連日多くの訪日客らでにぎわう京都市伏見区の伏見稲荷大社。JR稲荷駅が参拝の玄関口だが、実は正月三が日や一部の観光シーズンを除いて快速列車は停車しない。毎日1万人近い利用があり、JR奈良線ではトップクラスの乗車人数を誇る駅なのに、いったいなぜ? 8月下旬の平日、京都駅から午前9時10分発の奈良行き普通列車に乗り込んだ。通勤ラッシュのピークは過ぎていたが、車内は肩が触れ合うほどで、乗客のほとんどが外国人だ。大半が稲荷駅で降り、改札を出てすぐそばにある大きな朱色の鳥居をくぐり参道へと向かっていった。 稲荷駅は1879年に開業した。当時は京都から稲荷を経由して大津へ抜ける旧東海道線の駅で、現在の京都-膳所駅のルートになった1921年に奈良線に移管された。近くには国鉄最古の建物として知られる赤れんが造りのランプ小屋がひっそりとたたずみ、往時の面影を残している。 そんな歴史ある稲荷駅だが、