道徳的判断に関わる心理や行動についての記述的探究を紹介しつつ、それが「〜してはならない」や「〜すべき」といった規範を扱う倫理学説にどう関わってくるかを扱うモラルサイコロジーの本。 なんだか倫理学にケチをつける分野なのではと警戒する読者もいるかもしれないがそういう記述はほとんどない。むしろ書き手の多くが哲学者や、哲学に精通している科学者なだけあって倫理学的含意のみならず、そういった科学的知見自体についての概念的考察にもかなり重きを置いている。 出てくる実験の中にはここ何年かのまさにモラル・サイコロジーのために行われた実験もあれば、もっと昔の心理学的実験をモラル・サイコロジーのために再利用しているものもある。心理学の本に親しんでる読者なら、表にアルファベット裏に数字の4枚カード問題とか、最後に答える被験者は周りの人(サクラ)の意見に合わせがちだとか、どこかで目にしたり読んだりしたことのあるもの
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