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会話術
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クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 時価総額で世界上位を占めるテック企業は、驚くほど若い起業家たちが寮の部屋やガレージ、飲食店などを拠点にして立ち上げたものだ。創業時にマイクロソフトのビル・ゲイツ氏は19歳、アップルのスティーブ・ジョブズ氏は21歳だった。アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏とエヌビディアのジェンスン・フアン氏は30歳だった。 だが、世界で最もかけがえがない価値を持つと言ってもよい企業を、張忠謀(モリス・チャン)氏が立ち上げたのは55歳のときだった。 かつて彼ほど年を重ねた人物が、台湾積体電路製造(TSMC)ほど価値のある企業を一から始めたことはなかった。半導体受託製造の世界最大手であるTSMCは、コンピューターや電話、自動車、人工知能(AI)システム、
人の脳を人が食べる風習 だが、人の脳を食すことが許容されただけでなく、風習だった時代と場所がある。 米ロングアイランド大学CWポスト校の生物学名誉教授で、『カニバリズム──まったく自然な歴史』(未邦訳)の著者であるビル・シャットは言う。 「理由はともかく、仮にあなたが誰か人を食べていたとしましょう。そのとき、あなたがその脳を食べない理由が私には見当たりません」 ヨーロッパで発掘された、10万年前にさかのぼる先史時代の人骨には、脳が取り出された、ひび割れた頭蓋骨含め、食人の形跡が見られる。 近代に入ってからも、風習としての食人には、脳を食すことが多く含まれていた。なかでも有名な一例が、パプアニューギニアのフォレ族だ。 脳を食すフォレ族の慣習は、特異的に悲惨な結果をもたらした。それは現代の米国人が脳を嫌悪するまた別の理由を説明するものでもある。すなわち、病の恐れだ。 1950年代に、200人ほ
過去の栄光にあぐらをかくのは間違い フランス料理がかつてのような世界的地位を失いつつあることに危機感を覚えたマクロン政権は、来たるパリ五輪に向けて自国料理の復権を図ろうと、「フランス高級料理」国家戦略を発表した。 その戦略について、オリビア・グレゴワール観光相が仏紙「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」の取材に応えている。 なぜ高級料理のための戦略を発表したのかとの問いに対して、グレゴワールは次のように言う。 「フランスは偉大な美食の国であり、世界中でもそのように認められています。とはいえ、国際舞台での競争が激しさを増して久しく、影響力を失いつつあります。過去の栄光にあぐらをかいているのは間違いであり、われわれはこの分野での優位をふたたび確かなものにする所存です」 この計画の主軸は何かとの問いに対して、3点挙げられるとグレゴワールは答える。
「『ステーキは食べられるけど、牛の脳なんて、これまで聞いたなかでいちばん極端な食べ物だ』と人々が言ってもいまはおかしくありません。でも歴史を通じて、それは問うまでもないことでした。『どの文化で脳が食されたのか?』と問う必要などなかった。誰もがそれを丸ごと食べていたのですから」 そう語るのは、内蔵の料理本を書いたヘルスコーチのアシュリー・バンハウテンだ。 伝統的に、多くの文化で動物の脳はごちそうと考えられてきた。そしてそれは、無駄ゼロの精神からというだけではなかった。濃厚で、脂肪分に富み、繊細な脳の舌ざわりと風味はユニークで、しかも脳はほかの部位と比べて手に入れるのが難しかった。 動物ごとに脳はひとつしか取れないというだけではない。自身のブログ「オファリー・グッド・クッキング(内臓的にいい料理)」で内臓肉の摂取を啓蒙する料理記者のジャニン・ファルジンは言う。 「頭蓋骨を切り開くのがものすごく
老舗の自動車企業がEV移行に苦戦するなか、売り上げを伸ばしているのがドイツの高級車メーカーBMWだ。成長の礎となっているブランド力と技術力、そしてその巧みなビジネス戦略を米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材した。 老舗メーカーの「希望の光」 ドイツ南部の都市ミュンヘンにあるBMWの工場を訪れると、ロボット溶接機の火花を浴びながら組み立てラインを流れる車体が見えた。 それが電気自動車(EV)なのか、ガソリン車なのか、一見しただけでは区別がつかない。多くの専門家によると、これは芳しくない状況だ。 BMWのEVはガソリン車と同じ組み立てラインで製造されており、外観も似ている。4車種(EV、ハイブリッド車、ガソリン車、ディーゼル車)に同じ基本ボディを使用するというこの手法は、「奇妙で非効率的な妥協案」と言われてきた。一部の老舗自動車メーカーにとっては、EVだけを生産するテスラや中国の新興メーカーに
関係の修復には時間がかかる ──あなたは数十年を米国で過ごし、米中のつながりを注視されてきました。そこでまずは、結果的に世界に大きな影響を与えるであろう、米中関係についてうかがっていきたいと思います。現時点、特に2023年に両国首脳が会談して以降の米中関係について、どう評価されますか。 2017年後半あたりから、米中関係は悪化しました。ちょうどそのころ、ワシントンでは2つの重大な報告がありました。ひとつは2017年12月に国務省から、もうひとつは翌月の2018年1月に国防総省から。これらの文書は、現行の対中政策は失敗しており、米国が計画、予想したようには事が運ばないであろうという内容です。 後者の文章は、9.11以降の米国の第一の敵はテロリスト集団で、第二は北朝鮮、イラン、イラクなどの、いわゆる「ならず者国家」としています。 そして第三の敵として、「修正主義国家」を挙げていますが、これは中
4月11日、大谷翔平の通訳を務めていた水原一平が、大谷からおよそ1600万ドル(約24億5000万円)をだまし取ったとして、銀行詐欺容疑で司法当局から訴追された。これに関して、大谷は「被害者である」と連邦検察は断定している。 一連の報道を受け、米紙「ロサンゼルス・タイムズ」のスポーツコラムニストが記事を掲載した。当初は大谷に疑いの目を向けていたという記者は、いま何を思うのか? 「何も知らない」なんて嘘だと思った 薄暗い奈落の底に沈んでから二週間。大谷翔平の伝説は突如息を吹き返し、重大な嘘と詐欺という厚い層を突き破って、力強く浮上した。 それは、彼の誠実さを疑う人々に微笑みかけ、彼の志に疑問を抱く人々に対して首を横に振る。伝説は生きているのだ。 違法賭博のために送金された450万ドルについて「何も知らなかった」と大谷が言ったとき、私はまったく信じられなかった。 だが、ギャンブルによる借金を支
最新のニュースに登場した時事英語を紹介するこのコーナーでは、世界のニュースに出てくるキーワードを学ぶと同時に、ビジネスの場や日常会話のなかでも役立つ単語やフレーズを取り上げていきます。1日1フレーズずつクイズ感覚で学び、英語に触れる習慣をつくっていきましょう。語彙力の向上には、日々の積み重ねが大事です。 今日の時事英語 2024年4月13日(土)の「CNN」に次の一文がありました。 CNN’s Australian affiliate, 9 News Sydney, spoke to an eyewitness who said people were running through the shopping center and falling over each other, describing the situation as “pandemonium.”
夢も希望もない、消費もしない、必要最低限のものさえあればいい──そんな「寝そべり族」と呼ばれる若者が中国で増えていることは以前から報じられてきた。この現象には、若者の就職難や激しい競争社会での疲弊などが影響していたが、最近では安定した仕事に就きオフィスで働く若者までも、やる気を失っているようだ。米「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、同国の若者たちのあいだで「パジャマ出勤」がブームだという。 「私は自分が着たいものを着ているだけ。ただ座っているだけなんだから、職場にドレスアップしていく必要はないと思うんです」 インテリアデザイナーのシンディー・ルオ(30)は、同紙の取材にそう答えている。昨年、12月になって寒くなるとルオはオフィスでフード付きのトレーナーの上にふわふわのパジャマを着るようになった。そのうちそれが習慣になり、やがて彼女はパジャマのトップスだけでなくお揃いのボトムスを合わせて出
IT先進国として知られるエストニアでは、学校教育においてもデジタル化が進んでいる。だが、必ずしもそれがヨーロッパ随一の教育大国となった理由ではないようだ。それでは何が、この国の教育制度を特別なものにしているのか。 エストニアの首都タリンにあるペルグリン公立中・高等学校のSFクラスで今日、取り上げられるのは映画『ブレードランナー』だ。同校では木曜日が「自主的な」授業日で、生徒はさまざまな科目から受けたい科目を選択できる。この日に選択可能なほかの科目には「権利と民主主義」、プログラミング、英語による創作などが用意されていた。 SFクラスの教室に後ろから入ると、授業に参加していた17歳の生徒7人が、この作品を30分鑑賞してディスカッションを始めるところだった。私を見ると、彼らは完璧な英語を話してくれた。生徒のひとりトゥリーンは、「ユングの言う元型(アーキタイプ)やペルソナ、フロイトの言う超自我に
2人はカップルだった ヒロミからは、ときどき闘う気概が感じられた。自分の言い分が正しいと認められるまで、やり合うことを厭わない気迫があった。だが、自分が失った人の話をするとき、彼女のまなざしは曇った。彼女の本当の苦しみはそこにある。どうか彼には辛い状況を乗り切ってほしい。それは「付き添いの女性」の祈りではなかった。ヒロミはウソをはっきりとウソだと示すために、ずいぶんと過去に遡って話を始めた。 「私たちの出会いは、映画『ダンシング・マシーン』の撮影現場でした。私はこの映画で助監督を務めていたんです。1990年のことです。私は映画の仕事をたくさんしてきました。映画監督のダニエル・ヴィーニュやベルトラン・ブリエ(彼とは映画を3本作っています)と仕事をしたこともありますし、アランとも『アラン・ドロンの刑事物語』と『アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ』という2本のテレビドラマの仕事をしました。こ
五輪三連覇を目指さない理由 昨秋から、大野の拠点はスコットランドのエディンバラだ。日本のスポーツ指導者海外研修事業で2年間、欧州で過ごすことになっているのだ。 まずはアイスブレイクだ。VIP席から試合を見て、また戦いたいと思われましたかと尋ねてみた。 「それはまったくありません。畳に再び上がるのが、どれだけ大変なことなのか。それはほかの誰よりも私がよくわかっています。それにこのように、みんなが笑顔で歯を見せている普通の大会に出るというのは、昔から自分に馴染まなかったんです」(註:念のために記すが、「グランドスラム・パリ」は開催5回目になる大きな国際大会である) 実際、大野は出場する大会を絞り、世界選手権や五輪に出場するときのオーラを作り上げてきたところがある。世界選手権と五輪にしか関心がないのだ。 「私はよくいる柔道家ではありませんでした。『至高の柔道家』をめざしたのです。信じがたいプレッ
取材の準備は念入りにした。取材相手の格を考えれば当然だ。それにおそらく日本では、普段の取材でもそれくらいの準備が当たり前であるに違いない。 お会いできて光栄ですといった挨拶の言葉も準備し、両手で名刺を差し出す所作も、何度も練習して動きを確認した。手土産も持参することにした。選んだのはマカロンの詰め合わせである。取材日が、取材相手のちょうど32歳の誕生日だったのだ。 大野将平の名を聞いても、フランスの凡俗にはピンとこないかもしれない。だが、柔道界ではそうではない。つねに柔道の最新情報を追っているフランス人のある知人に言わせれば、大野は「地上に降臨した神」だという。 私がその大野と一対一でインタビューできると知ると、その知人は嫉妬心を抑えきれなくなっていた。大野を形容する言葉なら、ほかにも「柔道のフェデラー」、「畳の上のメッシ」、「ラスト・サムライ」など多々ある。 「日本に毎世代、出てくる宇宙
部活動の指導や課外活動への随行など、広範な業務に無償で対応しなければならない日本の教員の理不尽な労働環境を中国紙が取材。多くの教員が深刻なストレスを抱えていることが、職場でのハラスメントといった新たな問題を引き起こす原因になっていると指摘する。 日本の教育関係者が相次いで、長時間のサービス残業の解消を政府に要求した。 2024年2月には、教育研究者の有志が教師の労働時間を削減する施策などを訴え、18万筆の署名を文部科学省に提出した。翌月には日本教職員組合(日教組)が同様の内容を求め、70万筆近い署名を提出している。 日本の教師の長時間労働の問題については、文科省の中央教育審議会が立ち上げた特別部会で議論されており、残業代を支払わない代わりに教員の給与を4%上乗せすることを定めた「給特法」の見直しなどが検討されている。
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に4回お届けしています。 どんな生き物にとっても、「関係性」は生存と繁栄に不可欠だ。樹木と菌類の複雑な共生関係が森林を維持し※1、ミツバチやアリは1匹では自分を養えず、ビーバーは最大10匹のグループでダムを造り、ハクトウワシは生涯同じ伴侶と連れ添う。ワニやシャチは、初期の人類を彷彿とさせるような、連携の取れた狩猟戦略を展開する※2。 人間は「関係性」の力を飛躍的に高めた。私たちは身体的には弱く、遅く、脆いうえに、感覚も並程度なら、幼児期も異様に長い。だが「協力」という超能力のおかげで環境を支配し、頂点捕食者の頂点に君臨している。 飼育されている鳥は野生の鳥の数を上回っている(ヒ
狂犬病は発症するとほぼ100%死に至るとされ、いまでも世界では年間数万人が死亡している。2004年、米国で15歳の少女が狂犬病と診断されると、医師は一か八かの可能性にかけ、非常に危険かつ実験的な治療をおこなった。そうして奇跡的に生き残ったジーナ・ギーズが、長く苦しい回復の過程と現在の生活について語っている。 コウモリを助けたら… それは2004年のことだった。15歳だった私は、米ウィスコンシン州の教会でおこなわれていた日曜礼拝の最中に、小さなコウモリがバタバタと教会の中を飛んでいるのを目にした。当時の私は、そのコウモリがまさか自分の人生を変えることになるとは、知るよしもなかった。 コウモリは外に出ようとして、ステンドグラスの窓のあいだを飛び回っていた。礼拝に集まった人たちは、帽子でコウモリをはたいて追い払おうとした。そのうち、だれかの帽子が当たってコウモリは床に落ち、動かなくなった。 動物
ヒロミ・ロラン(66)は、いまも打ちひしがれた様子だ。私たちがこの女性と最初に会ったのは2023年11月、パリにあるこの女性の弁護士の事務所でのことだった。 アラン・ドロンの3人の子供の一致団結した行動によってヒロミがKOされたのは、2023年7月5日だった。それ以降、ヒロミはいまもまだ立ち直れていない。一方、アラン・ドロンの子供たちのほうも、もともと悪かった仲が、その後さらに険悪なり、もう2度と3人が一緒に行動することはないと思えるほどだ。いずれにせよ、ヒロミはあの日以来、自分の人生を生きている気がしないという。 「もう一度、アラン(・ドロン)に会いたいんです。それができないなんて信じられません。私は彼に会えなくて寂しいですし、彼も私と会えなくて寂しいのだと思います。私がどこに行ったのか、なぜいなくなったのかが気になっているはずです。もう一度、アランと会う。その希望に私の全人生を託してい
「パレスチナ問題」が解決に向けて前進する道はあるのか? イスラエル国防軍の戦闘兵として兵役に服したユダヤ人男性が、生々しい経験に基づいた持論を米大手ユダヤ系メディア「フォワード」に寄稿。その全訳をお届けする。 この記事は米大手ユダヤ系報道機関「フォワード」で最初に掲載されたものです。フォワードの無料ニュースレター登録はこちら。 第2次インティファーダ(2000年代のパレスチナ人民衆蜂起)勃発中のエルサレムで育つと、子供が問うべきでない問いを発することに慣れてしまう。 自分が乗っているこのバスは爆発するのかな? あれは両親や友達への最後のさよならだったの? 誰がこんなことを僕たちにできるの? なんで? 18歳になると、その死活問題はなおさら絶え間ないものになる(イスラエルには徴兵制があり、おもに18歳から男性は最短で32ヵ月、女性は24ヵ月の兵役に就く)。兵役義務でどこに行くのか? 戦争に派
ちょうど50年前、日本は世界で最初に出生率が人口置換水準を下回った。それ以来、頑なに移民の受け入れを拒否し続けた結果、この国はいま、世界にとって「混じりけがない人口減少」のサンプルになっている。 「この区画分けした芝生が、集合住宅のようなものだと想像してみてください」。そう話す井上治代(いのうえ・はるよ)は、死後の住宅の管理人だ。 井上が代表を務めるNPO法人「エンディングセンター」は、孤独な日本人の生前と死後の支援をしている。このセンターの墓地は一ヵ所ごとに数百人を受け入れていて、亡くなった会員はそこで死後、再会することになる。いわば目に見えない小さな分譲地を割り当てられているのである。 桜の木が茂る美しい墓地を前にして、井上は「死の助産師のようなものが必要なのかもしれません」と哲学的なことを言う。 日本の人口減少がどのようなものか、その必然的な結果として、生ける者がどれほど孤独に取り巻
イスラエルとハマスの戦闘が始まってから半年が経つが、いまだ収束への道筋は見えない。 エルサレムにある水泳クラブでは、イスラエル人とパレスチナ人の若き水泳選手たちが信仰の違いを超えて、同じプールで練習してきた。 しかし戦闘開始によって、そんな彼らの強い友情が試されることに──米紙「ニューヨーク・タイムズ」が彼らの複雑な心中に迫っていた。 「あの日の攻撃」を境に プールに政治をもちこまないこと。この暗黙のルールがエルサレムの水泳クラブに通うイスラエル人とパレスチナ人の若者を知らず知らずのうちに守ってきた。 同クラブの若きメンバーたちは、それぞれ西エルサレムと東エルサレムに別れて生活している。週6日は午後になると、Y.M.C.A施設内にある水泳クラブに集合する。2時間の練習後は、みんな一斉にジャグジーに飛び込み、ふざけたり冗談を言い合ったりして1日を終えるのがお決まりだ。
コロンビア大学国際公共政策大学院グローバル・エネルギー政策センターの研究者アンヌ=ソフィー・コルボーによると、低炭素水素の生産プロジェクトで具体的に進展しているところは少ないという。コルボーが低炭素水素の現状を解説する。 ──天然ガスや化石燃料はグローバルに取引されていますが、水素もこれからグローバルに取引されるようになるのですか。 正直な話をすると、低炭素水素関連のプロジェクトで具体的な進展があるものは少ないです。2021年に数多くのコンサルティング会社や機関が低炭素水素を奇跡の解決策として売り込みましたが、そこまで話が単純でなかったのは明らかです。 日本やブラジル、サウジアラビアの人たちと話をしていますが、どこも同じ問題が出てきています。エネルギー資源としての水素はコストが高く、そのせいで需要が充分に生まれない問題があるのです。 グリーン水素のプロジェクトをきちんと進めていくには、数ギ
食とグルメを専門とするスイスのジャーナリスト、ヴェロニク・ツビンデンは2023年、『料理と精神性──シェフ、僧侶、採集家、禅徒のレシピ』(未邦訳)と題した本を出版した。深い内容の詰まったこの本で、彼女はスピリチュアリティと高級料理の結びつきを探っている。 なかでも、日本や韓国の精進料理がいま、トップシェフたちに大きな影響を与えているという。仏紙「ル・モンド」がツビンデンにインタビューした。 世界のトップシェフたちが向かう先 ──あなたの本は、長年にわたる調査、旅行、インタビューの結晶ですね。どのように始まったのでしょうか。 トリノで開催されたある美食展で、チョン・クワンと出会ったことからすべてが始まりました。チョン・クワンは、韓国で非常に重要な禅仏教の宗派、曹渓宗の尼僧です。彼女が作るのは「寺刹料理」(註:日本でいう精進料理)と呼ばれるもので、これは一種のホリスティック医療でもあります。と
野生動物の剥製をインテリアとして飾る──かつては金持ちの象徴のようにも考えられていたが、最近は倫理的にあまりイメージが良くない。それならば、恐竜の化石は? これはどうやら「アリ」のようだ。一握りの特権階級を相手に、その市場は急成長している。 パリ8区、ボエシー通りにある彼の書斎は、まるで物置小屋だ。隕石、アフリカの仮面、化石……とにかく書斎のスペースを超えない大きさのあらゆるものが、ガラスケースに展示されているか、床に積み上げられている。 ただし、3m近くある後期ジュラ紀の竜脚形類の脚については、カタログ写真に甘んじるしかない。ステゴドンの臼歯も同様だ。この臼歯の持ち主、絶滅した長鼻目の旧象は重さが12トンもあった。残念ながら、どうがんばってもアレクサンドル・ジケロの自宅にこれらの巨大な骨格を置くスペースはない。 ブロンドの髪で魅惑的な笑みを浮かべるこの50代の男は、フランスでは「恐竜を売
AI技術の急速な進展は歴史を一気に進める革命的出来事だといわれる。しかし歴史家のニーアル・ファーガソンは、現在の私たちの対応こそが歴史を決めると主張する。 AIの進化を前に、私たちはどう対応すればよいのか。そのヒントを得るために、彼は6つの問いと、歴史に即したその答えを提示する。 小説家、ニール・スティーヴンスンの先見の明には、ただただ驚くばかりだ。彼のSF小説『ダイヤモンド・エイジ』(1995)は、高度に技術が進歩した世界が舞台となっている。ナノテクノロジーが遍在することに加え、妙になじみのある「P.I.」なるものが登場する。この略語については、以下の会話で説明されている。 「私はエンジニアでして(中略)たまたま今回のプロジェクトに、部分的に関わっておりまして」 「どのような部分を?」 「PIに関するものです。ほとんどが」とハックワースは言った。フィンクル=マグロウほどの人物なら、こうい
英国の貴族であり、科学ジャーナリストとして多数の著書を出してきたマット・リドレー。「合理的楽観主義者」とされる彼は、必要以上に未来を悲観することはないと考えている。スペイン紙「エル・ムンド」が、コロナ禍を経た現在の情勢を踏まえて取材した。 悲惨に思える現在も「前向き」でいられるか マット・リドレーはその好奇心から、性の進化を研究し、さらにヒトゲノム、そして徳の起源も研究した。彼の一番人気の著書『繁栄──明日を切り拓くための人類10万年史』は、30ヵ国語に翻訳され、100万部を売り上げている。 本書のなかでリドレーは、今世紀、私たちは物質的進歩、環境的進歩の両方を享受するだろうと述べた。長い時間をかけ、人々の相互交流と専門化が進むことにより、人類のあいだに集団的思考が形成され、結果として生活の質が向上するのだという。 だが、グローバリゼーションの評価は現在、本書が出版された当時より悪い。人類
気候変動による被害が深刻化し、世界各国で脱炭素化に向けた取り組みが本格化している。課題はありつつも、世界で再生エネルギーによる発電は急増中だ。そんななかで日本はどんな立ち位置にいるのか、そして、日本が今なすべきこととは何かを、日本再生可能エネルギー総合研究所の北村和也代表が解説する。 日本の経済大国からの転落は明確化してきたが、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量ではまだ上位の座をキープしている。 日本政府は3年半前に世界に向けて脱炭素宣言をおこない、GX(グリーントランスフォーメーション)など各種の施策を打ち出した。しかし、主力にするとした再生可能エネルギーの導入は、他の先進諸国に比べて明らかに遅れている。 その理由はなんなのか、そして、今後どう影響するのか。欧米の動向や各種データを交えながら、日本の取るべき道を提起する。
【今回のお悩み】 「マウントを取ってくるママ友との付き合い方を教えてください」 職場や習い事の場、クラスメイトなど、どこにでも自分の自慢ばかりしてくる「うざい人」はいます。そうした人と、積極的に関わりを持とは思わないでしょう。けれど、それがママ友で関わらざるをえない相手だったら……? 『嫌われる勇気』でお馴染みの岸見一郎先生に聞いてみました。 マウントを取ってくる人は、なぜそうするのかということを最初に考えてみなければなりません。自分が他人よりも優位にあることを自慢する人はいます。そのような人は、「等身大以上の目標の大きな目標を設定し、他の人以上であろうとする」とアドラーは指摘しています(『性格の心理学』)。 そのような人は自分が不完全である、あるいは他人より劣っていると感じている、つまり劣等感があるので、その状態から脱しようとしているのです。これをアドラーは「優越性の追求」といっているの
女性の社会進出が進むなか、日本の男性は伝統的な「男らしさ」の呪縛から脱却できず、生きづらさを感じていると、英誌が報じている。欧米では1970年代以降にジェンダーロールの転換期が訪れたが、日本社会は変わる機会を逃してしまった──。 10年前、福島充人は当時付き合っていた女性との結婚を考えていた。だが彼は病に倒れ、仕事も休職せざるをえなくなり、結果的に彼女と別れた。 「家族を養えないなら、結婚すべきではないと思ったんです」と彼は振り返る。 やがて福島は、多くの日本人男性が自分と同じように、伝統的な男性の役割を果たさなければというプレッシャーで苦しんでいることに気づいた。 彼は現在、大阪市内で男性のための電話相談「『男』悩みのホットライン」を運営し、男性たちに悩みを打ち明けてほしいと呼びかけている。 男性の自殺率は女性の2倍 日本では、婚姻率の低下や女性の社会進出にともない、男女の関係が変化しつ
半導体ニーズの高まりに応じ、その生産能力が世界中で拡大されている。そのなかでいま欧米企業の注目を集めているのが、マレーシアだ。すでに世界第6位の半導体輸出国である同国でいま何が起きているのか、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が探った。 マレーシアでの工場建設ラッシュ マレーシア北部・ペナン近郊のクリム・ハイテクパーク工業団地では最近新しい工場が作られた。その建物はいまだに建設用クレーンに囲まれているが、内部ではオーストリアのプリント基板大手AT&Sの労働者たちがすでに働いている。彼らは、年末までのフル生産のために準備を進めているのだ。 最近、マレーシアの工業地帯への事業移転や拡大をする欧米の電気・電子機器メーカーが増えているが、AT&Sもその一社だ。 半導体メーカーの米インテルと独インフィニオンはそれぞれ70億ドル(約1兆円)をマレーシアに投資している。AI半導体のエヌビディアは、同国のコン
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