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理化学研究所 Dmitry G. Vassylyev 横山 茂之 ウイルスからヒトに至る多くの生物は遺伝子;DNAを持っています。DNAは、主に、生命活動の維持に不可欠な、タンパク質を合成するための設計図として機能しています。DNA上の遺伝情報は、先ず、メッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる物質へコピーされ、mRNAの情報をもとにタンパク質が作られます。この「DNA→mRNA→タンパク質」という細胞内における遺伝情報の流れは、生命の営みの基本的かつ普遍的な反応であるため、“分子生物学のセントラルドグマ”と呼ばれています。したがって、これらの反応の詳細なメカニズムを解明できれば、生命現象の根本を理解することができます。 DNAからmRNAへコピーされるステップは「転写」と呼ばれ、遺伝子が働き始めるための最初の段階として重要です。RNAポリメラーゼは、転写反応を直接つかさどっている重要なタ
多孔性材料って? 私たちの身の回りには、「多孔性材料」と呼ばれる材料が頻繁に利用されています。これは名前の通り、たくさんの微細な孔(あな)があいた材料のことで、代表的なものには、活性炭やゼオライト*1があります(図1)。例えば、活性炭は冷蔵庫や車の消臭剤としてよく使われていますが、これは活性炭の表面にある微細な孔が、においの元となるガス分子を吸着するからです。その他にも多孔性材料は、石油を精製する際の分離材料や、水の浄化用材料などに広く使われています。 ただし、これらの材料の孔の大きさや性質は、それぞれの材料に特有のもので、応用範囲が限られています。もし、この孔を自在にあやつることができたら、その応用性ははかり知れません。例えば、環境中の汚染物質を取り除いて地球環境を改善したり、あるいは大気中から特定の分子を分離して、資源に変えることだってできるかもしれません。 図1 活性炭は、孔の大きさ
2019年6月14日 東京工業大学 神奈川県立産業技術総合研究所 高輝度光科学研究センター 早稲田大学 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 【要点】 〇電荷移動、極性−非極性転移の2つの負熱膨張を実現 〇通信や半導体分野で利用できる熱膨張しない新たな物質の開発に道 東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の酒井雄樹特定助教(神奈川県立産業技術総合研究所常勤研究員)、東正樹教授、Hena Das(ダス・ヘナ)特任准教授らの研究グループは、ニッケル酸ビスマス(BiNiO3)とニッケル酸鉛(PbNiO3)の固溶体(用語1)が、組成に応じて金属間電荷移動(用語2)と、極性−非極性転移(用語3)という、2つの異なるメカニズムで、温めると縮む負熱膨張(用語4)を示すことを発見した。 負熱膨張材料は光通信や半導体製造装置など精密な位置決めが求められる局面で、構造材の熱膨張を打ち消し
平成28年3月22日 東京工業大学 トヨタ自動車株式会社 トヨタモーターヨーロッパ 高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター 茨城県 【要点】 ○世界最高のリチウムイオン伝導率を示す超イオン伝導体を発見 ○超イオン伝導体を利用した全固体セラミックス電池が最高の出力特性を達成 ○高エネルギーと高出力で、次世代蓄電デバイスの最有力候補に。 東京工業大学大学院総合理工学研究科の菅野了次教授、トヨタ自動車の加藤祐樹博士、高エネルギー加速器研究機構の米村雅雄特別准教授らの研究グループは、リチウムイオン二次電池の3倍以上の出力特性をもつ全固体型セラミックス電池(用語1)の開発に成功した。従来のリチウムイオン伝導体の2倍という過去最高のリチウムイオン伝導率をもつ超イオン伝導体(用語2)を発見し、蓄電池の電解質に応用して実現した。 開発した全固体電池は数分でフル充電できるなど高い入出力電流を達成し
「方位磁針のN極は、常に北極を指し示す」。これは、地球が大きな磁石であるために生じる磁場(地磁気)によるもので、方角を知るのに利用されています。 不変に思われる地磁気ですが、数万年〜数十万年ごとに、磁極の南北が入れ替わっていることがわかっています。この「地磁気の逆転」は、1926年、松山基範(もとのり)博士が、SPring-8と同じ兵庫県にある、玄武洞の火山岩に南向きの磁気を発見したことで、明らかになりました。しかし、どうして「地磁気の逆転」が起こるのかは、現在でも謎とされています。 2011年11月、東京工業大学の廣瀬敬(けい)教授らのグループは、地球内部の外核が二層に分かれて対流*1している可能性を示し、注目を集めています。外核とは、地下2900〜5100kmにある液体金属の層で、その対流によって生じる電流が地磁気を発生させていることがわかっています(電磁誘導*2)。そして、もし外核に
2014年6月18日 東京大学 京都大学 公益財団法人 高輝度光科学研究センター 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 発表のポイント • ある種のウラン化合物が示す新しい電子状態は「隠れた秩序」状態と呼ばれ、物理学の長年にわたる大きな謎であった • 最近、間接的な証拠に基づいて菱形状の秩序が類推されたが、結晶構造は正方形状であると報告されており、結晶構造の変化を直接的に観測することが最重要課題であった • 放射光を用いた超高分解能測定と純度が非常に高い結晶を組み合わせることにより、結晶構造のわずかな変化を初めて直接的に観測し、菱形状の秩序が決定的になった 東京大学大学院新領域創成科学研究科の芝内孝禎教授(京都大学理学研究科客員教授)、同水上雄太助教、京都大学大学院理学研究科の松田祐司教授らは、公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)の杉本邦久研究員、独立行政法人日本原子力研究開
ウランを含む原発事故由来のガラス状の大気粉塵がつくばにまで飛来 -放射光マイクロビームX線を用いた複合X線分析- (プレスリリース) 東京理科大学(中根滋理事長)の中井 泉教授および阿部 善也助教の研究グループは、気象庁気象研究所の五十嵐 康人氏ならびに足立 光司氏、JASRIの寺田 靖子氏との共同研究として、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質がどのような性状を持つのかを解明するために、事故直後につくば市の気象研究所で採取された放射性大気粉塵(通称「セシウム(Cs)ボール」)に対して、SPring-8において複合的なX線分析研究を行いました。その結果Csボールはセシウム以外にウランやその核分裂生成物を含み、高酸化数のガラス状態であることが分かりました。この結果は、メルトダウンした核燃料が容器の底を抜けて落下したとする事故当時の炉内状況を化学的に裏付けるものです。本研究の成果
地球の内側はどうなっているか 地球はどのように誕生し、どのように今の姿になったのでしょうか。それを知る手掛りは、現在の地球内部に秘められています。地球の内部は、その中心からコア(核)、マントル、地殻の順番で層をなしています(図1)。こうした層構造は、地震が起きたときに伝わる「地震波」の速度を測定することで知ることができます。例えば、日本で地震が起こると、地震波は地球の中心部を通って日本の裏側にあたるチリにも伝わっていきます。その途中で層の境界を通るときに、屈折したり反射したりするので、地震波が伝わる速度の変化や層の厚みを推定することができるのです。 しかし、それぞれの層が何でできているかは、地震波ではわかりません。それを知る方法として、穴を掘って内部の物質を採取する方法がありますが、これで採取できるのは今のところ地殻までです。その他に、マントルが融解してできるマグマ*1によって深部から地表
新素材で白色LEDの欠点を解消 近年、省エネ効果が高いとして、白熱電球や蛍光灯に代わって、急速に普及が進んでいるLED*1照明。しかし、その光をまぶしいと感じたり、窓やディスプレイなどへの映り込みが気になることはないでしょうか。一方で、光源の明るさの割には、光源から遠い窓際などは暗いと感じられたことがあるかもしれません。 これは、白色LEDの光源が点状で小さく、白熱電球や蛍光灯に比べて照らし出す範囲が狭いことに起因します。それにより不快なまぶしさや、窓際など照明器具の真下以外の暗さにつながるというわけです。 白色LEDの多くは青色LEDチップをケースに入れ、その上に補色である黄色に光る蛍光体を載せ、青と黄の光を合成して白色光をつくり出しています(図1左)。その際、黄色蛍光体には光の色の調整に優れた窒化物を使うのが主流ですが、窒化物蛍光体の製造には高い温度と圧力を要するためコスト高にもなりま
高輝度光科学研究センター(JASRI)は、羽ばたき中の昆虫の胸部に強力なX線を当て、毎秒5000コマという超高速X線ムービーを記録することで、昆虫の速い羽ばたきを可能にする筋肉の分子機構を明らかにすることに成功しました。 昆虫は小さいほど羽ばたきの周波数が高く、蚊の場合は1秒間に500回も羽ばたきます。このような速い羽ばたきができるのは、昆虫の飛翔筋(羽を動かす筋肉)が収縮したまま自励振動を行なうからです。この自励振動は、飛翔筋の「伸張による活性化」(筋肉を外から引っ張ると大きな力を出して引っ張り返す性質)という機能によって起こされますが、その分子機構は長年の研究にもかかわらず不明のままでした。最近は昆虫の飛翔筋だけにしかない特殊なタンパク質が多くあることが明らかになり、これらが「伸張による活性化」を起こすという説がかなり主流になっていました。 本研究グループは今回、大型放射光施設SPri
むし歯の予防 最も身近な病気、むし歯。命にかかわることはまずないとはいえ、あの治療はいつまでたっても嫌なものです。これまでは、歯みがきなどの「予防」が積極的に行われてきました。しかし近年、歯の健康維持と増進を助ける特定保健用食品*1の開発が進み、その1つとしてガムが注目されています。 むし歯は、口の中の細菌が糖質から酸を作り、歯を溶かしてしまう病気です。歯垢(しこう)は目に見えるむし歯の原因で、これは食べ物の残りカス、唾(だ)液、細菌などが付着したものです。歯みがきには、この歯垢を削り取る効果があります。 歯みがき粉などを使うことによって効果はさらにあがり、中でもフッ素やハイドロキシアパタイト*2を含むものは、歯をコーティングして守る作用があります。なお、歯垢は放っておくと歯石となって歯に付着し、歯みがきなどでは取れなくなります。 ガムでエナメル質を再生する 2003年、積極的な予防効果が
教科書の常識 高校物理の教科書の「横波と縦波」の項に、次のような記述があります。「横波は固体中しか伝わらない。これは、液体や気体では媒質を横に少しずらしたとき、もとにもどそうとする力がはたらかないからである」 [注1]。 縦波・横波というと、よく耳にするのが地震のP波、S波でしょう。P波は進行方向に密度の変化が伝わる縦波で、S波は進行方向に垂直に揺れる横波です。地震波は普通、震源から上に向かって伝わるので、地表ではP波は縦揺れ、S波は横揺れとして感じられます。 教科書には、さまざまな理論や実験結果に裏付けられた「常識」が書かれています。しかし、広島工業大学の細川伸也准教授はSPring-8を使って、この常識を覆す観測結果を得ることに成功しました。つまり、横波は液体中でも伝わり、媒質を横にずらしたとき元に戻す復元力が働くことがわかったのです。 あるけど見えない もともと物質の原子構造や電子状
このイベントは終了しています。 当日の様子はこちらをご覧ください。また、科学講演会の一部をSPring-8 Channel(YouTube)にて公開しています。 ※ 見学ツアーは受け付けておりません。当日受付のみとなります。詳細はこちらをご覧ください。 ※ 団体(貸切バス、学校等)でご来場の方は、専用フォームにご記入の上、事務局(FAX 0791-58-0800)まで送信ください。(4月12日締切) SPring-8への自家用車の乗り入れはご遠慮ください。播磨科学公園都市の共同駐車場(無料)をご利用ください。 お身体の不自由な方は直接SPring-8正門守衛所へお越しの上、お申し出ください。 当日ご来場の皆様には手続きのためにお名前を書いていただきます。これは、見学手続きの用途に限り使用されます。これらの個人情報は正当な理由なく第三者への開示、譲渡及び貸与することは一切ありません。 ヒール
1. MADOCAとは MADOCA(Message And Database Oriented Control Architecture)は、SPring-8の加速器とビームラインを制御するために、公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)の制御・情報部門が開発した機器制御用ソフトウェアフレームワークである。メッセージによる機器制御の抽象化とデータベースによる機器状態の関係構造データの記録・抽出が特長である。その構成は、メッセージ指向ミドルウェアに基づくクライアント・サーバー型の分散制御アーキテクチャ(図1,図2)になっている。1997年に初めてSPring-8蓄積リング制御に運用導入し、2014年にはメジャーバージョンアップしたMADOCA IIをリリースした。MADOCAには、マン・マシン・インターフェイス、メッセージ通信、データベース管理系、アラーム、入出力信号制御等の豊富
京都大学 高松大郊 特定研究員*、小山幸典 特定准教授*、折笠有基 助教**、荒井創 特定教授*らの研究グループは、京都大学と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が共同で推進している革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISINGプロジェクト:プロジェクトリーダー 小久見善八特任教授*)の一環で、リチウムイオン電池に用いられる電極最表面における挙動の、電池作動条件下でのその場観察に世界で初めて成功し、蓄電池劣化の初期過程を明らかにしました。 *産官学連携本部、**人間・環境学研究科 この成果はドイツ化学会誌Angewandte Chemie International Edition誌に2012年10月12日にオンライン公開されました。 (論文) 題目:"First in situ Observation of LiCoO2 Electrode/Electrolyte Interf
新たなLED照明の可能性を拓く ありふれた元素から、新しい蛍光体を開発。屋内照明に適した、人に優しい白色LEDが可能に。(プレスリリース) 株式会社小糸製作所(社長 大嶽昌宏)は、東京工業大学(学長 三島良直)の細野秀雄教授の研究グループ、名古屋大学(総長 濱口道成)の澤博教授の研究グループとの共同研究により、新しいLED用Cl_MS(クルムス)蛍光体※1を開発しました。 Cl_MS蛍光体は、主成分が貝・骨・岩石や塩などに含まれるありふれた元素で構成される酸化物でありながら、新しい結晶構造を持つ新物質です。 近年、地球規模の課題である低炭素社会の実現に対し、省エネルギー性能に優れる白色LEDは、環境に優しい光源として普及が進んでいます。 現在主流の白色LEDは、青色チップと黄色蛍光体(YAG蛍光体)を組み合わせたものです。このタイプの白色LEDは発光部が狭く点光源状に発光するため、不快な眩
2012年7月11日 東京工業大学 理化学研究所 高輝度光科学研究センター ○ 鉄系超伝導の原型物質で意外な発見 ○ Tcの山が1つでなく、もう1つのもっと高く、大きな山があった ○ 今回、見つかった2つ目の山は、これまでの理論では説明が困難 ○ 水素がマイナスイオンとしてドープできたことが発見に繋がった 東京工業大学 フロンティア研究機構の細野秀雄教授、応用セラミックス研究所 松石聡助教と飯村壮史大学院生らのグループは、水素のマイナスイオン*1を用いることで、鉄系超伝導体に従来の3倍以上の電子を注入することに成功し、新たな超伝導を発現する領域を発見しました。今回、新しく発見された領域の方が、これまで知られていた領域よりもTcが高く、超伝導が発現する範囲も広範なことを判明しました。これらの結果は、今まで受け入れられつつあったスピンによるメカニズムでは説明が困難であり、軌道が主役を演じる機構
夏の夜、ホタルのオスとメスが黄緑色の光を明滅させてたがいにその存在を知らせ合うさまは、風情ある季節の風物詩として、昔から日本人にたいへん愛されてきました。 なぜ、またどんなしくみでホタルが光るのか。科学者たちも長い間このテーマに魅了され続けてきたのです。 ホタルに代表される昆虫の発光現象が科学の目で解明されるようになったのは、19世紀終わり頃のことでした。すでに「ルシフェリン*」、「ルシフェラーゼ*」が文献に登場し、発光が酵素反応によって生じることが知られるようになっていました。 しかし、この酵素反応の詳しい解明が進み出したのは20世紀も半ばになってからのことです。 多くの研究者の手で少しずつ解明された発光のしくみは、およそ次のようなものでした(図1)。 発光反応の基質であるルシフェリンが酵素であるルシフェラーゼの触媒作用によって、生物の体のなかに広く存在するATP(アデノシン-三リン酸)
水素イオンを通すタンパク質がペアで働く仕組みを原子レベルで解明! -体温を上げてバイ菌から身を守る仕組みがわかった-(プレスリリース) 大阪大学の藤原祐一郎助教、岡村康司教授(医学系研究科生理学講座(統合生理学))、中川敦史教授(蛋白質研究所)の共同研究チームは、我々の体がバイ菌を退治する際に、水素イオンを通すタンパク質の2つが互いに合体し、体温に合わせて体内のpHをコントロールする仕組みを原子レベルで明らかにしました。これは、我々が感染時に発熱することによる生体防御応答を考える上でも重要な発見であり、英国Nature Communications誌(5月8日16時00分グリニッジ標準時)に発表されます。 (論文) Fujiwara Y., et. al. "The cytoplasmic coiled-coil mediates cooperative gating temperatur
資源が豊富な元素である鉄とマンガンからなるレアメタルフリーの新規電極材料の開発に成功 ナトリウムイオンを用いた次世代のエネルギー貯蔵技術確立への可能性を示す 東京理科大学・総合研究機構 藪内 直明 (やぶうち なおあき)講師、同・理学部第一部応用化学科 駒場 慎一 (こまば しんいち) 准教授らの研究グループは、ナトリウムイオン電池用電極材料としてレアメタルを必要としない新規鉄系層状酸化物の合成に成功し、その研究成果に関して英国科学雑誌『Nature Materials』(http://www.nature.com/nmat/)において発表されます。 これまで駒場准教授らの研究グループは、現在高性能電池に広く用いられているリチウムの代わりとして、資源が豊富なナトリウムを電気エネルギー貯蔵に利用するという基礎研究を2005年から進めており、これまでに炭素材料と層状酸化物を用いることにより、リ
なんでいまさら水の構造研究なのか? 水はとても身近な存在で、H2Oというそのシンプルな分子構造は中高生にもよく知られています。そんな水の様態に未解明の謎があるなどとは、ほとんどの人が想像さえしていないことでしょう。でもそれは紛れもない事実なのです。科学研究とは未知の新奇な事象を対象とするものだと考えられがちなのですが、水や氷のようなごくありふれた事物の奥に潜む謎を見出し、その解明を試みることも実は科学研究の重要な仕事なのです。SPring-8のような世界最先端の光科学研究施設で水の構造研究が進められているというと、とても意外な印象を抱かれるかもしれません。でも、それには相応の深い背景があるのです。皆さんは、「とても大きな氷の冷熱(ものを冷やす力)がどこに蓄えられているのか?」とか、「水の密度が4°Cで最大になり、それより温度が高くても低くても密度が小さくなるのはなぜなのか?」とか、「固体の
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)の協力のもと、2006年度から国家基幹技術の1つとして整備を開始し、2011年3月に完成させたX線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA(さくら)」を広く研究者などに提供するため、2012年3月7日(水)から供用運転を開始します。 利用課題は国内外から広く公募され、3月から7月までに実施する課題として25件が採択されました。米国施設LCLS※1を上回る0.063 nmという世界最短波長かつ10兆分の1秒という短パルスのXFELを用いて、これまで捉えることのできなかった化学反応など超高速反応の解析や、タンパク質など生体分子の構造解析が可能となり、燃料電池や新薬などの開発が大きく進展するものと期待されています。 1 概要 X線自由電子レーザー(XFEL)は、X線とレーザーの特性を併せ持つ優れた光で
2012年2月18日 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 本研究成果のポイント •全長2メートルにもおよぶヒトゲノムDNAが細胞の染色体の中にかなりいい加減(不規則)に収められていることを発見。 •遺伝情報の収納、検索、読み出しの仕組みを知る手がかりが得られた。 分裂期染色体(以下、染色体)は、細胞が分裂する際、DNA※1がコンパクトに凝縮した「DNAの束」です(図1)。生物学の教科書では、DNAの細い糸が「ヒストン」タンパク質に巻かれて「ヌクレオソーム」となり、このヌクレオソーム線維が規則正しく束ねられて「クロマチン線維」と更なる階層構造(積み木構造)ができる様子が図示されています(図2)。この定説は1970年代後半に提唱されたもので、異を唱える研究者はほとんどいませんでした。今回、国立遺伝学研究所の前島一博教授らのグループは、独立行政法人理化学研究所(理研)の大型放射光施設SPr
SPring-8への自家用車の乗り入れはご遠慮ください。播磨科学公園都市の共同駐車場(無料)をご利用ください。 お身体の不自由な方は直接SPring-8へお越しの上、正門守衛所の担当者へお申し出ください。 当日ご来場の皆様には手続きのためにお名前を書いていただきます。これは、見学手続きの用途に限り使用されます。これらの個人情報は正当な理由なく第三者への開示、譲渡及び貸与することは一切ありません。 ヒールやサンダル等の歩きにくい履物でのご来場はおすすめしません。 団体(貸上バス、学校等)でご来場の方は、専用フォームにご記入の上、事務局まで送信ください。(4月13日で締切りました) 見学ツアーについても事前予約は受付けておりません。当日受付のみとなります。詳細はこちらをご覧ください。 ペットキャリー等のご利用の有無にかかわらず、SPring-8構内へのペットの持ち込み(連れ込み)はお断りしてい
高輝度光科学研究センター(JASRI)は、北陸先端科学技術大学院大学らと共同で、よく知られた物質である金 (Au) が、これまで検出されていなかった新たな磁気的性質を有することを明らかにしました。 金は、有史以前から人類にとって馴染みの深い貴金属です。古くから宝飾品や貨幣として使われてきましたが、近年ではハイテク材料としての利用が注目されています。現在、金は軟らかくて加工しやすく、また電気をよく通すことから、半導体の配線等に使用されています。また、鉄やコバルトといった磁性体と組み合わせることで磁気記録材料としての応用も検討されています。 従来、金は代表的な反磁性体*1として知られており、それ自身では磁石となるような強い磁性は持たないと考えられてきました。ところが、最近の研究で、金をナノサイズの粒子にすると強い磁性を持つことが明らかになり、学術的にも応用の面でも興味を持たれています。 本研究
独立行政法人海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域の廣瀬敬上席研究員(兼務:国立大学法人東京工業大学教授)・小澤春香技術研究副主任、国立大学法人東京工業大学 大学院理工学研究科の高橋太助教らは、財団法人高輝度光科学研究センターと共同で、高圧相転移実験を行い、地球外核(液体)の重要な成分である酸化第一鉄(FeO)が地球外核での一定以上の温度・圧力条件下(240万気圧、4000K)で、従来知られていなかった結晶構造で安定すること(相転移)を発見しました。 独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)地球内部ダイナミクス領域の廣瀬敬上席研究員(兼務:国立大学法人東京工業大学教授)・小澤春香技術研究副主任、国立大学法人東京工業大学(学長 伊賀健一)大学院理工学研究科の高橋太助教らは、財団法人高輝度光科学研究センター(理事長 白川哲久)と共同で、高圧相転移実験を行い、地球外核(液体)の重要な
高分子で発見された「準結晶」という不思議な物質 結晶に似た構造ながら結晶と異なる性質をもつ準結晶は結晶学の枠組みを一変させた。これまで合金などで確認されていたが、日本の研究グループは高分子の中に準結晶を発見した。そのスケールは50〜100 nm(ナノメートル=10-9 m)と合金系の100倍以上の「巨大」なものだ。準結晶は通常の物質とは逆の方向へ光を屈折させる(負の屈折率)ために、光波長より小さい物質の像が得られる「スーパーレンズ」の実現が期待されている。しかも高分子物質は、設計が容易なので、多様な成果の可能性を秘めている。ただし巨大といってもドメインサイズ(領域の大きさ)は5 μm(マイクロメートル=10-6 m)。構造解明にはSPring-8が不可欠だった。 「準結晶」を高分子で発見する 1982年、材料工学者である米国商務省標準基準局(当時 · NBS、現 · NIST)のダン ·
独立行政法人理化学研究所は、財団法人高輝度光科学研究センターと協力して播磨科学公園都市の大型放射光施設SPring-8に隣接して開発・整備を進めている、原子の世界を詳細に映し出すわが国初のX線自由電子レーザー(XFEL)施設を、計画どおりの80億電子ボルト(8GeV)で運転し、波長0.8ÅというX線を発生、観測することに成功しました。また、このXFEL施設の愛称を「SACLA(さくら)」と決定しました。 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI、白川哲久理事長)と協力して播磨科学公園都市の大型放射光施設SPring-8※1に隣接して開発・整備を進めている、原子の世界を詳細に映し出すわが国初のX線自由電子レーザー(XFEL)※2施設を、計画どおりの80億電子ボルト(8GeV)※3で運転し、波長0.8Å(Angstrom(おんぐすとろーむ))※
広島大学の研究グループは、微生物の細胞表面では周囲に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現象を見出しました。またレアアースの中でも特に希少価値の高い元素が選択的に濃縮することを発見しました。 2010年11月17日 国立大学法人 広島大学 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 財団法人 高輝度光科学研究センター 本研究成果のポイント ○ 水溶液中において、レアアースが微生物の細胞表面で周囲(微生物が存在しない部分)に比べて高濃度に濃縮する現象を初めて観測 ○ 従来金属イオンの回収などに使われる陽イオン交換樹脂に比べて10~100倍程度高濃度にレアアースを濃縮することが可能 ○ レアアースの中でも特に希少で高価な元素が特異的に濃縮する現象を発見 ○ 濃縮メカニズムを放射光※1を用いたX線吸収法(EXAFS法)※2により解明 ○ レアアース資源の開発やリサイクルに、バクテリアを利用し
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