米国の大手格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が1月、日本国債の格付けを引き下げたことが議論を呼んでいます。しかし、格付けの公正さには以前から疑問が持たれています。不透明な格付けは2008年以降の世界的金融危機の一因となりました。いま世界で格付け会社に対する規制が強まりつつあります。(山田俊英) 格付け会社の仕事は債券の信用度を格付けすることです。利払いが遅れたり、元本の償還ができなくなるようなことがないか―債券を発行する企業の収益力や財務状況、国債なら国の経済状況にもとづいて判断し、上からトリプルA、ダブルAなどとランクを付けます。 仕組みが複雑な債券が増え、どれが安全か、プロの投資家でも判断がつきにくいため格付けに頼ることが多くなります。 圧倒的影響力を持つ格付け会社は米国のムーディーズ、S&Pの2社です。両社あわせたシェアは世界の格付けの約80%といわれます。 発行企