そして、一つの中心からのみ小説家は形式を達成しうるのであって、その形式の目ざすところは小説の経済にある。 (中略) ジェイムズの比喩はアルベルティの遠近法理論に由来している。その淵源はルネッサンスにあり、もともと画家の比喩である。一定の固定した視点から、一つの測定可能な距離をおいて眺めたとき、絵画は一貫して観察された世界となり、一切の関係は可能なものとなる。 (128-129) アルベルティ、ニュートンこそが19世紀リアリズムの固定した視点を創造したということになるのだろうか。 一世代前に、ホワイトヘッドは、ルネッサンス以来、科学はその大前提を正当化しとうなどとは頓着せず、自由に先行する体系理論からそれが必要とする合理性を借用してきたのであった、と述べたことがある。科学における非合理的要素についてはアーサー・ケストラーがかつて強調したところだが、彼は、科学者とは一種の夢遊病者のようなもので