今年は、日本が途上国などへの資金・技術協力を行う政府開発援助(ODA)を開始してから60年になります。安倍晋三政権はこれに合わせ、日本のODAの長期戦略を定めた「ODA大綱」を11年ぶりに改定する方針です。すでに岸田文雄外相の下に「ODA大綱見直しに関する有識者懇談会」が設置され、6月に答申をまとめる予定です。改定に際し、ODAを軍事分野に拡大しようとする動きが出ており、危惧されます。 背景に国家安保戦略 1992年につくられ、2003年に一度改定された「大綱」は、「軍事的用途および国際紛争助長への使用を回避する」ことを「原則」としてきました。実際、ODAによる物資を被援助国の軍隊に渡すことやODAで造った道路・空港を軍隊が使用することを禁じています。ODAによる人材育成も、兵士は対象外です。 03年の「大綱」改定の際の閣議決定は、「わが国としては、日本国憲法の精神にのっとり、国力にふさわ