人類学者の奥野さんは1980年代後半から東南アジア地域のフィールドワークをはじめ、ボルネオ島北西部(マレーシア領)の狩猟採集民「プナン」に関心を抱くようになった。現在、奥野さんは「聞き流す、人類学。」というユーチューブ番組を作っていて、同番組を手伝うメンバーら3人と「プナン」の暮らしを体験する。 「プナン」の共同体はモノや財だけでなく、知識や技能も共有している。そして教える、教えられるという関係がない。そのため貧富の差もない。ただし「ラケ・ジャアウ(大きな男)」と呼ばれるリーダーのような人はいる。「プナン」では「皆で分かち合う経済を他の人よりも積極的に行う人物」が「ラケ・ジャアウ」になる傾向があるようだ。気前がよくて、寛大であること─それが「プナン」のリーダーに求められる資質なのである。