石破茂首相はアベノミクスについて「デフレではない状況をつくり、国内総生産(GDP)を高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながった」と評価する。その一方で「実質賃金が伸び悩むとともに、個人消費も力強さを欠いた」と負の側面も認める。 実際、各種指標は首相の分析を裏付ける。円安による輸出企業の好調な業績などを背景に、名目GDPは安倍政権が政策目標に掲げた600兆円に達した。日経平均株価は12年当時の3倍を大きく超え、有効求人倍率や失業率も改善した。 実質賃金 労働者が実際に受け取った給与(名目賃金)から、消費者物価指数に基づく物価変動の影響を差し引いた指数。実質賃金が減少すると、それまでと比べて購入可能な物品やサービスの量も減少するため、個人消費の動向にも影響する。厚生労働省が毎月勤労統計調査で公表している。今年5月の調査まで過去最長の26カ月連続マイナスだった。6月、7月はプラスに転じ