの幹部は、関税や欧州規格に適合させるための変更を加えても、シーガルを2万ユーロ(約340万円)未満で販売すると約束している。 これは、ステランティスやルノーなどがエネルギー転換の橋渡し役として期待している小型EVよりも、大幅に低い価
米アマゾン・ドット・コムは音声アシスタント「アレクサ」の人工知能(AI)を搭載したバージョンを年内に導入する際、利用者に月額料金を請求する計画だと、米経済専門局CNBCが報じた。 アレクサのサブスクリプション(定額課金)はアップグレードの費用に充てられると、CNBCは事情に詳しい複数の関係者の話として伝えた。アマゾンはまだ価格を決めていないという。 アマゾンはかねて、アレクサをより会話的なものにするため、生成AIを利用する計画を発表しており、これにより、ユーザーと人間のような会話ができるオープンAIやグーグルのチャットボットに対する競争力を高めることが可能になる。 約10年前にリリースされたアレクサは、雑学知識や音楽再生にたけているが、より複雑な用途で使用するユーザーからは不満の声が上がっている。
Pedestrians on Wall Street near the New York Stock Exchange in New York. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg ニューヨーク連銀で15年間、ソブリン債危機の歴史を分析してきたイダンナ・アッピオ氏は、一つの結論に達した。米国債は保有するにはリスクが高過ぎるというものだ。同氏は現在、1380億ドル(約21兆5000億円)の資産を運用するファースト・イーグル・インベストメンツでファンドマネジャーを務める。 アッピオ氏が下した結論の背景にはインフレの加速、政府が負担する医療費の増加、財政赤字の拡大がある。世界が急速に高齢化しているという事実に合わせてポートフォリオを準備する時期が到来している。 同氏は株式とクレジットの保有バランスを取るため、世界で最も安全な資産とされる米国債ではなく、金の
米シーフードレストランチェーンのレッドロブスターを運営するレッドロブスター・マネジメントの経営破綻を巡り、その背景にサプライヤーで株主のタイ・ユニオン・グループによるエビの仕入れ強要があったとの疑惑が、破産裁判所に提出された陳述書で表面化した。 レッドロブスターの前経営陣はエビの食べ放題メニューを拡充し、タイ・ユニオンから大量の供給を受けるように仕向けていた可能性がある。 これに対してタイ・ユニオンは、レッドロブスターのジョナサン・ティバス最高経営責任者(CEO)の宣誓陳述書の内容に異議を唱えた。陳述書には、タイ・ユニオンがレッドロブスターの「エビの仕入れに過大な影響力を行使した 」という主張が含まれていた。 21日にフロリダ州オーランドで開かれた破産裁判所の審問で公表された文書によると、タイ・ユニオンは自社とレッドロブスターとの関係に関するすべての主張に異議を唱えている。 2023年5月
11月の米大統領選が近づくにつれ、トランプ前大統領が返り咲きを果たした場合、2期目を終えても退任を拒否するとの前例のない懸念が浮動層の間で浮上している。 デービッド・バインダー・リサーチのバイスプレジデント、セイジ・カーペンター氏は4月上旬、2020年の選挙でバイデン大統領に投票したものの幻滅し、別の候補者に票を投じることを検討している有権者を対象に行ったフォーカスグループ調査で、こうした懸念に気づいた。激戦州のラテン系米国人の男性やアジア・太平洋諸島系米国人の女性と話していると、「真っ先にトランプ氏が権力を手放さないとしたらどうなるかとの議論が始まった」という。 カーペンター氏は民主党向けに10年間、フォーカスグループ調査を行ってきたが、過去の選挙戦でこのような懸念を耳にしたことはなかった。それでも「懸念は現実のものだ」と感じている。 共和党のストラテジストも同様の経験をしている。ロング
AIと人知は別物、人のように扱うべきでない-マイクロソフトCEO Dina Bass、Emily Chang 米オープンAIが合成音声で笑ったり、歌ったり、話したりすることができるAI(人工知能)アシスタントを発表した1週間後、同社に最も近いパートナーであるマイクロソフトは人間とAIツールの関わり方について、微妙に異なる見解を示した。 マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は20日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、AIの機能を表現するのに通常、人間にしか用いない言葉が使われていることについて、「私はAIの擬人化が好きではない」と発言。「どちらかと言えばAIは道具だと考えている」と語った。 ナデラ氏のコメントの背後には、AI技術が進歩し、より人間に近い反応をするようになった今、業界で沸き起こっている、AIサービスをどこまで人間化するかという議論がある。先週、グ
トランプ前米大統領のソーシャルメディアに、今年の大統領選での自身の勝利を想定した動画が投稿された。この動画では、トランプ氏が勝利した場合に流れる可能性のあるニュースの見出しの一つとして「統一帝国(unified reich)」という表現が用いられており、ホワイトハウスは「危険かつ侮辱的だ」として激しく非難した。 ホワイトハウスのベイツ報道官は21日の声明で、「アドルフ・ヒトラー率いるドイツのナチス政権に関連したコンテンツを広めることは、それが誰であれ、忌まわしく、強い不快感を引き起こす恥ずべき行為だ」と言明した。 トランプ氏は20日、トゥルース・ソーシャルに動画を投稿。その後、広く批判の声が上がり21日に投稿は削除されたが、それまで24時間近く閲覧可能な状態だった。
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は、金利水準が中期的にどこに向かうのかまったく不透明だと指摘し、コロナ禍前の水準への低下もしくは高止まりのどちらもあり得るとの見方を示した。 クルーグマン氏は21日、ブルームバーグテレビジョンに対し、金利がコロナ禍前の水準を今後も上回るかどうかについて、「金利に関して私はひどく混乱している」と語り、「その答えを確実に知っていると主張する人は妄想じみている」と続けた。 米10年債利回りは現在、4.4%前後。コロナ禍直前は2%を下回っていた。 クルーグマン氏はコロナ禍前と比較して多くの力学が「様相を変えた」可能性があると指摘。多くの製造業への投資を誘発しているバイデン政権の産業政策のほか、移民の大幅な増加を挙げた。 人工知能(AI)を含む新技術のおかげで、企業が設備投資を増やす可能性があるとの見方も示した。 それでも「実際に2019年がまだ基準とな
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は21日、物価データの軟化が今後3-5カ月間続けば、金融当局は年末の利下げ実施も検討できるだろうと述べた。 同理事は米経済専門局CNBCとのインタビューで、「データが今後3-5カ月間にわたり軟化し続けた場合は、年末の実施さえも考えられる」と発言。「正しい方向に向かうデータが十分得られたなら、われわれは年内ないし来年初めの利下げを考えることができる」と語った。 ウォラー理事はこの日、ピーターソン国際経済研究所で講演し、利下げを開始するには良好なインフレ数値を「あと数カ月」確認する必要があると述べていた。
オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングと台湾積体電路製造(TSMC)には、中国が台湾に侵攻した場合に世界で最も高度な半導体製造装置を停止させる手段がある。事情に詳しい関係者が明らかにした。 米政府の当局者はオランダ、台湾両政府に対し、世界の先端半導体の大半を生産している台湾に対する中国の圧力が侵攻にエスカレートした場合にどうなるかについて、内々に懸念を表明している。関係者2人が匿名を条件に語った。 オランダ政府がこの脅威についてASMLと協議した際、同社は製造装置を遠隔操作で無力化することができると、当局側に説明したと別の2人の関係者が述べた。関係者によると、オランダはよりきめ細かいリスク評価をするため、想定される侵略についてシミュレーションを行った。
米国で証券取引の決済期間を短縮し、決済日を約定日(トレードデート)の翌日とする「T+1」が5月28日から始まる。メモリアルデー(27日)の連休明けに米市場が再開する際、全てが通常通りに見えても、取引終了から数日後にかけ亀裂が表面化すると予想される。 米国証券の取引プロセスがスピードアップし、あらゆる取引完了までに許される時間が従来の半分の1日になることで、フェイル(証券決済未了)やオペレーションのミス、追加コストも急増すると業界は不安視する。 SNSやネットの情報拡散に呼応して売買される「ミーム銘柄」の当初の騒動をきっかけに約定と決済の間に手違いが起きる可能性を減らす目的で、米証券取引委員会(SEC)はT+1を推進してきたが、移行それ自体にリスクが伴う。 Foreign Investments in US Markets Eclipse $25 Trillion Overseas hold
Satya Nadella, chief executive officer of Microsoft Corp., during an event at the Microsoft campus in Redmond, Washington, US, on Monday, May 20, 2024. Photographer: Chona Kasinger/Bloomberg 米マイクロソフトは20日、人工知能(AI)機能を搭載した新しいソフトウエアとコンピューターを発表した。AI時代の幕が開ける中でアルファベット傘下グーグルやアップルを打ち負かすための取り組みを強化する。 サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は20日にワシントン州レドモンドにある同社施設で開催されたイベントで、AIに特化したパソコン(PC)の新しいカテゴリーが「Copilot+PC」と呼ばれると発表した。 マイクロ
アイビー・チャンさんは自分を勝ち組だと思っていた。化学を学んだ後、2016年に中国の大手不動産会社に入社した。毎日午後11時まで働き、「営業チャンピオン」になると、より大きな都市に転勤した。 彼女は限られた休日には550ドル(約8万6000円)の高級スパというぜいたくを定期的に楽しんだ。稼ぎが多いこともあり、こうした出費は気にならなかった。 チャンさんが同僚らと販売してい物件は、誰もが欲しがった。不動産を所有することは、しばしば結婚の前提条件となるほど不可欠だった。 資産の保全や保険、老後の蓄えといった機能を兼ね備えていたのが住宅だった。ブルームバーグ・エコノミクスによれば、不動産は一時期、国内総生産(GDP)の約4分の1を占めていた。もっと高い比率を示した試算もあった。
日本の富裕層の金融資産は、2030年までに約200兆円増加する見通しだ。米モルガン・スタンレーが16日付のリポートで試算を示した。 リポートによると、日本の「超富裕層」と「上位富裕層」の純金融資産は現在の約690兆円から30年までに906兆円に達する見込み。 試算を前提にすると、日本の金融機関は約5兆9000億円相当の収益機会を得ることになるという。株式市場の上昇と日銀のマイナス金利政策の解除によって日本の資産に対する関心が高まりつつある中、日本の銀行や証券会社は将来の成長の重要な柱としてウェルス・マネジメントに注目している。 とりわけ日本の若年の富裕層は、市場の拡大を担う潜在投資家として注目を集める。リポートでは「このグループが資産を増やし、ポートフォリオのニーズがより洗練されるにつれ、ミューチュアル・ファンドへの資金流入が長期的に大きくなる可能性があるだろう」と指摘している。 原題:J
【コラム】円安巡るドラマの主役は金利、植田総裁もついに動く-モス コラムニスト:Daniel Moss 日本銀行の植田和男総裁が円安に対し当事者意識を持ち始めている。まだ間に合う。マイナス金利の終了は象徴的には大きかったが実質的には小さな一歩であり、円安を止めるほどの効果はなかった。世界の基軸通貨であるドルの軌道に決定的な変化がない限り、もっと何かが必要だ。 日本の経済運営を担う当局者にとって、今こそ総力戦が必要だ。一般的なルールとして、日銀総裁は円相場に関する政策を財務省に委ね、日銀が財務省の実行部隊として機能している。しかし、優先順位は変わりつつあるようだ。 植田総裁は以前の記者会見では為替相場に対してほとんど冷淡な口調だったが、今は対照を成すような積極さを示し、為替の変動がインフレにどのように影響するかについて話している。 日銀がより正常な金融スタンスに移行すること、言い換えれば、金
長期金利が11年ぶりの高水準を付けた。日本銀行による国債買い入れオペの減額拡大や早期の追加利上げへの警戒感から売りが優勢だ。米国長期金利の上昇も売りにつながっている。 20日の債券市場で長期金利の指標となる新発10年債利回りは0.975%に上昇した。日銀がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の再修正を決めた翌日の2023年11月1日に付けた0.97%を超え、13年5月以来の水準に達した。 これで、日銀がマイナス金利政策とYCCの解除を決めた3月の金融政策決定会合後に新発2年、5年、10年、20年、30年、40年物の国債利回りがそろって10年超の高水準を付けたことになる。これまで低金利による運用難から米国や欧州などの外国債券に投資していた国内機関投資家にとって円債の相対的に魅力は増す。 岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、米金利高を受けたこともあるが日銀利上げやオペ
同氏は、政策金利がここ数十年で最も高い水準で据え置かれていることで、裕福な米国人は債券投資からここ数年ないほど多くの収入を得ていると指摘。中・高所得の米国民は高い「金利から大きな恩恵を受けている」と語った。 さらに「われわれはサービス経済に移行しており、より多くのお金がサービスに費やされている」として自動車保険や医療保険といったサービス部門全体の粘着性インフレを指摘。「高齢者、中・高所得者が消費をして、サービスレベルのインフレを高水準に保っている」と解説した。 「テニスシューズの値段は20年前と同じだが、テニスの試合を見に行けば、チケットの値段はかつての2倍だ」と付け加えた。 15日発表のデータは4月の消費者物価の伸びが鈍化したことを示した。しかし、データは住居費から自動車保険や医療に至るまで、サービス経済の一部の分野では物価上昇を抑えるのが難しいことを示している。 それでも、4月の消費者
世界的大手レコード会社のソニーミュージックグループは、人工知能(AI)企業や音楽ストリーミング・プラットフォームに対し、明確な許可なく同社のコンテンツを使用しないよう警告した。 リル・ナズ・Xやセリーヌ・ディオンら数多くのアーティスト抱える同社は、アルバムのカバーアートやメタデータ、楽曲、歌詞などの知的財産がAIモデルの学習に使用されるのを防ぐため700社余りに書簡を送付した。 ブルームバーグ・ニュースが確認した同書簡では、ソニーのコンテンツを「AIシステムのトレーニング、開発、商品化」の目的で「無断使用」することは、同社およびアーティストから作品のコントロールと対価を奪うものだと指摘している。 生成AIの分野では著作権侵害が大きな問題となっており、音楽業界はアーティストの権利と自社の利益を守りつつ、急速に変化するテクノロジーの創造的可能性ともバランスを取ろうと躍起になっている。
元日本銀行調査統計局長の関根敏隆一橋大学国際・公共政策大学院教授は、日本の金融緩和度合いの大きさを踏まえれば、日銀が政策調整を進めることは自然であり、状況が許せば6月の金融政策決定会合での追加利上げもあり得るとの見解を示した。 関根氏は15日のインタビューで、インフレ率や需給ギャップなどから適切な政策金利水準を割り出すテイラー・ルールとのかい離や実質金利の大幅なマイナスを考えれば、日本は「金融緩和のし過ぎだ」と主張。日銀の金融政策運営は内外経済や物価の基調が大きな変調を来していないことを前提に、「機会が許せば少しずつ金利を引き上げていくオポチュニスティック(機会主義的)なアプローチになる」とみる。 ターミナルレート(利上げの最終到達点)は、現在の市場の想定よりも「もう少し高いところにあってもおかしくない」と分析し、現段階で「0.5%や0.75%が壁とか決める必要もないし、限界は誰にも分から
デンマーク製薬会社ノボ・ノルディスクが販売している肥満症治療薬「ウゴービ」の価格が下がらなければ、米国の医療制度が破綻しかねないとバーニー・サンダース米上院議員が新たな報告書で警告した。 同議員が委員長を務める上院厚生教育労働年金委員会の主要スタッフがまとめた報告書は、「医薬品の価値に基づいた価格設定」がそのまま認められるわけではないとし、ノボに対し価格引き下げを求める圧力を強めている。 同委員会は4月後半、ウゴービの月額約1350ドル(約21万円)といったノボの価格設定に関し調査を開始。適応外で肥満症にも利用されるノボの2型糖尿病治療薬「オゼンピック」について、利益込みで月5ドル足らずで製造できるとの調査結果を受けたものだ。 今回の報告書によると、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険)とメディケイド(低所得者向け医療保険)では、肥満症の人の半分がウゴービなどの肥満治療薬を摂取した場合、
トランプ前米大統領の返り咲きの可能性が、不安な臆測を呼んでいる。トランプ氏が米連邦準備制度への支配を強化し、インフレ抑制と米経済の安定維持に不可欠な中央銀行の独立が損なわれるようなことになれば、どうなるだろうか。 簡単にはいかないだろうが、全く恐ろしい可能性だ。 金融政策決定で中銀の独立性が高まれば高まるほど、雇用とインフレの目標達成は成功する。しかし、トランプ氏はしばしば、大統領が金利に影響力を持たないことに不満を表明している。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任や、米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定へのホワイトハウスの検閲強化につながりかねない案を一部支持者が策定したと報じられた。 トランプ氏にそれができるだろうか。連邦準備制度を支配する強い権限を4年の任期中に意図的に得ることは難しい。FOMCで投票権を持つメンバー12人のうち、大統領が指名できるのは7人のFRB理事だ
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