自民党と国民民主党は所得税が発生する「年収103万円の壁」を引き上げる政策協議を始めた。マスコミでは「年収の壁」と説明されているが、筆者から見ると、問題を複雑化させすぎている。103万円だけでなく、「106万円」など社会保険料を含めればいろいろな「壁」があり、ある意味で財務省の思うつぼになる。 問題の本質は、所得税における「基礎控除48万円」と「給与所得控除55万円」で合計103万円という額の大きさである。筆者は、財務省がいつもやるように主要各国の国際比較の資料を出した。 正直に言えば、いろいろな条件を合わせないと国際比較はできないのだが、各国の最低所得に近いところでみてみる。 直近の為替レートで米国の基礎控除が61万円、給与所得控除が219万円で合計280万円。英国は基礎控除214万円、給与所得控除はなしで合計214万円。ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除は20万円で合計163万円