東日本大震災被災地の病院では必死の医療活動が続いており、これ以上の震災関連死を防ぐため、いっそうの支援強化がまったなしです。同時に、「官から民へ」「地方分権」のかけ声で、地方の医療を支える公立病院を切り縮めてきた国の責任が厳しく問われています。(鎌塚由美、西沢亨子) 被災地の打撃深刻 残った病院に患者殺到 津波で大きな被害を受けた岩手県釜石市では2007年、市立釜石市民病院(250床)が、県立釜石病院(272床)との「統合」の名で廃止されました。 市民病院廃止反対の運動を担った釜石地域革新懇の前川慧一さん(73)は、「市民病院がなくなった影響は、今回の震災でも甚大」だといいます。前川さん自身も被災し、自宅が流されました。 釜石市の中心部にあった市民病院は、有権者の8割にのぼる「病院守れ」の署名運動で、民間病院として残りました。しかし、外科や脳外科をそなえた救急医療機能はなくなり、慢性期のた