東京都知事選で、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏に、165万票獲得という予想外の大善戦をもたらした力は、インターネットの交流サイト(SNS)や動画サイトといったITメディアだという分析は、半ば正しく半ばは間違っている。 正しいというのは、既存メディアへの不信感を強めた人々にとって、ネットを通じて直接語りかけてくれるかのような石丸氏が魅力的に映ったのは確かだからだ。他方で「ITを通じた躍進」というストーリーには石丸氏の「新しさ」という分析が付随するが、この点は必ずしも正しくない。 石丸氏を資金面で支えたのが、ドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏や、KDDIの前身会社を創業した千本倖生氏であったことは既に明らかになっている。ドトールの運営会社は、安倍晋三元首相に「食い込んだ」(=癒着したとも言える)ことで知られる元NHK政治部記者の岩田明子氏を社外取締役に迎えたことで物議を醸した。 小さな地方都