現在なら、上海を舞台にした「蒼天の拳」や、何億もの特級人民が巣食う「呪術廻戦」の方がよほどリアルなのだが、当時は中国世界を表すのに誰もが『北斗の拳』に例えていた。 しかし、そんなのはマンガアニメの世界だと一笑に付されるどころか、 と怒られすらしたものである。いや、差別ではなく現実をそのまま言っただけなのだが…。 日本人にとっては、それくらい「中国=儒教の国=礼儀の国=みんな礼儀正しい」というイメージが強かったのである。 中国古典の代表である『論語』『孟子』。 日本の儒学者は、四書五経と呼ばれた古典を至宝とし、 「唐国はこの言葉に書かれた世界の通りに違いない!」 と唐国こと中国を理想郷とした。こうして考えれば、日本人の性善白痴って江戸時代からなんだなーとため息の一つや二つつきたくなるが、とにかく儒学者たちは生真面目に文字に書かれた言葉を真に受け、日本もかくありたいと修養に努め、周囲にも啓蒙し